軽費老人ホームとは?入居条件や提供されるサービス・設備も詳しく解説

2024.11.19

超高齢化社会を迎える中で、有料老人ホームなどの高齢者向け施設が増えてきました。
しかし有料老人ホームなどは施設により費用が異なるほか、公的施設と民間施設でも費用に差が
生じます。
費用面の負担を軽減したい人は公的施設である特別養護老人ホームや軽費老人ホームなどを
選択することになるでしょう。

今回はその中の一つである軽費老人ホームの入居条件などについて紹介していきます。
軽費老人ホームの入居条件などを知り、自身に合った施設を見つけていきましょう。

軽費老人ホームとは簡単にどんなもの?

軽費老人ホームは、住宅や家族の事情などにより自宅で生活するのが難しい60歳以上の人が入居する
施設です。
ここでは軽費老人ホームの定義から入居条件についてみていきましょう。

 厚生労働省による定義

厚生労働省では軽費老人ホームのことを「無料または低額の料金で食事の提供(B型は自炊)
その他日常生活上必要な便宜を供与することを目的とする施設」と定義しています。
設置基準は原則21.6㎡となっていますが、2人入居も可能であり、その際は31.9㎡以上と
決められています。
居室の設備は洗面所、トイレ、ミニキッチン、収納設備。
共同設備として食堂、浴室、談話室などが設けられています。
軽費老人ホームの運営主体は社会福祉法人や医療法人であり、公的側面が強いことから比較的
安価での生活が可能です。

 軽費老人ホームの入居条件

軽費老人ホームに入居できる人は一定の条件に当てはまった人となっています。
軽費老人ホームの種類により多少異なりますが、以下の条件に当てはまる人と定められています。

  • 60歳以上(2名入居の場合はいずれかが60歳以上)
  • 2名入居の場合、夫婦か3親等以内の親族
  • 身体機能の衰えや高齢といった事情で、独立して生活するのが難しい
  • ケアハウスの場合、家族による援助が難しい

    今あげた4つの条件を満たすことで、入居可能となります。

軽費老人ホームの主な種類と特徴

軽費老人ホームには軽費A型、軽費B型、ケアハウスであるC型の3つの種類があります。
ここではそれぞれどのような特徴があるのかについてみていきましょう。

 軽費A型

軽費A型の最大の特徴は食事の提供がある点です。
また入居できるのは60歳以上の家族と同居できない人となっています。
介護サービスの提供はありませんが、外部の訪問介護事業所などと契約をすることで、介護サービス
を受けることは可能です。
基本的には自分の身の回りのことができる人が対象ですが、要支援や要介護の人でも入居できる
可能性があります。
ただしこの条件は全ての施設に当てはまるわけではないため、施設に問い合わせし、確認する
必要があります。

 軽費B型

軽費老人ホームB型の最大の特徴は、A型と異なり食事の提供がない点です。
そのため入居者は食事を自炊する必要があります。
その他にもA型の施設では一定数の介護職員の配置が義務付けられていますが、B型には
その義務がありません。
しかしスタッフは常駐しているほか、外部の介護サービスの利用も可能です。
A型もB型も外部の介護サービスの利用ができるため、食事提供の有無で施設を選ぶとよいでしょう。

 C型(ケアハウス)

C型のケアハウスは、介護の有無で一般型(自立型)と介護型(特定施設)に分類されます。
一般型は食事の提供有で、介護サービスの提供無のため軽費A型に性質が似ています。
介護型は食事の提供だけでなく特定施設入居者生活介護の指定を受けた施設であるため、
日常生活支援と介護サービスの両方の提供を受けることが可能。
ケアハウスは身体機能の低下等があり独立した生活を送るのが難しい人を対象としていますが、
このほかにも家族の援助を受けるのが困難であることも要件に含まれています。
さらにケアハウスには所得制限がありません。

 A型・B型は順次C型に切り替えてケアハウスに一元化

軽費老人ホームA型とB型は今後なくなることが決定している施設です。
軽費老人ホームは、自宅での生活が困難な高齢者がサポートを受けながら安心して暮らせる施設
でしたが、ケアハウスが誕生したことで制度が複雑化していきました。
これを解消するためにケアハウスに一元化し、今後はA型とB型の新規施設は作られないことに
なりました。
既存のA型とB型施設は、建物が老朽化するまで存続し、建て替えた後はケアハウスとして
運営されていくことになります。

軽費老人ホームで提供されるサービスを紹介

軽費老人ホームでは、次にあげる4つのサービスを受けられます。

  • 食事サービス
  • アクティビティ
  • 緊急時対応
  • 医療・介護サービス

食事サービスはA型とケアハウスで提供されており、B型では居室で自炊可能です。
アクティビティは施設によって、お花見やお月見などの季節に合わせた企画が実施されるため、
生き生きと健康的に過ごせるように計画されています。
軽費老人ホームは24時間スタッフが常駐しているため、緊急時の対応ができるようになっています。
介護サービスは外部の事業所を利用することになりますが、ケアハウスの介護型では施設の
職員から介護サービスを受けられるほか、医療に関しては協力医療機関と連携しているため、
必要な人は通院などで対応可能です。

軽費老人ホームの設備は?

軽費老人ホームは、次にあげる設備をつけることが法律で義務付けられています。

  • 居室(洗面所、トイレ、収納、簡易キッチン。非常用ブザーやそれに代替するもの)
  • 談話室や娯楽室
  • 食堂
  • 浴室
  • 洗面所、トイレ
  • 調理室
  • 面談室
  • 洗濯室もしくは洗濯場
  • 宿直室 など

    実際に設備されているものは施設によって異なるため、入居の際はパンフレットなどで
    設備の確認をしておきましょう。

軽費老人ホームのメリットとデメリット

軽費老人ホームには他の介護施設同様にメリットもあればデメリットもあります。
ここでは主なメリットとデメリットについてみていきましょう。

 メリット

軽費老人ホームは居室が個室になっているため、完全プライベートの空間で生活できることが
大きなメリットです。
共同生活を送ることになるため、プライベートな空間があるか心配になる人もいますが、
完全1人部屋であることから安心して過ごすことができます。
またレクリエーションも充実しているため、入居者同士のコミュニケーションがとりやすいのも
魅力の一つ。
他の人とコミュニケーションをとることで認知症の予防などにもつながります。
この他にも低価格で生活のサポートを受けられるほか、介護型の施設であれば自身の介護度が
上がっても入居し続けることができるなどのメリットがあります。

 デメリット

軽費老人ホームは、他の介護施設と比較しても費用が安価で済むのが特徴です。
そのため人気が殺到しやすく、待機期間が長くなるというデメリットを抱えています。
また、一般型の施設の場合介護度が高くなると退去を迫られるケースも。
特に外部の介護サービスで対応できない場合は、退去の可能性が高くなります。
この他にも他の入居者がいることになじめないと感じる人もいるため、共同生活に苦手意識を
持っている人には向いていません。
入居者同士のコミュニケーションが苦手であるのでああれば、共同生活そのものがデメリット
となります。

まとめ

軽費老人ホームは公的側面が強いことから、比較的安価で利用できますが、その分人気が高く
入居までの待機期間が長くなることがあります。
また、今後はケアハウスに一元化され、一般型ケアハウスか介護型ケアハウスかを選択することに
なっていきます。
ケアハウスは安価で生活援助などを受けられるため、一人暮らしに不安を抱えている60歳以上の
人におすすめです。
ケアハウスに入居を希望するのであれば、早めに申し込みをするなどし、少しでも待機期間を
短縮できるよう工夫していきましょう。

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