世帯分離の手続きはどうすればいい?注意すべきポイントや流れを解説

2024.11.19

世帯分離という言葉をご存知でしょうか?
世帯分離とは、親と同居を続けながらも住民票上で世帯を分離することをいいます。
介護の負担を軽減するためや、所得税や住民税を節税するために行われることが増えている
傾向にあるこの世帯分離ですが、一体どうやって手続きをすれば世帯分離をすることができる
のでしょうか?

この記事では、世帯分離の手続きのほか、注意すべきポイントや流れについても解説していきます!

そもそも世帯分離とは?

世帯分離とは「同居している家族と本人の住民票の世帯を分ける」ことを”世帯分離”といいます。
介護保険サービスの自己負担額は「世帯の所得」によって決められるため、世帯を分離することで
世帯の所得を減らし、介護にかかる負担費用を抑えることができるのです!
ただし、条件によっては介護費用の負担額が大きくなることもあるため、世帯分離が適しているか
正確に理解して対応していくことが重要です!

世帯分離は誰がする?手続きできる人は?

介護負担の費用を抑えたり、住民税や所得税を節税する目的で行われる世帯分離ですが、
この手続きを行うのは誰がするのでしょうか?
手続きは本人以外にもできるのでしょうか?
ここからは、世帯分離は誰がどのようにするのか解説していきます!

 原則として本人または世帯主

世帯分離の手続きは「原則、本人または世帯主」とされています。
しかし、同一世帯の人であれば手続きができる市区町村もあります。

例えば、要介護状態で息子の扶養に入っている母親と息子が世帯分離をする場合、基本的には
母親と息子が自治体の窓口で手続きしなければならないということになります。
本人または世帯主が、何らかの事情で手続きができない場合は、「同一世帯の人や代理人が
手続きすることができます」が、その場合は、少し注意しなければならない点があります!

 同一世帯の人など代理人が手続する際は委任状が必要なことがある

何らかの理由で、本人または世帯主が世帯分離の手続きをできない場合は、同一世帯の人や
代理人が手続きを行うことができます。
しかし、同一世帯の人や代理人が手続きをする際は「委任状が必要なことがある」ため注意が
必要です。
さらに、代理で手続きを行う人が「親族であっても委任状が必要な場合もある」という点も
注意が必要です!

手続きができる人の範囲や、委任状が必要となる人の範囲は市区町村によって異なる場合が
あるため、事前に市区町村のホームページや窓口にてしっかりと確認しておくことをおすすめします!

世帯分離の手続きの流れ

ここまで、世帯分離の概要と手続きできる人の範囲とその注意点について解説をしました。
では、具体的に世帯分離の手続きはどういった流れで進めるのでしょうか?
ここからは、世帯分離の手続きの流れについて具体的に解説をしていきます!

 必要書類の準備

世帯分離の手続きは、お住いの自治体の窓口で「本人・世帯主・同一世帯の人や委任状を持った
代理人」が「世帯変更届」を提出しなければならないため、
まずは、必要書類の確認と準備をしましょう!必要書類は以下の通りとなります!

  1. 本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証、パスポートなど)
    ※健康保険証、介護保険証、年金手帳、国民年金、厚生年金、船員保険の年金証書などは2枚以上の提出が必要となる場合があります。
  2. 国民健康保険証(持っている場合)
  3. 世帯変更届(窓口にてもらえる)

注意点として、手続きに必要な書類や本人確認書類として認められるものは市区町村によって
異なる場合があるため、事前に市区町村のホームページなどで確認することが大切です。

 市区町村役場の窓口へ書類を提出

必要書類と申請書類が準備できれば、市区町村役場の窓口へ書類を提出します。
まずは、住民課・戸籍課にて「住民異動届」という書類をもらいます。
書類の項目を記入し、捺印をして提出します。
自治体によっては、これ以外にも必要なものが異なるため、事前に確認をしておきましょう!

注意点として、これらの手続きを「代理人が行う場合は、委任状も必要なため注意」しましょう!
自治体によっては、委任状の他に代理で手続きを行う人の、身分証明証が必要になる場合もあるため、お住いの自治体に確認をしておきましょう!

