地域密着型通所介護の人員基準は?設備基準や運営基準も併せて紹介

2024.11.18

地域密着型通所介護の施設では、食事や入浴などの日常生活上の支援や、生活機能向上のための
機能訓練,口腔機能向上サービスなどの提供を実施します。

この記事では、地域密着型通所介護の概要や、人員基準・設備基準・運営基準の3つの指定基準を
解説していきます。
地域密着型通所介護について知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

そもそも地域密着型通所介護とは何か

地域密着型通所介護は、利用定員18人以下の小規模なデイサービスです。
入浴や食事などの介護支援や機能訓練、レクリエーションを楽しむ時間などを、日帰りの時間帯の
中で、施設に通ってサービスを受けます。
この施設には、原則として自分が居住している市町村の住民でないと通うことができません。

 概要

地域密着型通所介護とは、利用定員が18人以下の小規模のデイサービスのことです。
平均利用人数が300人を超える通常規模以上のデイサービスは都道府県が、地域密着型通所介護は
市町村が管轄しています。

要介護状態となった利用者が、当該施設に日帰りで通って、入浴・排せ つ・食事等の介護支援や、
生活等に関する相談及び助言・健康状態の確認その他日常生活上の世話、機能訓練などを行います。
利用できるのは要介護1以上の認定を受けた方のみです。

 創設の背景

小規模デイサービスの急増や、団塊の世代が75歳以上を迎える2025年には、日本の高齢化率は最大に
なると言われ、国民医療費や介護保険給付費が膨らむことが予想されています。
そのため、社会保障費圧迫問題の解決を図るため、その地域に本当に必要数の通所介護があるか、
市区町村で判断ができるように創設されました。

利用定員18名以下の事業所である小規模デイサービスを「地域密着型通所介護」として移行し、
地域との連携や運営の透明性を確保することができるよう「市区町村」の管轄になりました。

地域密着型通所介護の人員配置基準を紹介

地域密着型通所介護は、人員基準を満たしていなければ指定申請ができません。
開業するためには確保しなければならない職種や人数が定められており、開業予定日に間に
合うように、計画的に職員の採用を進めます。
要介護1以上の認定を受けた方のみが利用できます。

 看護職員

看護職員は1名以上が必要です。ただし、提供時間帯のすべてに配置する必要はありません。

提供時間を通じて、医療機関(病院、診療所、訪問看護ステーション) の看護職員が、利用者の
健康状態の確認等を行いますが、密接かつ適切な連携が図られている場合は配置できていること
になります。

利用定員10名以下の場合は、看護職員または介護職員のいずれか1名を配置すれば基準を満たしている
ことになります。
准看護師を含む看護職員の主な業務は、利用者の服薬管理やバイタルチェックで、事業所によっては
入浴介助などを担います。

 生活相談員

生活相談員は1名以上が必要です。また、サービス提供日ごとに生活相談員の勤務延時間が、
サービス提供時間数以上の配置が必要です。
社会福祉士、精神保健福祉士、社会福祉主事任用資格などの資格を持つ人が務めますが、一定の
実務経験による条件を満たすほか、自治体によっては従事できる資格や条件が異なります。
事前に確認するようにしましょう。
生活相談員は、利用者や利用者の家族が介護に関して抱える悩みについて相談にのり、
必要であれば介護の専門的なアドバイスをします。

 介護職員

介護職員は、基本的には1名以上が必要です。特に資格は必要ありませんが、認知症介護基礎研修修了者であることが必要です。
利用者の送迎などの仕事内容が含まれる事業所もあります。

15名以下の利用者数の場合は、サービス提供日ごとに介護職員の勤務延時間をサービス提供時間数で
割った数が1以上となる配置が必要です。
16人以上の場合は、介護職員の勤務延時間をサービス提供時間数で割った数が、15人を超えた
利用者数を5で割った数に1を加えた数以上になる配置が必要です。

 機能訓練指導員

機能訓練指導員は、専従で1人以上の配置が必要です。介護施設で、日常生活を営むのに必要な
機能の減退を防止するために、利用者一人ひとりに応じた機能訓練の計画・実施・評価を行います。

理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護師/准看護師、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師
のうち、いずれかの有資格者であることが必要です。
はり師・きゅう師を機能訓練指導員として配置する場合は、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、
看護職員、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師を配置した介護事業所で6か月以上の従事経験が
必要です。

 管理者

管理者は1名以上が必要ですが、特別な資格は必要とされていません。
運営基準を始め、さまざまな基準・法令を遵守して事業運営を管理する施設全体の統括管理者です。

管理上問題がなければ、看護職員や機能訓練指導員、生活相談員の職員が兼務することも可能ですが、常勤者である必要があります。
管理者の仕事は、大きく分けると、介護保険法で定められた内容に従って事業やサービスが運営
されているか、事業所としての人・物・お金・顧客の管理ができているかということです。

地域密着型通所介護の設備基準

適切な介護サービスを提供するためには、最低限設置しなくてはならない設備や備品などが
規定されています。
地域密着型通所介護の事業所の指定申請を行う際には、設備基準を満たしていることを証明する
ための書類を提出しなければなりません。

開業予定日に間に合うように、計画的に設備や備品の整備・購入を進めます。
事業所で必要な設備・備品の例としては、食堂、機能訓練室、静養室、相談室、事務室、消火設備
その他の非常災害に際して必要な設備、地域密着型通所介護の提供に必要なその他の設備・備品など
です。

地域密着型通所介護の運営基準

地域密着型通所介護には3つの指定基準、人員基準・設備基準・運営基準があります。
その中でも、一番ボリュームが多く、複雑なのが運営基準です。

運営基準には、事業所が適切な介護サービスを提供するために守らなければならないルールが
定められています。サービス提供開始までの手順、提供するサービスの内容や提供方法、
必要な書類や記録、取り組みなどが規定されています。

例えば、内容および手続きの説明と同意、提供拒否の禁止、サービス提供困難時の対応、
受給資格等の確認、要介護認定の申請を援助など、そのほかにも運営基準があります。

地域密着型通所介護で人員基準に違反した場合はどうなる?

地域密着型通所介護では、人員基準を満たしていなければ、指定権者(市町村)から指定を受ける
ことができず、開業することができません。
事業所を運営する中で、看護職員または介護職員が人員基準を満たしていない場合、
人員基準欠如減算が適用になります。

従業員欠員の状況が続いていると、指定権者(市町村)から事業の休止等の指導を受けることが
あります。その指導に従わずに事業を継続した場合には、特別な事情がある場合を除いて、
指定取消等の行政処分を受けることになります。

まとめ

この記事では、地域密着型通所介護の概要や3つの指定基準、人員基準・設備基準・運営基準に
ついてご紹介しました。
地域密着型通所介護では、食事や入浴、排泄などの日常生活上の支援や、生活機能向上のための
機能訓練、口腔機能向上サービスなどのリハビリテーションを行っており、利用者は日帰りで
受けることができます。
施設の運営や利用等を考えている方は参考にしてください。

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