家族の介護をしている中で、家族の要介護度や要支援度が実態とあっていないと感じたことが
ある人は多いでしょう。
もしくは最近の様子から今の要介護度と合っていないと感じることも出てくることが
多々あります。
そうした場合に有効となるのが区分を変更することです。
区分変更をすることによって受けられるサービスも異なってくるため、区分変更の申請は
してみたほうがよいでしょう。
ここでは介護認定から区分変更のタイミングなどに紹介していきます。
この記事を参考に家族の区分変更を検討してみましょう。
目次
要介護認定は7つの区分によって分けられています。
7つの区分分けはその人の要介護の状態によってきめられています。
ここでは7つの介護区分について詳しく見ていきましょう。
要介護認定とは、対象者が要介護状態もしくは要支援状態か否かを判断し、どの程度の
介護や支援を必要とするのかを判定する仕組みです。
必要な介護の度合いによって要支援1・2または要介護1~5の7つの区分に判定されます。
区分を判定するには「要介護認定等基準時間」の考えを用いています。
これは入浴や排せつなど生活に必要最低限の介護である直接生活介助と、家事などの
生活の援助である間接生活介助、問題行動関連行為、機能訓練関連行為、医療関連行為の
5分野について、介護に要する時間を算出して定めているものです。
そのため介護の時間が長くなるほど、要介護度は高くなります。
要介護認定の区分の変更とは、要介護の認定を再度行うことで介護認定審査会で新たに
判定をし直してもらうことを指します。
区分認定を行うときは、主に要介護者本人の心身の状態が悪化した場合に行います。
例えば認知症が急激に悪化して目を離すことができなくなった場合や、入院を機に身体機能が
悪化した場合などの時、区分変更を検討するとよいでしょう。
区分変更をするべきか迷ったときは、担当ケアマネージャーや地域包括支援センターなどに
相談することをお勧めします。
では区分変更はどのようなタイミングで行えばよいのでしょうか。
基本的には介護の必要性が増したときなどに、区分変更の申請を行うことが多いです。
ここでは主に区分変更を行うタイミングを3つ見ていきましょう。
まずは介護の実態と認定された介護度が低いと感じた時、区分変更の申請を行います。
介護の実態と認定された介護度に差が生じる理由としては、認定調査時の状況が結果に
反映されるためです。
例として認知症の症状の幅が大きい人の場合、たまたま認定調査時に症状が軽かった場合、
実際よりも介護度が低くなるケースがあげられます。
介護の認定には認定調査時の状況を参考にして審査するため、介護の実態と介護度に差が
生じていると感じたときは、区分変更の申請を行いましょう。
疾患の進行により心身の状況が悪化した場合、今まで以上の介護を必要とするようになります。
入浴等の清潔保持や排せつ、移動などの身体的な支援や、体調管理や在宅で必要な医療ケアを
行う訪問看護や訪問診療など、身体的機能の低下により必要となる介護は増えていきます。
特に今まで以上に介護サービスを利用する頻度が高くなった場合や、定期的な見守りが
必要となったときは区分変更を行ったほうがよいでしょう。
区分変更は利用者の心身の状況の悪化から行うというものではありません。
今まで利用してきた介護サービス以外に新たに介護サービスを必要とするときも、
区分変更を行うことがあります。
例えば認知症の進行によって家族だけでは見守ることが困難になった場合、身体的に
回復してきて身体機能維持の活動が可能になったとき、デイサービスなどの導入を必要と
なったときにも必要です。
また福祉用具を利用する状態になった場合も区分変更を行うことになります。
要介護認定や介護度の区分の変更は家族が行うことも可能ではあるものの、
手続きが煩雑するため基本的にはケアマネージャーが行います。
しかし代理で申請してもらうにしても区分変更の流れは知っていたほうがよいでしょう。
ここでは区分変更の流れを紹介していきます。
区分変更を行うには、まずケアマネージャーによるアセスメントの実施が求められます。
アセスメントを実施することで利用者の状況の変化を再確認し、区分変更前とどのような
変化があるのかをチェックしてもらいましょう。
どのような変化があるのかを確認してもらい、区分変更可能かの確認を行います。
