雇用保険制度における介護休業給付金とは?受給要件や申請方法を解説

2024.12.05

この記事では、雇用保険制度における介護休業給付金についてご紹介しています。
介護休業給付金とは、家族を介護するために一時的に仕事を休んだときに、給料の67%が
保証される制度です。
休業期間が終了すると職場に復帰することができます。

給付金の受給要件や申請方法なども解説していますので、介護休業を検討している方は
参考にしてください。

介護休業給付金とは何か

介護休業給付金とは、配偶者や父母・子等の対象家族を介護するために、仕事を一時的に休む
必要がある場合、経済的な支援を提供する制度です。
給付金は、雇用保険に加入している労働者が対象で、休業期間中の収入減を補助します。
受給資格者は、介護休業開始日より前2年間に、雇用保険の加入期間が12ヶ月以上ある方です。

 介護休業とは

介護休業とは、労働者が要介護状態にある対象家族[配偶者(事実婚を含む)・父母・子・配偶者の父母・祖父母・兄弟姉妹・孫]を介護するために取得できる休業です。
対象家族1人につき3回まで、通算93日まで休業できます。

介護休業中の経済的支援として、雇用保険の被保険者で、一定の要件を満たす方は、
休業期間中に休業開始時の賃金日額の67%相当額の介護休業給付金が支給されます。
負傷や疾病、身体もしくは精神の障害などの理由から2週間以上の期間にわたり常時介護を必要
とする状態が要介護です。

 介護休暇と介護休業の違い

介護休暇は 、要介護状態にある対象家族の介護や世話をするための休暇で、同じく介護休業は、
要介護状態にある家族を介護するために取得する長期間の休暇制度です。

介護休暇と介護休業の大きな違いは、取得できる休業期間です。
短期間(数日間)休みを取得する場合は介護休暇、長期間(1週間以上~数ヶ月間)休みを
取得しなければならない場合は介護休業を取得します。

介護休業は、介護休暇よりも長期で休暇がとれるので、家族の介護に専念できます。
年間通算93日取得でき、3回まで分割して取得可能です。

介護給付金の受給要件

介護給付金の受給要件としては、介護休業を開始した日より前2年間に、雇用保険の加入期間が
12か月以上必要です。ただし、12か月ない場合であっても、本人の心身の状況など何らかの理由に
よっては、受給要件が緩和され、受給要件を満たす場合があります。

介護休業給付金は、ハローワークに「介護休業給付金支給申請書」と「雇用保険被保険者
休業開始時賃金月額証明書」を提出します。
同時に、これらの書類の内容を証明する添付書類が必要です。

介護休業給付金が支払われないケース

介護休業給付金は、特定の条件を満たさない場合は給付金を受け取ることができません。
産前産後による休業中や介護休業後に職場に復帰しない場合、休業期間中に働いた日数が
月に10日以下の場合です。
また、休業期間中の賃金が休業前の80%以上になる場合も支給されません。

 介護休業後に退職予定の場合

介護休業給付金は休業後の職場復帰が前提となっています。
そのため、介護休業当初からすでに退職を予定されている場合は給付の対象となりません。
ただし、復職後に対象家族の状態が悪化するなどして退職を余儀なくされた場合、復職後に
就業したという事実があれば申請可能です。

また、休業中に転職した場合、要介護家族1人につき、通算で93日分、給与の一部が支給されますが、
3回まで分割して申請することもできます。
転職した場合でも、残り日数分を転職先で受給できます。

 産前・産後休業中の場合

産前・産後休業の期間中、出産のために仕事を休んでいた期間の生活費の一部として、
健康保険から1日につき、 原則として賃金の3分の2相当額が支給されます。
これを「出産手当金」といいます。

休業している間も会社から給与が支払われ、出産手当金よりも多い額が支給されている場合には、
出産手当金は、支給されません。
また、出産育児一時金として、出産したときに、1児につき42万円(産科医療補償制度加算
対象出産でない場合は40万4千円)が支給されます。

 介護休業期間中に一定の条件以下で就労した場合

介護休業期間中に就労することは可能です。ただし、一定の条件で就労した場合です。
休業期間が1カ月未満の場合、給付金を受給するには、就業日数が10日以下で、
全日休業している日が1日以上必要です。
介護休業期間中に就労し、1支給単位期間において、休業開始時の賃金日額×支給日数の80%以上の
賃金が支払われている場合は、介護休業給付金は支給されません。

なお、介護休業期間中に支払われたボーナスについては、賃金の80%に含まれません。

介護休業給付金の支給額計算方法

介護休業給付金の金額は、給料の67%ですが、支給額の計算式は、
休業開始時賃金×支給日数×67%となります。

介護休業中は、月給の80%の金額が支給されることになっていますが、給料の67%に加え、
総額で80%の金額になるように計算されます。
介護休業期間中にもらえる給与が増えたときは、介護休業給付金が減額されることもあります。

例えば、月給の13%と給付金67%が支給されていたところ、月給の20%が支給されると、
総額の月給の80%になるよう、給付金が60%に調整されます。

介護休業給付金を申請するタイミングと支給対象期間

介護休業給付金を申請するタイミングは、介護休業終了日の翌日から、2カ月後の月の末日まで
となっています。手続きは、原則として事業主がハローワークへ行います。

支給対象期間は、一回の介護休業期間は最長93日までで、支給対象は、一回につき、
最大3支給単位期間ということになります。

 介護休業給付金の申請期間

介護休業給付金の申請は、原則として復職後に行います。
介護休業期間が3か月以上にわたる場合は、その介護休業の支給単位期間分(最大3ヶ月)を
まとめて申請します。
介護休業終了日(休業期間が3ヶ月以上にわたるときは介護休業開始日から3か月を経過した日)
の翌日から起算して 2か月を経過する日の属する月の末日までです。
例えば、介護休業が9月15日に終わったならば、9月16日~11月31日の期間中に手続きを申請
しなければなりません。

 介護休業給付金の支給対象期間

介護休業給付金の支給対象期間は、対象となる一回の介護休業期間は最長3か月です。
介護休業給付金の支給対象は、一回につき、 最大3支給単位期間ということになり、 一つの
支給単位期間中に、就業していると認められる日です。
日曜日や祝日など、会社の休日となっている日も含まれます。

トータルで93日ですので、介護が長引くと日数が不足する恐れがあります。
家族と協力しながら、各自の時期をずらすなどして、介護休業を工夫して取得するのがいいでしょう。

介護休業給付金の申請方法を紹介

介護休業給付金の支給を受けるためには「介護休業給付金支給申請書」と「雇用保険被保険者
休業開始時賃金月額証明書」ハローワークに提出します。
併せて、これらの書類の内容を証明する添付書類も必要です。

介護休業給付金支給申請書などの必要書類は、基本的に事業所がハローワークに提出することに
なっていますが、休業する本人が提出することも可能です。
申請結果については、支給額等が記載された「支給決定通知書」か、「不支給決定通知書」により
通知されます。

まとめ

この記事では、雇用保険制度における介護休業給付金についてご紹介しました。
介護休業給付金とは、家族を介護するために一時的に仕事を休んだときの経済的な支援制度です。

その際の受給要件や給付金の支給額の計算方法、申請するタイミングや支給対象期間、
申請方法などを解説しました。

介護休業について検討している方は、ぜひ参考にしてください。

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