20代で血圧が130mmHgは高血圧?正常値に保つための方法も紹介

2024.11.18

20代でも高血圧になる可能性があります。130mmHgは高血圧の一歩手前で対策が必要です。
高血圧は若者には無関係と思われがちです。
しかし、2010年の調査では、20代では約120万人が高血圧とされています。

高血圧は、脳出血や心筋梗塞など重大な病気の原因になる可能性があるため、早いうちから対策を
とることが重要です。
本記事では、血圧の正常値や高血圧の基準値、20代の血圧平均値、若年性高血圧の原因や予防法
などを解説
します。

血圧とは

血圧とは、血液が血管の内壁を押す力のことです。
心臓が収縮して血液を強い力で押し流すときの血圧を「収縮期血圧(最高血圧)」、心臓が拡張
しているときの血圧を「拡張期血圧(最低血圧)」といいます。

以下、日本高血圧学会の「高血圧治療ガイドライン2019」を参考にして、血圧の正常値や高血圧と
低血圧の基準値について解説します。

 血圧の正常値

血圧の正常値とはどのくらいなのでしょうか。
血圧には、医療機関で測定したときの「診察室血圧」と、自宅で測定したときの「家庭血圧」があり、それぞれで正常値や高血圧の基準値が設定されています。
医療機関では、緊張から「白衣高血圧」になりやすいため、診察室血圧の基準は家庭血圧より
少し高めです。
「正常血圧」に分類されるのは、血圧が以下の範囲の場合です。

  1.  診察室血圧
    「収縮期血圧 120mmHg未満」 かつ 「拡張期血圧 80mmHg未満」
  2.  家庭血圧
    「収縮期血圧 115mmHg未満」 かつ 「拡張期血圧 75mmHg未満」

 高血圧と低血圧の基準値

  • 高血圧の基準値
    「高血圧」に分類されるのは、血圧が以下の範囲の場合です。
    ① 診察室血圧
    「収縮期血圧 140mmHg以上」 かつ/または 「拡張期血圧 90mmHg以上」
    ② 家庭血圧
    「収縮期血圧 135mmHg以上」 かつ/または 「拡張期血圧 85mmHg以上」
  •  低血圧の基準値
    「低血圧」には、高血圧のような明確な基準はありません。
    一般的に、「収縮期血圧 100mmHg未満」の場合を低血圧とすることが多いです。

    高血圧と違ってあまり注目されませんが、心疾患などの病気が隠れている可能性もあります。
    また、めまい・立ちくらみ・失神など、症状によっては日常生活に支障をきたすこともあります。

20代の男女別血圧平均値

20代の男女別の血圧平均値(収縮期血圧/拡張期血圧)は、以下の通りです。

  • 男性: 115.3/67.7mmHg
  • 女性: 105.7/63.8mmHg

男女ともに平均値は正常血圧の範囲内に収まっていて、女性の方が低い値です。
ちなみに、正常血圧、高血圧、低血圧の割合は以下の通りです。
やはり男性の方が血圧が高い傾向がみられ、女性は4人に1人が低血圧です。
(正常血圧と高血圧の間の「正常高値血圧」・「高値血圧」の割合は示していません。)

  • 正常血圧の割合: 男性 62.5%、女性 60.3%
  • 高血圧の割合: 男性 7.1%、女性 0.0%
  • 低血圧の割合: 男性 7.1%、女性 24.6%

若年性高血圧とは

若年性高血圧とは、「若年者」に該当する人が、高血圧の基準である「140/90mmHg以上」を
示すものです。
若年者の定義は専門家ごとに異なり、加齢による血管の変化が比較的少ない「30~40歳未満」
とされることが多いです。

「収縮期血圧 130mmHg」は、日本高血圧学会の分類では高血圧の一歩手前である「高値血圧」に
該当します。将来的に高血圧になるリスクが高く、生活習慣の改善が必要です。

 20代でも高血圧になる原因

高齢者の場合は、原因が不明の「本態性高血圧」が大半です。
若年者の場合は、病気など原因が明確な「二次性高血圧」が約20%を占めるという報告がありますが、それでも本態性高血圧の方が多いです。
二次性高血圧は、腎臓や副腎、甲状腺などの病気が原因となります。

また、若年者では、自宅で測定すると正常血圧なのに、病院で測定すると緊張から高血圧となる
「白衣高血圧」が多いとされています。
自宅で毎日測定して、正常値が続くのならば問題ありません。

二次性高血圧の場合は、原因となる病気の治療が必要です。
しかし、本態性高血圧の場合は、医師らの指導のもとで後述するような生活習慣の改善が
必要になってきます。

高血圧を放置すると動脈硬化を引き起こす可能性がある

高血圧が原因となる病気の代表的なものが「動脈硬化」です。
高血圧の合併症のほとんどが動脈硬化によるものです。

人間の血管は、心臓のポンプ機能により全身に血液を送るために、本来は弾力性があります。
しかし、高い圧力をかけられ続けると弾力性が弱まり、硬くなってしまいます。これが動脈硬化です。

