体内の水分量が少ないとどうなる?水分の働きや補給の仕方も紹介

2024.11.21

適切な水分補給の方法を知ることは、命を守るためにも重要です。
人体の約60%は水分で、ヒトが生きていくためには水が必要不可欠です。
しかし、1日にどのくらいの水を、どのような方法で摂取すればよいのでしょうか。
この記事では、人体での水の役割や摂取すべき水分量、水分不足で起こる症状、水分補給の方法を
解説
します。

人体における水分の働きは?

水は、全身に酸素や栄養素を運んだり体温を調節したりと、重要な役割を担っており、
生命活動の維持に欠かせません。
水の体内での主な働きは、「体温調節」・「物質の運搬」・「化学反応の場」の3つです。

 体温調整の役割

人体における水分の働きの1つ目は、体温調節です。
水は比熱が大きいため、「温まりにくく冷めにくい」という性質があり、体内では一定の
体温をキープするのに役立っています。
暑いときや運動したとき、風邪で高熱を出したときなどには、多くの汗をかきます。
これは、汗が皮膚上で蒸発するときに熱が気化熱として奪われることで、体温の上昇を防ぐためです。
汗をかけば体内の水分は減ってしまうので、水分補給をしないと熱中症などを起こし、体温が
上昇してしまいます。

 栄養素や老廃物などの運搬の役割

人体における水分の働きの2つ目は、栄養素や老廃物などの物質の運搬です。
人間の体内では、水は細胞内に存在するものを除けば、主に血液やリンパ、組織液として存在して
います。
その中でも、特に血液は、酸素や栄養素などを体のすみずみの細胞まで運ぶ重要な役割を
担っています。また、細胞から生体内の反応で生じた老廃物や二酸化炭素などを回収し、
尿や汗として体外への排出も行っているのです。

 栄養素を分解し代謝する時に必要不可欠

人体における水分の働きの3つ目は、化学反応の場の提供です。
体内で行われる消化や吸収などは、水に栄養素が溶けた状態でしか行うことができません。
消化吸収後の各種代謝経路における化学反応にも、水は必要不可欠です。
例えば、三大栄養素である炭水化物、タンパク質、脂質は、消化液中の水に溶解または乳化した
状態で、消化酵素によって消化されます。
体内に存在する水が化学反応の場を与えることによって、生命活動を行うことができるのです。

1日に必要な水分量は?

近年、特に夏場は熱中症の注意喚起がされるため、水分補給に気をつけている方が多いと思います。
具体的に、1日あたりどのくらい飲めばよいのでしょうか。
1日の水分排出量は、尿・糞便で約1.6L、呼吸・汗で約0.9Lの合計約2.5Lといわれています。
したがって、1日に摂取すべき水分量も「約2.5L」です。しかし、食事により摂取する水分が約1L、
体内で作られる水分(代謝水)が約0.3Lといわれています。
すなわち、残りの「約1.2L」が1日に飲んで摂取すべき水分量の目安
です。
もちろん、夏場や運動の後など、大量の汗を流した場合には、その分多くの水分を補給する必要が
あります。

水分不足で起こる主な症状

成人の場合、水分不足で起こる主な症状は以下の通りです。特に複数の症状が見られる場合は、
脱水症状の可能性があり、早めの対応が必要です。
・口や舌の乾燥
・頭痛
・足のつり(こむら返り)
・極度ののどの渇き
・尿量の減少・濃い尿
・倦怠感
・立ちくらみ・めまい
・食欲不振
・頻脈
・血圧低下
・皮膚の乾燥

一般的に、水分を5%失うと脱水症状や熱中症の症状が現れ、10%だと筋けいれんや循環不全などが
起こり、20%で死に至るといわれています。

水分補給の仕方とポイントを紹介

せっかく水分補給を心がけていても、適切でない方法で行うと効果が期待できません。
それどころか、逆に体に悪影響を与える可能性もあります。
例えば、糖分の高い飲料を過剰摂取することで引き起こされる「ペットボトル症候群」などです。
ここでは、適切な水分補給の方法やポイントを紹介します。

