福祉の仕事に携わると、ケアマネージャーという仕事を担当する方と触れる機会も多いかと思います。
また、ケアマネージャーの資格の取得を考えているという方であれば、「ケアマネージャーは
いったい何人担当するのだろう?」と感じたり、「ケアマネージャーは担当する数が多いと言うけど
どうしてだろう?」と疑問を感じる方も少なくないのではないでしょうか?
この記事では、そんなケアマネージャーと担当する人数について焦点をあてて詳しく解説
していきます!
目次
ケアマネージャーになると、複数の担当を持ちそれぞれに個別のプランを立てていく必要があります。
そんな、ケアマネージャーが担当を受け持つ時には担当件数の計算を用いて担当する件数を
決めていきます。
まずは、ケアマネージャーの担当件数の計算方法についてご紹介します!
ケアマネージャーが担当できる人数を計算するには、利用者が要支援状態なのか?
要介護状態なのか?という点が重要になってきます。
なぜなら、「要支援の利用者は0.5人」として算出し「要介護の利用者は1人」として算出するため
です。
また、非常勤(パート)としてケアマネージャーをする場合は、以下の計算式で常勤換算とします。
(勤務時間数)÷(常勤のケアマネージャーの勤務時間数)で常勤換算ができます。
たとえば、常勤のケアマネージャーが週40時間勤務する職場で、週20時間勤務する場合は、
20÷40=0.5となり、常勤のケアマネージャーの上限件数の「0.5」、つまり半分の件数を担当できる
ということになります!
介護基本報酬とは、介護事業者が利用者に対して提供したサービスの対価として支払われる報酬
のうち、加算や減算をしない基本的な部分のことをいいます。
逓減性(ていげんせい)とは、だんだんと減るという意味の言葉です。
ケアマネージャーの仕事は、自分が受け持つ利用者やその家族の不安や希望にそって計画を
立案したり、事業所と利用者の間に入り利用の調整や連絡を行う仕事です。
また、計画を立案しサービスの利用を開始した後も定期的にモニタリングを行い、計画に沿って
サービスが無事に提供されているか、新たなニーズや困り毎がないかなどを継続して寄り添って
いく仕事です。
その性質上から、ケアマネージャーが受け持つ担当が極端に増えると「一人ひとりにかけられる
時間が少なくなり、サービスの質に影響を及ぼす可能性がある」と考えられ、
ケアマネの報酬は「ケアマネージャー一人あたりの担当利用者が多くなった場合は、減算を行う」
逓減性が導入されています。
これは、多くの利用者を担当することで起きる「ケアマネージャーの負担増大」「利用者への
サービスの質の低下」をおさえるためにある制度とも捉えることができます。
ここまで、ケアマネージャーが担当する人数の計算方法と、介護基本報酬の逓減性について
説明をしてきました。
では、ケアマネージャーが担当を持てる人数は具体的に何人までなのでしょうか?
ケアマネージャーには大きく分けて「居宅ケアマネージャー」と「施設ケアマネージャー」の2種類が
あります。
ここからは、居宅と施設のケアマネージャーにわけて、担当の人数を見ていきましょう!
居宅ケアマネージャーとは、主に居宅介護支援事業所に努め、在宅で介護を必要としている人の
住居に訪問するケアマネージャーのことをいいます。
居宅ケアマネージャーの「担当上限は39件もしくは44件」でした。
これは、先述した逓減性の適用が「40件以上、事務職員の配置またはICT(情報通信技術)を活用
している場合は45件以上」という仕組みだったためです。
しかし、2024年度の報酬改定により、この逓減性の緩和が改定され、
この2つの条件をどちらも満たすことで「1人のケアマネージャーが50件まで担当できる」
ようになります。
施設ケアマネージャーとは、主に介護施設でケアマネージャーの仕事を行うケアマネージャーのこと
をいいます。
現在の施設ケアマネージャーの「担当上限は100名」です。
なぜ、施設ケアマネージャーのほうが居宅ケアマネージャーよりも担当上限が多いのかという理由は、
居宅ケアマネージャーは利用者宅を訪問してまわらないといけないという性質があるため、
施設ケアマネージャーよりも担当の上限が少ないという理由があります。
施設ケアマネージャーは、施設に入居している利用者に対してサービスを提供するため、より多くの
担当を受け持つことができます。
ケアマネージャーの担当件数について「一人でこんなに担当しなければいけないの?」や
「さらに上限が増える可能性もあるの!?」と感じた方も多いのではないでしょうか?