動脈硬化は、狭心症や心筋梗塞、脳出血、脳梗塞、大動脈瘤、大動脈解離、下肢閉塞性動脈硬化症
などの重大な病気を引き起こすことがあります。
自覚症状がないまま進行することが多いため、「サイレントキラー」とも呼ばれます。
若いうちから定期的に健康診断を受け、さらに生活習慣を見直すことで、高血圧や動脈硬化を
予防することが重要です。

若年性高血圧の予防と対策方法を紹介

若い世代の高血圧は、腎臓病などが原因の二次性高血圧が約20%ですが、残りは原因不明の
本態性高血圧です。
このセクションでは、本態性高血圧について予防と対策方法を紹介します。
高血圧を放置すると、重大な病気の発症リスクが高まり、取り返しのつかない事態になりかねません。
高血圧の改善や予防のためには、生活習慣全般を見直すことが重要です。

 適度な運動を行う

適度な運動を行うことで、高血圧のリスクが下がるとされています。
また、運動により高血圧のリスクを高める肥満の解消にもなります。
運動をすると、血圧は一時的に上がります。しかし、筋肉に多くの酸素と栄養を運ぶために血管が
広がるなどして、血圧は下がっていきます。
運動としては、酸素をたくさん取り入れながら行う有酸素運動が適しており、1日30分程度を毎日
行うことが理想
です。有酸素運動としては、ウォーキングやジョギング、水泳、サイクリング、
エアロビクスなどがあります。
すでに血圧が高めの方は、医師に相談するなどして無理のない範囲で行ってください。

 禁煙・節酒に努める

禁煙・節酒により高血圧のリスクが下がるとされています。
喫煙をすると、ニコチンにより血管が収縮するため血圧が上がります。
また、アルコールには血管を拡張させる作用があり、少量であれば一時的に血圧は下がります。
しかし、過剰な摂取により血圧は高くなります。
飲酒量の目安は、男性がアルコール換算で20~30ml/日(日本酒ならば1合、ビールならば
500ml程度)、女性が10~20ml/日以下です。

喫煙も過度の飲酒も、がんなどさまざまな疾患のリスクを高めることがわかっています。
健康にためには、禁煙と節酒が重要です。

 塩分を取りすぎず食生活を改善する

高血圧の最大の原因が、塩分の取りすぎとされています。
塩分を多く摂取すると、血中の塩分濃度を下げるために血液量が増え、血圧が高くなります。
日本高血圧学会では、「食塩の摂取量は1日6g未満」を推奨しています。
塩分控えめで美味しい料理のレシピは、インターネットで検索するとたくさん見つかるので、
参考にしてください。

また、ナトリウム排泄効果があるカリウム・マグネシウム・カルシウムを積極的に摂取しましょう。
カリウム・マグネシウムは野菜や果物、海藻、豆類などに多く含まれ、カルシウムは乳製品や
小魚などに多く含まれます。

さらに、肥満の方は高血圧のリスクが高くなるとされています。
特に、健康診断で「内臓脂肪が多い」と指摘された方は注意が必要です。食べ過ぎに注意し、
栄養バランスのとれた食事を心がけてください。

 十分な休養と睡眠をとる

高血圧のリスクを下げるために、十分な休養と睡眠をとることも重要です。
極度の緊張などのストレスは、交感神経を刺激し血圧の上昇を引き起こします。
さらに、ストレスは食生活の乱れや不眠、飲酒、喫煙などにもつながりやすく、高血圧のリスクが
さらに高まります。

また、睡眠不足により自律神経が乱れると、高血圧を発症しやすくなります。
ストレスや睡眠障害は高血圧だけでなく、さまざまな疾患のリスクを高めます。
好きな趣味に没頭したり、ゆっくり入浴したりといった自分なりのリラックス方法を見つけることが
重要です。

まとめ

今回は、主に若年性高血圧について解説しました。

  • 血圧の正常値は「120/80mmHg未満」、高血圧の基準値は「140/90mmHg以上」。
  • 若年性高血圧では、多くは原因不明の本態性高血圧だが、病気が原因の二次性高血圧が
    高齢者よりも多い。
  • 高血圧は動脈硬化を引き起こし、さらに重大な病気の原因にもなりうる。
  • 高血圧のリスクを下げるには、「飲酒」、「喫煙」、「食事」、「運動」、「休養」などの
    生活習慣見直しが必要。

    高血圧を予防して今後の人生を健康に過ごすために、若いうちから生活習慣を改善しましょう。

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