有料老人ホームで働く看護師の仕事内容|メリットやデメリット・給与も紹介

2024.12.03

高齢者の割合がどんどんと大きくなっている昨今、今後も需要のある看護職ですが、
病院以外にも活躍の場が広がっていることはご存知でしょうか?

この記事では、有料老人ホームで働く看護師の仕事内容について紹介し、そのメリットや
デメリット、給与面についても解説していきます。
看護師を目指している方や、病院以外での看護を検討している方は是非最後まで読んでみてください。

有料老人ホームとは

有料老人ホームとは「食事の提供」「掃除や洗濯などの家事」「介護(入浴、排泄、食事)」のうち、
1つ以上のサービスを提供する施設です。
利用者は、自立している高齢者はもちろん要介護認定を受けている方など、施設の方針によって
様々な方が利用できます。

民間の事業者でも運営がしやすいことから、施設数は右肩上がりで増えています。
まずは、有料老人ホームとは何かという基本的な概要を紹介します。

 3タイプの有料老人ホームがある

有料老人ホームは提供するサービスの種類により、以下の3種類に分けられます。

  • 介護付き有料老人ホーム
     その名の通り介護サービスが受けられる施設です。都道府県知事から「特定施設入居者介護」
    の指定を受けているため、基本的には介護保険が適用される。
    24時間スタッフが常駐し、看護師の配置が義務付けられている。
  • 住宅型有料老人ホーム
     緊急対応や生活支援を行い、介護サービスはなく、必要な場合は個別に訪問看護や
    通所介護などの外部サービス受ける必要がある。
    そのため、住宅型有料老人ホームと併設して訪問介護事業所やデイサービスがある施設も多い。
  • 健康型有料老人ホーム
     自立した方が入居できる有料老人ホームで、入居者が要支援や要介護状態になると
    退去しなければならない。
    食事の提供や家事のサポートが提供されており、自立した状態を保つために、
    ジムや温泉施設、レクリエーションが充実している場合がある。

 要支援・要介護認定を受けた高齢者が入居

有料老人ホームに入居できる方の条件は、有料老人ホームのタイプによって違います。

  • 介護付き有料老人ホームの入居条件
     原則として60歳以上、または65歳以上の要支援1〜要介護5の要介護認定を受けた方
  • 住宅型有料老人ホームの入居条件
     原則として65歳以上で、自立〜要介護5の方
  • 健康型有料老人ホームの入居条件
     おおむね60歳以上で、介護を要せず健康で自立している方

※施設によっては、自立の方も入居できたり、要介護1以上の方に限定している施設もあります。

有料老人ホームで働く看護師の仕事内容

有料老人ホームでは、看護師の配置が義務付けられている施設もあります。
看護師の専門である医療的なケア以外にも、介護スタッフと一緒に日常生活の援助を
行うこともあります。
ここでは、有料老人ホームで働く看護師の仕事内容について解説していきます。

 医療行為

有料老人ホームにて、看護師が行う医療行為には以下のようなものがあります。

  • 体調確認(コミュニケーションをとりながら、いつもと違った様子はないか確認したり、
    検温や血圧測定などバイタルサインに異常がないかなどの確認)
  • 褥瘡処置(介護度の高い方は寝たきりの方も少なくありません。介護士では褥瘡の
    処置はできないため、看護師が褥瘡の処置を行います)
  • 痰の吸引(自分で痰を喀出できない方に対して吸引器を利用し、痰の吸引を行います。
    頻度はその方の状態によって変わってきます)
  • 胃ろうによる注入(何らかの理由で、口から食事ができず胃ろうを造設している方が
    入居している場合には、栄養や水分の注入を行います)
  • インスリン投与(糖尿病によりインスリンの投与が必要な方が入居している場合は、
    定期的にインスリンの投与を行います)

上記以外にも、転倒や体調の急変がおきた場合は、応急処置やスタッフへ指示を
出すこともあり、医師への報告や受診の判断、救急要請なども行います。
定期的な通院の付き添いも看護業務としている施設も多くあります。

 日常生活の援助

有料老人ホームにて、看護師が行う日常生活の援助には以下のようなものがあります。

  • 食事の介助
  • 爪切り
  • 服薬の管理
  • 口腔ケア

    おむつ交換や食事介助は基本的に介護スタッフが行いますが、看護師も他のスタッフと
    協力して臨機応変に業務を行うことが多いです。
    施設によっては、オンコール対応や夜勤もあります。
    入居されている方の体調や要介護度によって業務は大きく変わってきます。
    どんな方が入居しているのかについては、事前にしっかりと確認しておくことが大切です。

有料老人ホームで働く看護師の給与はどれくらい?

