療養型病院の費用を徹底解説!特徴や払えない時の制度も紹介

2024.12.02

急性期医療を終え、病状が安定した後、継続的な医療や介護が受けられる施設として
「療養型病院」があります。
「療養型病院」はどのような特徴を持った施設で、どれくらいの費用がかかるのでしょうか?

そこで「療養型病院」の特徴と費用について徹底解説します!
また、費用が高額になる場合の対策として払えない時の制度も紹介しましょう。

療養型病院の特徴

療養型病院は、病状が安定している方や治療よりも長期にわたる介護が必要な高齢者や
後期高齢者を対象にして、医療ケアやリハビリテーションなどのサービスを提供する病床です。
リハビリや医療ケアが手厚いのが特徴です。

 療養型病院の利用対象者

療養型病院は、急性期医療を終え、病状が安定している方や継続的な入院加療を必要とする方、
治療よりも長期にわたる介護が必要な高齢者や後期高齢者を対象にした施設です。

療養型病院の入所対象者は、医学的管理が必要な要介護1以上の高齢者(65歳以上)である
ことや、感染症など治療の必要な疾患がない方などです。
また、65歳以下でも介護認定がある場合には入居の相談が可能なため、施設に問い合わせて
確かめる必要があります。

 療養型病院の人員体制・設備

療養型病院の人員体制の基準は、医師が入居者48人に対して1人以上、介護・看護職員は
入居者3人に対して1人以上と、手厚い人員体制が規定されています。

医療ケアやリハビリテーション等の必要なサービスを提供する病床です。
療養型病院で配置が義務付けられているスタッフは、医師、薬剤師、栄養士、
看護・介護職員、作業療法士、理学療法士などが該当し、
専門分野のスタッフが利用者の生活を支え、医療ケアやリハビリが充実しています。

 他の介護施設との違い

療養型病院にある療養病床は一般病床に比べ、医師や看護師の割合が少ないのが特徴です。
療養病床は看護補助者の配置が定められています。

これは、医師の治療が中心の一般病床とは違い、療養上の世話に対する比重が大きいからです。
特養や老健などは介護保険が適応される施設ですが、療養型病院は医療保険の適応となります。

介護施設と比べると、医師や看護師の配置は充実しており、介護施設での対応が難しい病気や
状態の方でも受け入れが可能です。

療養型病院の療養区分・ADL区分とは

療養型病院(医療療養病床)の入院費用は利用される方の療養区分・ADL(日常生活自立度)
によって区分され変動します。

見守りや手助けなどを受けず、自分で行える状況の段階から、全ての動作において介助や介護を
必要とする状況の段階までを6段階に点数化して、24点を最高得点とし分類します。

各費用は医療区分や日常生活の自立度による区分(ADL区分)によって変動し、必要なケアを
個別に受けた場合は加算されます。

療養型病院の入院費用の内訳を紹介

療養型病院の入院費用は実際にどの程度かかるのかという内訳を紹介しましょう。
療養型病院は充実した医療サービスを受けられますが、費用は安価です。

入院費用の内訳には、入院医療費や食費、居住費の他に、介護用おむつ代、テレビの利用料、
個室を利用する場合には個室代などがかかります。
入院医療費、食費、居住費は医療保険が適用されますが、その他の費用は
全額自己負担となります。
それぞれの費用の区分をみていきましょう。

 入院医療費

療養型病院の入院にかかる費用の平均、入院にかかる費用は個人の年齢や治療内容や
症状および日常生活自立度などによって違いますが、一般的に10万円~20万円と言われています。

療養型病院に入院する65~74歳以上の高齢者の場合、食費と居住費(光熱水費)を
自己負担することになり、1日あたりの自己負担額は生活療養標準負担額として定められています。
ただし、難病指定を受けている場合は居住費の負担が軽減されます。

 食費

療養型病院の療養病床に入院した場合の食事代が必要になります。
療養病床に入院する65歳以上の方は、食費及び居住費相当として生活療養標準負担額の負担が
必要となっています。

入院時の食費は、健康保険被保険者で被扶養者共に1食につき460円を負担することになっています。
標準負担額として、平均的な家計における食費をもとに厚生労働大臣が定めた金額です。
ただし、住民税非課税世帯の場合や指定難病患者は負担が軽減されます。

 居住費

療養型病院に65歳以上の人が入院する場合、区分や世帯所得の関係なく、1日につき
370円が居住費として自己負担となります。

ただし、指定難病患者では負担が軽減され、65歳未満では居住費の負担はありません。
生活療養標準負担額とは、食費と居住費を合算したもので自己負担費用になります。
生活療養標準負担額は、生活療養にかかる平均的な費用額や、
平均的な食費及び光熱水費の状況等を考慮して厚生労働大臣が定めた金額です。

 その他

その他の費用については、医療保険が適用されないため全額自費負担となります。

おむつを使用する場合には、尿とりパッドやリハビリパンツなども含め、1日1,000円と
仮定すると約30,000円が必要になると予測できます。

個室を希望し利用した場合には、特別に室料がかかる場合があります。
個室代の相場としては、1日1,000円~3,000円です。
病室にテレビがある場合は、テレビカードや電気代として請求する病院もあります。

療養型病院の費用が払えない時の制度を紹介

療養型病院(医療療養病床)の費用が払えない時に、どのような軽減制度があるのかを
見ていきましょう。
下記の負担軽減制度について詳しく解説しましょう。

  • 高額療養費制度
  • 高額療養費受領委任払制度
  • 高額療養貸付制度

 高額療養費制度

高額療養費制度とは、医療費が高額になった場合、生活が困窮しないよう、1カ月で支払う
医療費の上限額を定める制度です。

年齢や収入により区分され、定めた医療費の上限を超えた場合、その超えた金額が払い戻される
制度です。
医療保険サービスのみが適用されるため、食費やおむつ代などの自己負担分は含まれません。
1カ所の病院で上限額を超えない場合でも、同じ月に支払った医療費を合算して、申請が可能です。

 高額療養費受領委任払制度

高額療養費受領委任払制度は、高額療養費制度の限度額適用認定証と似た仕組みの軽減制度です。
事前に申請し、医療機関との受領委任契約をすることで、高額療養費の該当分を、医療保険から
医療機関へ直接支払ってくれる仕組みです。

利用する方は、医療費が高額のため、生活を維持しながら医療機関へ医療費を支払うことが
困難な人に限られています。
利用したい場合は、自分の加入している保険組合に事前に確認しておくとよいでしょう。

 高額療養貸付制度

高額療養貸付制度は、申請してから支給されるまでに3カ月ほどかかるため、病院に支払う
費用が用意できない場合、高額療養費で支給される予定の金額の8~9割の相当額を、
無利子で借りることが可能です。

70歳未満の限度額適用認定証の適用を受けることができない人が医療費が高額となった際、
医療機関で自己負担限度額までの支払いをします。
その後、貸付申請を行って貸付基金より、本人の代わりに医療機関へ残りの医療費を支払う制度です。

まとめ

療養型病院の費用や特徴について解説しました。
更に、療養型病院の費用が払えない時の制度について紹介しました。

療養型病院は、医療ケアと介護サービスを必要とする方には最適な施設で、比較的費用も
安価ですが、長期的な利用を目的とした施設ではないため、3〜6カ月程度で転院や退院となります。
ケアマネジャーと相談してみてはいかがでしょうか。

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