在宅介護者向けの介護手当とは?金額相場や受給要件も解説!

2024.12.04

介護手当とは在宅介護者に対して現金給付を行う制度のことです。
介護手当の支給は各自治体で行われ、受給条件および支給される金額は自治体によって異なります。
ここでは介護手当の金額の相場から受給要件などについて紹介していきます。

この記事を参考に給付支給可能かを判断し、給付を受けられるのであれば積極的に
制度を活用していきましょう。

介護手当とは?

介護手当は在宅で介護を行っている人に対して支給されます。
ここでは介護手当の相場から、介護手当の支給条件についてみていきましょう。

 介護手当の金額相場

介護手当の支給相場は大体年間で10~12万円くらいとなっています。
ここでは東京都江東区と高知県四万十市を例に支給額を紹介していきます。

まず東京都江東区から見ていきましょう。

  • 江東区では介護手当のことを「家族介護慰労金」と呼んでおり、年間の支給額は10万円です。


次に高知県四万十市を見ていきます。

  • 四万十市では介護手当のことを「在宅介護手当」と呼んでおり、その支給額は年間で8万4000円です。

    2つの自治体を例にあげましたが、自治体によって支給額が異なることがわかります。
    そのため支給を受ける際は自治体に支給金額について尋ねておいたほうがよいでしょう。

 介護手当の受給要件

介護手当の受給要件は、住所のある自治体により異なります。
自治体により異なりますが介護を受けている人の要介護度が、要介護4~5に該当する人を
対象としている自治体が多いです。
中には要介護度が3の人も対象者にしているケースもあります。
ほかにも介護保険料の滞納がない人という条件を付けている自治体が多いです。
自治体によっては住民税非課税世帯であることも条件に加えていることも。
受給要件は各自治体によって異なるため、詳しい内容は住所のある自治体の窓口で確認しましょう。

介護手当の用途には決まりがない

介護手当の用途は特に決まりがありません。
そのため受給したら自由に使用することができます。
介護手当は非課税所得として扱われるため、領収書や報告書などの提出を求められることは
ありません。

そのため介護手当を受け取った家族は、必要に応じて支給されたお金を使用できます。
介護手当の主な使い道として、介護用品の購入費や自己負担分の介護サービス費に充てる
ことがあげられます。
介護に関係ない使い道としては、介護を行う家族の気晴らしのための外食費などに
使用されることもあるため、介護以外に活用しても問題はありません。

介護手当を利用する際の注意点

介護手当は利用するにあたって2つの注意点があります。
利用できるサービスと比較し検討することなどがあげられるため、特に注意しておきたい
ポイントをみていきましょう。

 申請しなければ介護手当を受給することはできない

介護手当は受給条件を満たしていたとしても、手当を受ける人が自分で申請をしないと
受け取ることができません。
たとえ条件を満たしていたとしても、自治体から受給できるという連絡が来ることはありません。

そのため受給できるかどうか、受給するにあたっての手続きは自分で自治体に問い合わせる
必要があります。
介護手当の申請を行う前に、自分の住んでいる自治体に介護手当はあるのかや受給方法、
申請手続きの方法などはあらかじめ確認しておくとよいでしょう。

 在宅介護が可能かどうかやその他のサービス・制度と比較する

介護手当は要介護度の高い人を在宅介護する家族のための給付金です。
しかし介護サービスを利用していると、介護手当の受給ができないケースがあります。

介護手当は介護者の経済的な支援をする制度ではありますが、この制度を利用することで
ほかの介護サービスを受けない場合、かえって介護者の負担が増大する可能性もあります。

特に受給条件である要介護4~5に人の場合、介護サービスを活用しないで介護するのは
難しい場合があります。
そのため、介護手当を申請する前に利用可能な介護サービスと在宅介護を比較し、
現状に合ったものを選択する必要があるため、ケアマネージャーなどと相談するのがよいでしょう。