世帯分離をする際に注意すべきポイントは?

世帯分離をする際には、いくつか注意しておくべきポイントがあります。
これらのポイントを抑えておかなければ申請が上手くいかなかったり、手間が増える可能性も
考えられます。
これから解説する注意点をしっかりとおさえておきましょう!

 世帯分離をしたい理由を明確にしておく

世帯分離をする際に注意すべきポイントひとつめは「世帯分離をしたい理由を明確にしておく」です。
世帯分離の手続きを行う際に、担当の職員がどのくらい理由を深く聞いてくるかはわかりませんが、
事前に世帯分離をしたい理由を明確にして、説明できるようにしておくとスムーズに手続きが
進むでしょう。

世帯分離をする理由として、世帯の認定要件には以下のように記載されています。

  • 「保護を要しない者が当該世帯員の日常生活の世話を目的として転入した場合であって、
    同一世帯として認定することが適当でないとき」
    (当該転入者がその世帯の世帯員のいずれに対しても生活保持義務関係にない場合に限る)
  • 「次に掲げる場合であって、当該保護者がいわゆる寝たきり老人、重度の心身障害者等で常時の
    介護、または監視を要する者であるとき」
    (世帯分離を行わないとすれば、その世帯が要保護世帯となる場合に限る)
    ア)要保護者が自己に対して生活保持義務関係にある者がいない世帯に属してている場合
    イ)ア以外の場合であって、要保護者に対し生活保持義務関係にある者の収入が自己の
    一般生活費以下の場合

 生計が別であることを証明する書類や証拠を準備しておく

世帯分離をする際に注意すべきポイントふたつめは「生計が別であることを証明する書類や
証拠を準備しておく」です。
世帯分離の目的は、同居していても生計を別々にしている点を住民票へ登録するものです。
つまり、「生計を別々にしている事実の証明が必要」ということになります。
基本的には、窓口にて「生計を別々にするために世帯分離をしにきました」と伝えると問題ない
のですが、担当する職員によっては、具体的に生計を別にしている状況を確認したいなど、
証明を求められる可能性もあります。
生計が別であることを証明する書類の例としては「源泉徴収票」や「課税証明書」など
あげられます。

 介護費用の軽減を目的にしない

世帯分離をする際に注意すべきポイント3つめは「介護費用の軽減を目的にしない」です。
世帯分離の理由を聞かれた際に「介護の負担を軽減したい」「介護を楽にしたい」など、
介護の負担軽減や費用をうかせるためという目的は伝えてはいけません。
なぜなら、本来の目的とは違う目的での申請となってしまうため、不正受給とみなされてしまうから
です。
不正受給とみなされてしまうと、申請は通らないため「介護を楽にしたい」という趣旨の説明は
しないように注意が必要です。

 世帯分離をした際は、国民健康保険証の発行手続きをする

世帯分離をする際に注意すべきポイント4つめは「国民健康保険証の発行手続きをする」です。
世帯分離を行った際は、世帯分離を行う「家族全員分の国民健康保険証を返却」しなければ
なりません。
返却する場所は、「所属する市区町村の国民健康保険担当窓口」です。
新しい国民健康保険証は、世帯分離をした後の所得や扶養の状況に応じて発行されます。

これは、国民健康保険料は各世帯主が支払うことになっているためです。
そのため、世帯分離を行う際は、事前に分離後の負担額がどうなるのかを確認することが重要です。

まとめ

この記事では、世帯分離の手続きについて解説をしました。
世帯分離は近年、介護の負担を下手したり、所得税や住民税の節税のために行うことが増えている
傾向にあります。
世帯分離は、必要書類と届け出を市区町村の担当窓口に提出することで手続きができます。

しかし、世帯分離後に負担が大きくなってしまう可能性もあるため、世帯分離をする前に
しっかりと下調べを行い、世帯分離後の負担についてもしっかりと確認をしてから申請をしましょう!

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