 汗や尿で排出した分を補う

ヒトの体は約60%が水分で、体内では多くの重要な役割を果たしています。
そのため、水分が不足するとさまざまな症状が現れます。
汗や尿などで排出した分を補うことが重要です。
先述の通り、1日の水分排出量は約2.5Lなので、1日に摂取すべき水分量も約2.5Lです。
しかし、食事と代謝により摂取できる水分が約1.3Lとされており、「約1.2L」が1日に飲んで
摂取すべき水分量の目安です。
夏場や運動の後など、大量の汗を流した場合には、その分多くの水分を補給してください。

 のどの渇きを感じる前に飲む

のどが渇いたと感じたときには、すでに体は脱水状態に近づいています。
そのため、のどの渇きを感じる前に、こまめに水分を補給することが重要です。
運動の前など「これから汗をかきそうだな」と思ったときには、あらかじめ水分を摂って
おきましょう。
特に意識的に水分を補給したいタイミングは、起床時と入浴後です。
自覚しにくいですが、睡眠中や入浴中にも私たちはたくさんの汗をかいています。
起床時と入浴後に水分を摂る習慣をつけることで、脱水症状を防ぐようにしましょう。

 スムーズに水分がいきわたる飲料を選ぶ

熱中症対策では、塩分摂取も大切であることから、水分と塩分をスムーズに吸収できるスポーツ
ドリンクがおすすめ
です。
しかし、その選び方には注意が必要です。
スポーツドリンクは、大きく分けてアイソトニック系とハイポトニック系があります。

アイソトニック系には糖分が多く含まれ、日常的な水分補給には適していません。
一度に大量に飲むと、急性の糖尿病である「ペットボトル症候群」のリスクが高まります。
経口補水液などのハイポトニック系は糖分が少ないため、日常的な水分補給に最適です。
スポーツドリンク以外ならば、水や麦茶、そば茶、ルイボスティー、ハーブティーなども水分補給に適しています。利尿作用のあるカフェインを含まないことがポイントです。

 冬は意識して水分を摂取する

気温が高く、自然とのどが渇く夏は積極的に水分補給をする人が多いと思います。
しかし、知らず知らずのうちに水分不足になりやすいのが冬なのです。
冬の屋外は気温が低いため空気が乾燥し、屋内は暖房の使用により乾燥しやすくなっています。
そのため、冬は意識して水分を摂取するようにしましょう。
また、暖房使用時には加湿器なども使用して、乾燥対策をすることもおすすめします。

 冷たい飲み物は極力避ける

夏場は特に、冷たい飲み物を飲みたくなる人が多いでしょう。
しかし、長時間冷房が効いた部屋で過ごし、体が冷えた状態で冷たいものを一気に飲むと、
体の内側からも冷えて、内臓の働きが低下します。
消化管の機能が落ちて、胃もたれや便秘、下痢が引き起こされることがあります。
また、女性の場合は月経不順を招く可能性もあります。

そのため、暑い環境で長時間過ごした場合を除き、できるだけ常温や温かい飲み物をとるように
心がけましょう。
胃腸を温めるには、白湯やショウガ湯もおすすめです。

まとめ

今回は、水分補給の重要性をメインに解説しました。
・水の体内での働きは「体温調節」・「物質の運搬」・「化学反応の場」。
・1日に約1.2Lの水分摂取が必要。
・水分が不足すると、「のどの渇き」・「立ちくらみ」・「頭痛」などの症状が出る。
・水分補給のポイントは、「のどの渇きを感じる前」・「スムーズに吸収される飲料」
・「冬も注意」・「冷たい飲み物は避ける
」など。
水分補給は命を守るためだけでなく、健康や美容のためにも重要です。日頃から意識して水分を摂取するように心がけてください。

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