在宅介護で利用可能なその他の手当を紹介

在宅介護で利用できる手当は介護手当だけではありません。
介護手当以外にも利用可能な手当てがいくつかあるため、それぞれの内容をみていきましょう。

 介護保険住宅改修費

まずあげられるのが公的介護保険による住宅改修費です。
住宅改修費は、要介護者などが住宅を改修する際に自治体に申請することで受給できます。
住宅改修費の支給限度額は要介護度に関係なく、生涯20万円と定められています。
住宅改修費が支給される住宅改修には、いくつか種類があり以下の通りです。

  • 手すりの取り付けや段差の解消
  • 滑り防止及び移動の円滑化等のために床もしくは通路面の材料の変更
  • 引き戸など扉の変更
  • 洋式便器など便器の取り換え
  • その他住宅改修に付帯して必要となる住宅改修

    住宅をバリアフリーにすることで要介護者が暮らしやすくなるだけではなく、
    在宅介護を行う家族の負担を減らすことにもつながるため、積極的に活用していきましょう。

 介護休業給付金

介護休業給付金は、介護休業を取得したときに一定の条件を満たしている場合に申請により
給与の67%を受給できます。
しかし介護休業給付金は毎月受け取れるのではなく、介護休業終了後に受け取ることができます。
受給条件は以下の通り。

  • 介護休業を取得した雇用保険の受給資格者であること
  • 介護休業開始前の2年間、雇用保険に12か月以上加入していること
  • 家族の介護のために2週間以上の休業が必要であること
  • 介護休業の取得は職場復帰を前提としていること

    ただし会社から休業手当を支給される場合や、休業期間中に賃金が発生し受け取っている
    場合などは受給できない場合があります。
    そのため休業中の給与の支払いについては事前に確認しておきましょう。

 位置情報探索サービス利用費補助金

位置情報探索サービス利用費補助金とは、在宅の認知症高齢者やその疑いのある人が
行方不明になるのを防ぐために、位置情報サービス等を利用する家族のために加入経費の
一部の助成を受けられる制度です。
この制度の対象となる条件は主に2つあります。

  1. 行方不明になる恐れのある認知症高齢者と同居もしくは準ずる状態で介護をしている家族。
  2. 住所のある自治体に現在も生活していることです。

    GPSなどを利用した位置情報サービスを提供している企業を利用者が選択し
    契約することが補助対象システムとなっています。
    補助金の上限は1万円を限度とし支給されます。

 福祉用具販売

福祉用具販売は介護保険を利用して一部の介護用具を購入できる制度です。
具体的には介護用具を価格の1割負担での購入が可能となります。
介護保険を利用して購入できる介護用具は以下の通り。

  • 腰かけ便座
  • 自動排泄処理装置の交換可能部品
  • 入浴補助用具
  • 簡易浴槽
  • 移動用リフトの釣り具部分

    利用限度額は各年度ごとに最大で10万円です。
    給付方法は償還払いのため、最初は購入代金を全額自腹で支払いその後、
    自治体に申請を出し払い戻しを受けるかたちとなります。
    申請を出さないと償還払いが受けられないため、必ず申請を出しましょう。

 特別障害者手当

特別障害者手当とは、寝たきり状態の高齢者が利用できる手当です。
特別障害者手当の目的として、心身に重大な障害がある在宅介護を受けている人に対しての
経済支援があげられます。
対象者の条件は細かく設定されていますが基本的には、要介護4以上かつ寝たきり状態など
特別な介護を必要としているなら申請可能です。
ただし手当を受けるには医師の診断書が必要です。

特別障害者手当は月額で2万7350円であり、支払いは3か月ごとにまとめて支給されます。

まとめ

介護手当は要介護4~5の状態の高齢者を在宅で介護しているときに支給されます。
そのため介護保険サービスを利用している場合など、支給されないケースも存在します。
介護手当は介護をしている家族の経済支援です。

ほかにも特別障害者手当など在宅介護を受けている人に対しての手当てもあります。
基本的には自分で申請しないと支給されない手当であるため、受給可能かを自治体の窓口で
確認してから必ず申請を行い介護の負担を軽減していきましょう。

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