50代の血圧正常値は?男性・女性の血圧平均値や更年期高血圧の対策も!

2024.11.19

50代の平均血圧はどのくらいなのでしょうか?
一般的に血圧は年齢が上がるほど高くなり、40~50代以降ではその傾向が顕著です。
生活習慣に加え、女性の場合は更年期のホルモンの変化が原因となることがあります。
高血圧は脳卒中や心臓病などの病気の原因になるため、その対策が重要です。

本記事では、50代の血圧平均値や高血圧の原因と対策などについて解説します。
健康診断で血圧が高めと指摘された方におすすめの内容です。

50代の血圧正常値は?

血圧とは、血液が血管の内壁を押す力のことです。
心臓が収縮して血液を強い力で押し流すときの血圧を「収縮期血圧(最高血圧)」
心臓が拡張しているときの血圧を「拡張期血圧(最低血圧)」といいます。
血圧には、医療機関で測定したときの「診察室血圧」と、自宅で測定したときの「家庭血圧」が
あり、それぞれで正常値や高血圧の基準値が設定されています。
医療機関では、緊張から「白衣高血圧」になりやすいため、診察室血圧の基準は家庭血圧より
少し高めです。
日本高血圧学会の「高血圧治療ガイドライン2019」によると、「正常血圧」に分類されるのは、
血圧が以下の範囲の場合です。

  1.  診察室血圧
    「収縮期血圧 120mmHg未満」 かつ 「拡張期血圧 80mmHg未満」
  2. 家庭血圧
    「収縮期血圧 115mmHg未満」 かつ 「拡張期血圧 75mmHg未満」

低血圧・高血圧の基準値

  • 高血圧の基準値
    日本高血圧学会の「高血圧治療ガイドライン2019」によると、「高血圧」に分類されるのは、
    血圧が以下の範囲の場合です。
    ① 診察室血圧
    「収縮期血圧 140mmHg以上」 かつ/または 「拡張期血圧 90mmHg以上」
    ② 家庭血圧
    「収縮期血圧 135mmHg以上」 かつ/または 「拡張期血圧 85mmHg以上」
    高血圧の基準に当てはまらなくても、正常血圧の範囲を超えている場合は、将来的に高血圧になる可能性が高いです。また、正常血圧の人と比べて、脳卒中や心臓病などの発症リスクが高いので、食事や運動などの生活習慣見直しをおすすめします。
  • 低血圧の基準値
    「低血圧」には、高血圧のような明確な基準はありません。
    一般的に、「収縮期血圧 100mmHg未満」の場合を低血圧とすることが多いです。
    高血圧と違ってあまり注目されませんが、心臓病などの病気が隠れている可能性もあります。
    また、めまい・立ちくらみ・失神など、症状によっては日常生活に支障をきたすこともあります。

男女別・50代の血圧平均値

血圧は年齢とともに上昇し、特に40~50代以降でその傾向が顕著です。
その主な原因は、血管の老化により弾力がなくなって硬くなる動脈硬化です。
血液が流れにくくなって心臓はより強い力で押し出そうとするため、収縮期血圧が上がりやすく
なります。
このセクションでは、厚生労働省の「令和元年国民健康・栄養調査報告」を参考に、
男女別・50代の血圧平均値を紹介します。

 50代男性の血圧平均値

50代男性の血圧平均値(収縮期血圧/拡張期血圧)は、「131.7/82.0mmHg」です。
この平均値は、収縮期血圧・拡張期血圧ともに正常血圧の範囲を上回っています。
日本高血圧学会の分類では、高血圧の一歩手前の「高値血圧」に該当します。

ちなみに、50代男性の正常血圧、高血圧、低血圧の割合は以下の通りです。
高血圧の人が4割弱もいます。(「正常高値血圧」・「高値血圧」の割合は示していないので
合計は100%になりません。)

  • 正常血圧の割合: 21.7%
  • 高血圧の割合: 38.8%
  • 低血圧の割合: 2.2%

 50代女性の血圧平均値

50代女性の血圧平均値(収縮期血圧/拡張期血圧)は、「123.7/75.4mmHg」です。
この平均値は、収縮期血圧が正常血圧の範囲を上回っています。日本高血圧学会の分類では、
「正常高値血圧」に該当します。
ちなみに、50代女性の正常血圧、高血圧、低血圧の割合は以下の通りです。高血圧の人は2割弱で、
同年代の男性よりは少ないです。(「正常高値血圧」・「高値血圧」の割合は示していないので
合計は100%になりません。)

  • 正常血圧の割合: 32.1%
  • 高血圧の割合: 19.7%
  • 低血圧の割合: 7.2%

50代女性は更年期高血圧に注意が必要

更年期に生じる高血圧を「更年期高血圧」と呼びます。
女性は更年期になると、女性ホルモン「エストロゲン」が減少します。ホルモンバランスを
保てなくなったことに対して、脳がそれを補おうと身体にさまざまな命令を送ります。
それにより自律神経が乱れて各種の症状が現れるのです。
症状は、ホットフラッシュ・肩こり・疲労感・頭痛・不眠・イライラ・動悸・めまいなど、
多岐にわたります。
ここでは、更年期と高血圧との関係を解説します。