このときに区分変更後に必要となるサービス内容を事前に検討することで、
その後の対応がスムーズに進みます。
アセスメントの実施が終わったら必要書類の準備に入ります。
区分変更申請に必要な書類は以下の通り。
認定調査では主治医の意見書の実だけでなく、利用者本人や家族に聞き取り調査を行います。
特に各自治体の認定調査員が自宅や施設を訪問し聞き取りを行う介護認定調査は、
要介護認定の結果を左右する重要なものです。
この調査では利用者や家族に身体機能や生活機能など6つの項目をチェックするものと
なっています。
判定時の重要な判断基準となるため、認定調査を受ける前に6つの項目について
把握しておくとよいでしょう。
区分変更申請を行うと、コンピューターによる一次判定が実施されます。
これまでの介護施設などの統計データをもとに、どの程度の介護度であるかを判定します。
この一次判定が終了すると、介護認定審査会とよばれる医療職をはじめとした専門家による
二次判定が実施。
二次判定では専門家たちによる話し合いを行い、一次判定の結果が妥当であるのかや、
どの程度の介護が必要なのかを判断します。
この二次判定により、初めて介護度が認定されます。
区分変更が終わったらその結果が通知され、区分変更後の介護度が記載されており、基本的に
申請から約30日以内に郵送されます。
区分変更された場合、介護度の更新申請が必要となるため、指定された期間内に手続きを
行いましょう。
認定結果が届き介護度の区分変更を行ったら、新しいケアプランを作成してもらいます。
利用者や家族と相談しつつ、どのような希望があるのかをまとめたうえで、サービスの見直しを
行いましょう。
区分変更の申請を行う際にいくつか注意しておきたい点があります。
ここでは特に注意しておきたい3つの項目についてみていきましょう。
利用者にとって区分変更を行うことは、本当に必要なのかをしっかりと確認することが大事です。
現状の介護度であったとしても、受けているサービスの変更や必要ないサービスを整理することで、
問題なく過ごせる場合があります。
またデイサービスや通所リハビリを利用する場合、介護度が高まればサービスにかかる
負担が大きくなります。
区分変更を検討したとしてもすぐに変更の申請を行うのではなく、今の介護度の支給限度額で
やりくりができないか確認してみましょう。
区分変更申請を行う際は必ず利用者や家族に説明を行い、理解を得るようにしましょう。
なぜなら基本的に利用者や家族の同意なしに区分変更することはできないからです。
区分変更をすることで利用者や家族にとってどのようなメリット・デメリットがあるのかを
詳しく説明したうえで手続きを行っていきましょう。
また家族や利用者から区分変更の希望があったとしても、できないケースがあります。
それは以前と今で現状に変化がない場合や、要望と逆の結果になるケースです。
利用者が区分変更申請を行ったとしても、変更の望みが薄い場合は申請をしないほうが得策です。
区分変更はトラブルにもつながることがあるため、重要な説明は詳しく利用者や家族に伝えましょう。
認定結果が予想と異なり、結果に不満があるときは不服申し立てが可能です。
介護保険審査会が不服申し立ての内容が妥当だと判断した場合、要介護認定が取り消され、
再び区分変更の審査が行われます。
ただし不服申し立てを行ったからと言って、すべてが区分変更の審査を受けられるとは限りません。
不服申し立てがある場合は、認定結果の通知を受けた翌日から3か月以内と決められています。
また不服申し立ての結果が出るまでには時間がかかる傾向にあるため、早めに準備を
しておきましょう。
区分変更を行うことで、利用できるサービスが増えますが要介護度が上がることで
負担も増えることを知っておきましょう。
また、区分変更は受けられる介護サービスの充実などのメリットもあるため、
現状の要介護度に不満があるときは区分変更申請を行いましょう。
その際はケアマネージャーから区分変更をすることのメリット・デメリットの説明をしっかりと
理解しておくことが大切です。
区分変更申請を考えているのであれば、まずは担当ケアマネージャーに相談し、
適切なアドバイスをもらうようにしましょう。
区分変更申請を行うことで、今以上に充実したサービスが受けられることを祈っています。