65歳以上の介護保険料は自動計算できる?計算方法や支払い方法を解説

2024.12.02

「65歳以上になると介護保険料は今までとどう変わるのだろう」と疑問をお持ちの方も
いらっしゃるでしょう。
65歳以上になると、介護保険料の負担が今までより増える可能性があったり、介護保険料の
支払い方法も変わってきます。

65歳以上になったら介護保険料はどのように変わるのか、計算方法や支払い方法などを解説します。

介護保険制度の概要

介護保険制度について定めた法律である「介護保険法」は、介護や支援を必要とする人に、
介護や介護予防に必要な費用の一部を給付する制度です。
40歳以上の人が被保険者で、規定の負担割合で介護や支援サービスを利用できます。

 40歳から公的介護保険の支払い義務が生じる

日本では、40歳以上の人は介護保険への加入義務があり、介護保険料を負担します。
介護保険料が、40歳以上を被保険者とするのは、およそ40歳ぐらいから、要介護状態になる
可能性が高くなってくることや、親の介護を要する状態になる可能性が高くなるためで、
世代間連帯によって介護を支え合うという制度の目的にかなっています。

介護保険料の納付は国民の義務であるため、無職の方でも基本的には納付しなくてはいけません。

65歳以上の介護保険料は?

65歳以上になると介護保険料が今までの金額より上がる可能性があります。
その理由として、介護保険料の算出方法が変わることや会社員の場合、勤務先の負担分が
なくなり全額自己負担になるためです。

 原則年金からの天引きになる

65歳を超えると給料からの天引きではなくなります。
会社員の場合は、40から64歳までは給与から介護保険料が天引きされます。

65歳を超えると、原則として年金からの天引きに変わります。
65歳以降も働き続ける場合でも、健康保険料とは別で納付することになります。
ただし、年金から天引きされるようになるまでには半年から1年程度の準備期間が必要で、
天引きが開始されるまでは口座振替や納付書での支払いになります。

 介護保険料の金額が高くなる可能性がある

介護保険料の算出方法は65歳以上の第1号被保険者になると変わります。
具体的に、本人の所得のほかに、その地域に住んでいる65歳以上の方の人数、介護サービスに
必要な費用の見込額などに基づき、基準となる金額が算出されます。

また、会社員の場合、64歳までは介護保険料の半分を自己負担し、残りの半分を勤務先が
負担してくれていますが、勤務先の負担分が65歳以上になるとなくなるため、全額を
自己負担することになります。

介護保険料の平均金額

第1号被保険者(65歳以上)の、1カ月あたりの保険料は、市町村(東京23区は区)が
3年に1回条例で定める基準額に、所得段階別の乗率をかけた額になります。
2024(令和6)年度からの基準額の全国平均は月額6,225円ですが、市町村(東京23区は区)に
よって3,374円〜9,249円と差があります。

名古屋市では、保険料の額は所得等に応じて18段階となっています。
低所得の方の負担が重くならないように配慮されています。

介護保険料の計算方法を紹介

第1号被保険者(65歳以上の場合)は「基準額」により決定します。
また、第2号被保険者(40歳から64歳の場合)は、加入している保険の種類によって介護保険料の
計算方法に異なる点があります。
計算方法を紹介しましょう。

 第1号被保険者(65歳以上の場合)

65歳以上の方の介護保険料の計算方法としては、各自治体で定められている「基準額」と、
本人や世帯の所得状況などによって決定します。
「基準額」とは、介護サービスに必要な費用のうち、第1号被保険者が負担する割合を、
その自治体に住む65歳以上の方の人数で割った金額のことです。

第1号被保険者は所得や住民税の課税状況などによって段階が設けられており、
地域の自治体公式サイトに基準額が記載されている場合もあります。

 第2号被保険者(40歳から64歳の場合)

  • 【国民健康保険に加入している人】
    介護保険料=所得割額+均等割額+平等割額+資産割額
    ※一世帯当たりの所得割、均等割、資産割、平等割の、いずれかの組み合わせで算出される
  • 【職場の医療保険に加入している人】
    介護保険料 = 給与(標準報酬月額)および賞与(標準賞与額)× 介護保険料率

    ※標準報酬月額は、原則として4〜6月の給与の平均額を計算し、健康保険法第40条による
    「標準報酬月額表」と照らし合わせて算出される

65歳以上の介護保険料の2つの支払い方法

65歳以上の方の介護保険料の納付方法には、2つの方法があります。
年金から天引きされる「特別徴収」と納付通知書によって銀行などの窓口およびコンビニ
エンスストア、または口座振替で納付できる「普通徴収」があります。

 特別徴収

介護保険料の「特別徴収」とは、年金支給の際に年金支払機関(日本年金機構など)が
介護保険料を天引きして徴収し、市町村へ納付する徴収方法です。

年金受給額が年間で18万円以上の場合は対象となります。
一般的な納付方法で、本人や家族による手続きは不要です。

なお、年金から自動で天引きされるまでに約半年〜1年の準備期間が必要です。
準備が整い特別徴収の開始が通知されるまでは、納付書や口座振替による納付となります。

 普通徴収

介護保険料の「普通徴収」とは、納付書か口座振替で保険料を納める方法のことです。
介護保険料については、特別徴収が優先すると法令で定められており、被保険者が納付方法を
選択することはできません。

年金受給額が年間で18万円未満の場合は普通徴収になります。
口座振替、または納付書を使って役所や銀行、コンビニなどで支払います。
納付書を使う場合は実際に支払う手間が必要になるため、納付を忘れないよう注意しましょう。

介護保険料を滞納するとペナルティが課せられる

介護保険料の支払いが遅れると、納付期限20日以内に督促状が郵送され、延滞金や督促手数料が
請求されます。
1年以上滞納が続くと、介護保険サービスを利用した際に、自己負担1〜3割で介護サービスの利用が
できず、全額自己負担での支払いとなります。
1年半以上では、介護保険サービスを利用した際、全額の10割が自己負担となり、期限から2年以上
経過した場合には、介護保険サービスの利用者は自己負担の割合が3〜4割に上がります。

まとめ

65歳以上の介護保険料の計算方法や支払い方法を解説しました。
介護保険料は65歳以上になると原則は年金からの天引きとなり、計算方法が変わることから
納付する金額も変動します。

未納に気付かず滞納してしまうケースもあり、支払いを滞納してしまった場合には、期間によって
ペナルティが課せられます。
あらかじめ介護保険について知っておく必要があるでしょう。

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