有料老人ホームで働く看護師の給与は、他の介護施設と比べてどれくらいなのでしょうか。
平均的には、有料老人ホームにおける看護師の給与は介護施設の中では真ん中あたりと
言われています。
では、有料老人ホームで働く看護師の給与は具体的にはどれくらいなのでしょうか。

 常勤

有料老人ホームで働く看護師(常勤の場合)の平均年収は「約420万円」となっています。
看護師全体の平均年収が「約480万円」のため、比較すると60万円ほど低い給与となっています。

また、月収の平均は「25万円〜35万円」、ボーナスの額は「45万円〜70万円」となっており、
夜勤やオンコールの有無と回数、経験年数や地域、企業の規模によっては
「年収500万円〜600万円」という看護師も珍しくありません。

全体の平均年収よりも低い額ですが、病院の病棟に比べると落ち着いて働け、
日勤メインで働けることに差額以上のメリットを感じている方も多いようです。

 パート・アルバイト

有料老人ホームで働く看護師(パート・アルバイトの場合)の給与は時給で計算すると
「1500円〜2000円」という結果になっています。
つまり、平均の時給は「1700円程度」となります。
傾向としては、都市部では高い時給の傾向にあります。※地域によって差があります。

現在、日本の平均時給は約1300円のため、平均に比べると高い時給で働くことができます。
しかし、パートやアルバイトとして働く場合は、収入が103万円を超えると所得税がかかり、
130万円を超えると保健や年金へ加入することになるため、どのくらいの年収を希望しており、
税金や保健についてはどう考えているかなどしっかりと話し合った上で働くことをおすすめします。

有料老人ホームで看護師として働くメリット

有料老人ホームにおける給与について常勤とパート・アルバイトに分けてご紹介しました。
給与はもちろん大切ですが、それと同じくらいに大切にしたいのが、働く上でのメリットです。

ここからは、有料老人ホームで看護師として働くメリットについてまとめたので、
ご紹介していきます。

 介護施設の中では給料が高めの水準

有料老人ホームにおける看護師の給与については、すでに解説しましたが改めて介護施設の中では、
給与の水準が高めであることは大きなメリットと言えるでしょう。
有料老人ホームは民間の企業が運営していることが多く、設備やサービスが充実し収益の
大きい施設では、さらに給与が高くなる傾向にあります。
各介護施設での平均月収の目安は以下のようになります。※地域や施設によって差があります。

  • 有料老人ホーム「43万円」
  • 特別養護老人ホーム「42万円」
  • 介護老人保健施設「約45万円」
  • グループホーム「約40万円」
  • デイサービス「約35万円」

 日勤をメインとして働くことも可能

有料老人ホームの中には「夜勤やオンコールがない」施設があることも、人によっては
メリットと感じる方もいます。
夜勤やオンコールがあると、規則的な仕事ができないこともあり、体調を崩したりストレスを
感じたりする方もいます。
そういった方にとっては、日勤をメインとして看護師の専門性を活かして規則的な生活を
送りながら働くことができるのは、大きなメリットになってきます。

また、有料老人ホームの入居している方が、自立している方や要介護度の低い方であれば、
病院の病棟などに比べると落ち着いて余裕を持って働くことができる施設も少なくありません。

 ブランクがある人や経験が浅い人でも働きやすい

看護師として働く上での悩みとして多く挙げられるのは、専門の知識と技術が必要なため
「ブランクがあると不安」「経験が浅いと不安」といった悩みです。

その点で考えると、有料老人ホームでは要介護度が高い入居者がいる施設もありますが
「医療機関に比べると高いスキルを要求されることは少ない」場所です。
そのため、ブランクがある看護師や、経験が浅い看護師であっても、働きやすいという声が多いです。
ブランクや経験値によってその専門性が活かせるかどうか悩み、復職するかどうかを考えている
方にとっては大きなメリットと言えるでしょう。

有料老人ホームで看護師として働くデメリット

ここまで、有料老人ホームで看護師として働くメリットについて、いくつかご紹介してきましたが、
働くことにメリットがあれば、もちろんデメリットもあります。
メリットとデメリットどちらも見比べて仕事を選ぶことで、いざ働き始めてから
「イメージと違った」というリスクを少なくできるでしょう。

そのため、ここからは有料老人ホームで看護師とていて働く上での「デメリット」について
紹介していきます。

 看護師の人員配置が少ない

有料老人ホームで看護師として働く上でのデメリット1つ目は「看護師の人員配置が少ない」です。
病院や医療機関であれば、看護師の数が多く医師もいるため、業務に相談できる方が多くいたり、
忙しい時や緊急時であっても手分けして対応することができます。

しかし、有料老人ホームの看護師の人員配置は「3人:1人(要介護者:看護師)の割合で配置」
「必要に応じて配置(住宅型・健康型)」と決められており入居者の人数が少ないと看護師の
数も少なくなるため、忙しい時や緊急時であっても少ない人数で対応しなければならない、
相談できる場所が少なくなり不安。というデメリットも生まれてきます。

 医療処置のスキルアップが図りずらい

有料老人ホームで看護師として働く上でのデメリット2つ目は「医療処置のスキルアップが
図りづらい」です。
有料老人ホームは「介護依存度の高い方は多い」が「医療依存度の高い方は少ない」傾向にあります。

高度な医療処置は、老人ホームで行わず医療機関を受診して行ってもらうため、新しいスキルを
習得するのは難しいといえます。
新しい知識や技術をインプットして、スキルアップを目指したいと考えている方には、
物足りなさを感じるというデメリットがあります。

まとめ

有料老人ホームは大きく分けて、介護付き・住宅型・健康型の3つのタイプがあり、
食事の提供・身体介護・家事の支援のうち1つ以上のサービスが提供される施設です。

民間企業が運営していることが多く、設備やサービスが充実し収益を大きく上げている施設
であれば給与面にも期待ができます。
夜勤やオンコールがない施設も多く、日勤中心で医療機関に比べて落ち着いて仕事ができる
などのメリットがあります。
ブランクがあったり経験が浅い看護師であっても比較的働きやすい施設です。
高齢者がどんどん増えている昨今、改めてあなたの看護師としての専門性を有料老人ホームで
活かしてみてはどうでしょうか。

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