実際にケアマネージャーの担当件数は増えているのが事実であり、ここからはなぜ
ケアマネージャーの担当件数がふえてしまうのか、その原因について解説していきます!
ケアマネージャーの担当件数が増えてしまう原因ひとつ目は「高齢者数の増加」です。
日本では1950年から一貫して高齢者の数が増えており、2023年では高齢者の割合が総人口の29.1%、2024年には29.3%と、人口の4分の1以上が高齢者を占めているという現状にあります。
高齢者が増えるということは、介護が必要な方も増えていくということを意味しており、
その需要を満たすためには、ケアマネージャーもより多くの担当を受け持つ必要があるという
現状があります。
ケアマネージャーの担当件数が増えてしまう原因ふたつ目は「ケアマネージャーの人員不足」です。
ケアマネージャーが不足している理由としては、先述した高齢者の増加の他に以下のような
理由があります。
ケアマネージャーはその性質上、受け持つ担当が増えると一人ひとりにかけられる時間が
減ってしまいサービスの質が下がってしまう可能性がある職種です。
また、ケアマネージャーの負担が増えすぎてしまうのを抑えるためにも「担当数が上限を超えると
報酬が減算される仕組み(逓減性)」があります。
しかし、減算が起きると事業所の収益やケアマネージャーの待遇に影響がでてしまう可能性もあり、
条件を満たすと逓減性を防ぐことができる仕組みもあるのです。
ここからはその逓減性による減額を防ぐための方法をご紹介します!
逓減性による減額を防ぐための方法ひとつ目は「事務員を配置する」です。
これは、事務員を配置することで「ケアマネージャーが行っている業務量が減る、または効率が
よくなることからケアマネージャーのキャパシティが増える」ためです。
事務員が事務処理などの業務を行っている分、ケアマネージャーがより多くの担当を受け持っても
質を下げずにサービスを提供できると考えられ、担当の上限件数が緩和され、その分、逓減性による
減額を防ぐことができるということです。
逓減性による減額を防ぐための方法ふたつ目は「ICTの導入」です。
ICTとは、Information and CommunicationTechnologyの略で、情報や通信に関する技術の総称です。
デジタル化された情報をインターネットなどの通信技術を利用して伝達をする技術を指します。
こちらも、ICTを導入し活用することで、書類業務や記録の効率が良くなったり、ケアマネージャー
との連携が円滑になるため、ケアマネージャーのキャパシティが増え、担当の上限件数を多くしても
サービスの質の低下を招かないという考えから、上限件数を緩和した分、減額を防ぐことができるのです。
この記事では、ケアマネージャーが担当できる利用者の上限について解説しました。
ケアマネージャーは多くの利用者を担当しプランを立てたり、サービスの利用開始後も
利用者や家族に寄り添っていく仕事です。
そのため、担当数が極端に増えて、利用者一人ひとりのサービスの質が低下しないためにも、
ケアマネージャーの負担が極端に増えすぎないためにも、上限の件数を超えると報酬が減額される、
逓減性という仕組みがあります。
高齢者が増加していく中、ケアマネージャーの仕事は需要が高く、やりがいも多い仕事です。
この記事をきっかけにケアマネージャーの仕事に少しでも興味がある方が増えれば幸いです!