 更年期は血圧が変動しやすくなる

先述の通り、女性は更年期になるとエストロゲンの分泌量が減少します。それにより、自律神経が
乱れ血圧が高くなる原因にもなります。さらに、エストロゲンが減少することで以下のような
影響もあり、血圧が上がりやすくなるのです。

  1. コラーゲンが減少し血管が硬くなる。
  2. エストロゲンの原料であるコレステロールが過剰になり、血管内壁に付着しやすくなる。

    更年期高血圧の特徴は、血圧が不安定になることです。
    不安やイライラなどの精神的な症状も重なり、些細なことでも血圧が上がりやすくなります。
    なお、更年期を過ぎると、血圧が正常値に戻る方もいます。しかし、加齢とともに血管の老化や
    自律神経の働きが低下し、そのまま高い血圧が維持される方も多いです。

更年期高血圧の対策を紹介

更年期高血圧も、腎臓病などの病気が原因でない場合は、通常の高血圧と同じように生活習慣の
見直しにより改善が期待できます。
高血圧を長年放置すると、脳卒中や心臓病などの病気の発症リスクが高まり、取り返しのつかない
事態になりかねません。
このセクションでは、高血圧の予防・改善ために気をつけるべきポイントを紹介します。

 食生活を見直す

高血圧の最大の原因が、塩分の取りすぎとされています。
塩分を多く摂取すると、血中の塩分濃度を下げるために血液量が増え、血圧が高くなります。
日本高血圧学会では、「食塩の摂取量は1日6g未満」を推奨しています。塩分控えめで美味しい料理の
レシピは、インターネットで検索するとたくさん見つかるので、参考にしてください。

また、ナトリウム排泄効果があるカリウム・マグネシウム・カルシウムを積極的に摂取しましょう。
カリウム・マグネシウムは野菜や果物、海藻、豆類などに多く含まれ、カルシウムは乳製品や
小魚などに多く含まれます。

さらに、肥満の方は高血圧のリスクが高くなるとされています。特に、健康診断で「内臓脂肪が多い」と指摘された方は注意が必要です。
食べ過ぎに注意し、栄養バランスのとれた食事を心がけてください。

 睡眠時間を確保する

高血圧のリスクを下げるために、十分な睡眠をとることも重要です。
1日の中で、起床後から血圧は上昇していきますが、夕方から血圧は下がり、睡眠中に最も低くなります。睡眠不足により自律神経が乱れると、高血圧を発症しやすくなります。
更年期の症状の一つに不眠もあるため、なかなか寝付けない人もいると思います。
よく言われている内容ですが、快眠のために例えば以下のような工夫をしましょう。

  • 就寝の2時間前までに食事を済ませる
  • 寝る前はスマートフォンやパソコンを見ない
  • リラックス効果のあるアロマオイルなどを使用する

 適度な運動を続ける

適度な運動を行うことで、高血圧のリスクが下がるとされています。
また、運動により高血圧のリスクを高める肥満の解消にもなります。
運動をすると、血圧は一時的に上がります。しかし、筋肉に多くの酸素と栄養を運ぶために血管が
広がるなどして、血圧は下がっていきます。
運動としては、酸素をたくさん取り入れながら行う有酸素運動が適しており、1日30分程度を毎日
行うことが理想です。
有酸素運動には、ウォーキングやジョギング、水泳、サイクリング、エアロビクスなどがあります。
すでに血圧が高めの方は、医師に相談するなどして無理のない範囲で行ってください。

 禁煙・節酒に努める

禁煙・節酒により高血圧のリスクが下がるとされています。
喫煙をすると、ニコチンにより血管が収縮するため血圧が上がります。
また、アルコールには血管を拡張させる作用があり、少量であれば一時的に血圧は下がります。
しかし、過剰な摂取により血圧は高くなります。飲酒量の目安は、男性がアルコール換算で
20~30ml/日(日本酒ならば1合、ビールならば500ml程度)、女性が10~20ml/日以下です。

喫煙も過度の飲酒も、がんなどさまざまな病気のリスクを高めることがわかっています。
健康のためには、禁煙と節酒が重要です。

 ストレスをためないようにする

高血圧のリスクを下げるために、ストレスをためないことも重要です。
ストレスは、交感神経を刺激し血圧の上昇を引き起こします。また、ストレスは食生活の乱れや
不眠、飲酒、喫煙などにもつながりやすく、高血圧のリスクがさらに高まります。
特に、50代は職場や家庭の環境が大きく変化して、ストレスを抱えやすくなる年代です。
ストレスは高血圧だけでなく、さまざまな疾患のリスクを高めることがわかっています。
好きな趣味に没頭したり、ゆっくり入浴したりといった自分なりのリラックス方法を見つけることが
重要です。

まとめ

今回は、50代の血圧平均値や高血圧の原因と対策などを解説しました。
・血圧の正常値は「120/80mmHg未満」、高血圧は「140/90mmHg以上」。
・50代男性の平均は高血圧の一歩手前で、高血圧の割合は4割弱。
・50代女性の平均は正常血圧より少し高く、高血圧の割合は2割弱。
・女性は更年期にエストロゲンが減少し、血圧が高くなりやすい。
・更年期高血圧の改善のためには、「食事」、「睡眠」、「運動」、「酒・タバコ」、
「ストレス」など生活習慣見直しが必要。

男女ともに40~50代で高血圧の割合が急激に増加します。
今後の長い人生を健康に過ごせるよう、今のうちから生活習慣を改善しましょう。

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