要介護1の状態であったとしても、一人暮らしをしたいと考える人はいるでしょう。
要介護1に認定されるケースで多いのが認知症です。
認知症を抱えたまま、一人暮らしをするにはハードルが高いのではと不安に思う人もいるでしょう。
しかし、リスクはあるものの受けられる支援もあるため、一人暮らしをすることは可能です。
この記事では要介護1とはどんな状態かから、リスク、受けられる支援について紹介していきます。
ここで紹介する情報をもとに、一人暮らしを検討してみましょう。
目次
要介護1とは、日常生活を送る動作が低下し、部分的な介護を受ける状態のことを指します。
ここでは要介護1の認定基準から、要介護1で多い認知症についてみていきましょう。
要介護認定において、介護度の判定をおこなうときに重要なのは心身の状態ではなく、
介護にかかる時間です。
そのため要介護認定をおこなうには、厚生労働省が定めた「要介護認定基準時間」をもとに
判定します。
要介護認定基準時間は、介護の手間にかかる時間を算出したものです。
要介護1では、介護にかかる時間を32分以上50分未満とされています。
この基準に該当する人が要介護1と認定されます。
介護にかかる時間をもとに、自身の要介護度の目安とするとよいでしょう。
厚生労働省の「平成28年度国民生活基礎調査の概況」では、要介護1になった原因の第1位が
認知症であると記載されています。
また2019年3月末時点の要介護(要支援)認定者数は658万人。
そのうち約20%に該当する132万人が要介護1の認定を受けています。
認知症は軽度の状態であれば、食事や排せつなど日常生活の基本動作をおこなえます。
要介護1の認知症の状態は、認知症を発症しているものの比較的軽い症状の人が対象者です。
要介護1の状態であれば、一人暮らしをすることは可能です。
しかし、リスクもあるため、生じるであろうリスクを把握したうえで一人暮らしをしなくては
なりません。
ここでは特に気を付けたいリスクを6つみていきましょう。
一人暮らしであることから病気やけがの対応が遅れることがあります。
特に一人暮らしで認知症の症状が現れたとしても、それにすぐに気がつける人が近くにいません。
そのため認知症の発見が遅れてしまうリスクがあります。
自分でも気が付かないうちに症状が進行し、徘徊や近隣トラブルを招くこともあります。
また部屋で転倒し骨折したとしてもすぐに対応できる人がいない、風邪をひいたときに
看病してくれる人がいないといったリスクも。
病気等の対応が遅れるリスクがあるため、毎日決まった時間に家族と連絡を取るなど対策して
おいた方がよいでしょう。
一人暮らしの場合、認知症の進行に周囲が気付くのが遅れやすくなります。
家族と生活しているのであれば、物忘れの頻度が増えてきた、直前のことが思い出せないなどの
症状が目立つようになったらすくに医師に相談することができます。
しかし、一人暮らしの場合は物忘れがひどくなっていたとしても、気が付いてくれる人が
近くにいません。
その結果として認知症の進行を放置することになり、結果として認知症を進行させてしまいます。
認知症の進行にいち早く気付くためにも、家族が定期的に訪問し、症状が悪化していないかを
確認するようにしましょう。
認知症では軽度の段階であったとしても、物忘れや注意力が低下する症状が見られます。
特に物忘れや注意力の低下で引き起こす可能性が高いのが、火の不始末です。
コンロの消し忘れやたばこの不始末など、火災を起こすリスクが高まります。
それだけでなく、急に災害に見舞われたときも判断力の低下から、どういった行動を起こせば
よいのかわからなくなることがあります。
そのため災害時の避難が困難となる可能性があるため、災害時にどのような行動をとればよいかを
しっかり確認しておく必要が出てくるのです。
災害に合ったときに命を守る行動が取れない状況に陥る可能性もあるため、災害時の対応について
家族と確認しておいた方がよいでしょう。
判断力の低下から、お金の管理がうまくできずに金銭トラブルに巻き込まれてしまうことがあります。
詐欺被害に遭ったり、高額な商品を購入させられる可能性が出てきます。
金銭トラブルを防ぐためには、買い物に行くときは家族が買い物リストを作成し、
付き添うことで無駄遣いや金銭トラブルの回避が可能です。
しかし訪問介護ヘルパーが認知症の人の家で金銭を盗むといったことも発生しています。
そのため金銭管理はなるべく信頼できる家族に頼んだ方がよいでしょう。
認知症を発症している人が外出をする際、自宅への帰り道が分からず迷子になってしまう
ケースがあります。
迷子になってしまうと夏であれば脱水症状、冬であれば低体温症のリスクが高まります。
それ以外にも迷子になった際に転倒し、骨折するリスクも。
さらに迷子になった際に行方不明になる可能性もあります。
外出時に迷子になる可能性があるため、身元の分かるものを必ず携帯するように伝えておきましょう。
外出時に迷子になる可能性がある場合は、家族が付き添い、迷子になるのを未然に防ぐのも
よいでしょう。
認知症の人が一人暮らしをする場合、生活習慣や食生活が乱れるケースが見受けられます。
特に食生活は、栄養バランスの乱れた食事をとりがちになるほか、食事をとることを忘れて
しまうケースも。
栄養バランスの乱れた食事は「低栄養」になるリスクがあり、「低栄養」になってしまうと、
認知症の悪化につながる恐れが出てきます。
また、薬を服用している場合、薬の飲み忘れや薬の量を間違えてしまうこともあります。
そのため薬に関しては、家族がきちんと管理することが重要です。
要介護1になると福祉サービスなどを利用して生活することになります。
ここでは要介護1の人が受けられる主なサービスを6つみていきましょう。
居宅介護サービスは、自宅に居ながら介護を受けられる「訪問型介護サービス」や、
施設に通うことで介護サービスを受けられる「通所型サービス」などがあります。
他にも短期間の間だけ施設に泊まることができる「短期入所サービス」、「福祉用具」も
居宅介護サービスに該当します。
それ以外のサービスとして、自宅から移り住んで利用するサービスも利用可能です。
自身の状態に合わせて、サービスの選択ができるため必要なサービスを適切に選択
できるようにしておきましょう。
訪問型サービスは大きく分けると5つのサービスに分けられます。
施設に通って利用するサービスのことを通所型サービスとよんでいます。
利用者が可能な限り自立した生活を送るために、他者とのかかわりや心身機能の維持、家族の
介護負担の軽減など様々な役割を担っています。
主な通所型サービスは通所介護であるデイサービス。
デイサービスは日帰りで利用でき、入浴や食事提供、身体機能の訓練などが受けられます。
他にも医療機関などに赴いて機能回復訓練を受けられる通所リハビリテーションなどがあります。
通所介護では他者と深くかかわりあうことができるため、コミュニケーションの場としても
利用可能です。
複合型サービスは「訪問看護」と「小規模多機能型居宅介護」を組み合わせたサービスです。
通いで受けられる通所介護、泊りで利用できる短期入所生活介護、訪問型の訪問介護のサービスを
一つの事業所で受けることができます。
複合型サービスには次の2つの種類があります。
施設介護サービスは要介護認定の結果、要介護1から要介護5までの判定を受けた人が、
介護保険法で定められた施設で利用できるサービスのことをいいます。
施設介護サービスで選択できる施設は介護が中心か、治療が中心かを選択して自身で
選ぶことになります。
施設サービスを行っている施設は次の4つです。
福祉用具をレンタルすることで、日常生活においてよりよい暮らしを送ることができるように
なります。
福祉用具をレンタルすると、福祉用具の貸与費の支給を受けられます。
しかし、要介護1の場合は、次にあげる福祉用具のレンタルは原則的に保険給付の適用外となるため
注意が必要です。
認知症を発症した状態で一人暮らしをすることは、大きな決断となります。
しかし、家族の協力や利用できる福祉サービスを利用することで、孤独を感じることなく
自分らしい生活を送ることができます。
介護福祉サービスを取り入れることで、暮らしに彩りが出てくる場合も。
困ったことがあったらすぐに家族や福祉サービスの職員などに相談し、快適な一人暮らしを
送れるようにしましょう。