少子高齢化が進み、介護について関心が高まる中、「要支援や要介護」という言葉を耳にしたことが
あるという方も多いのでしょうはないか。
この要支援や要介護の認定がないと「介護保険サービス」を利用できないため、要介護度についての
理解を深めることが大切です。
この記事では、そんな要介護度の中でも、要介護2の状態について詳しく解説していきます。
目次
要介護は、非該当(自立)と要支援1と2、要介護1〜5の区分があり、それぞれ数字が大きいほど
介護をするのにかかる時間が多い、つまり「数字が大きいほど、介護に手間がかかる」ということに
なります。
では、要介護2とは、この手間がどのくらいかかり、具体的にはどのような状態なのでしょうか、
解説していきます。
要介護の区分を認定するのに用いられる基準に、「要介護認定等基準時間(介護にかかる時間)」
というものがあります。
この基準時間にあたる項目は「食事」「排泄」「移動」「清潔保持」「間接生活介助」
「BPSD関連行為」「機能訓練関連行為」「医療関連行為」の8つです。
※間接生活介助:洗濯、掃除などの家事に関する援助
※BPSD:妄想・徘徊・帰宅願望など心理的及び行動的な症状
※機能訓練:歩行訓練や日常生活訓練など機能訓練
※医療関連行為:医療に関する何らかの行為
要介護2の状態は、日常生活に必要な動作や能力が低下し、「部分的に介護が必要な状態」を指します。
具体的には、「支えがないと立ち上がったり、歩いたりできない状態」の方が多く、
食事や排泄などの場面では、見守りや手助けが必要となってきます。
また、認知能力の低下や認知症により「簡単な調理、金銭の管理、爪切りといった動作」でも
介助が必要なケースもあります。
これらを理由に、要介護2は自分だけで日常生活を送ることが難しい状態と言えるでしょう。
要介護2は、要介護1に比べて介護にかかる手間が多い状態といえます。
要介護認定等基準時間で比べて見てみると以下のようになります。
要介護1の基準時間:32分以上50分未満
要介護2の基準時間:50分以上70分未満
具体的な状態で見比べてみると以下のようになります。(一例)
要介護2は、要介護3に比べると介護の手間はかからない状態です。
要介護3からは一般的に重度と呼ばれる状態に入るため、
要介護2の方は、要介護3への移行しないように自分でできることは、自分でするように支援
していくことが重要となってきます。
要介護認定等基準時間で要介護2と要介護3を見比べてみると以下のようになります。
要介護2の基準時間:50分以上70分未満
要介護3の基準時間:70分以上90分未満
要介護3の具体的な状態の一例は以下のようなものがあります。
要介護3は、立ち上がりや歩行などの動作が自力で行うことが困難で、「日常生活のほぼ全てに
介護を必要とする状態」です。
食事や排泄も一人で行うことが難しく、認知症を持っている方がほとんどなります。
そのため、生活上で全面的なケアを必要とするため、「介助や見守りが常時必要」で、介護者の
負担が増えてきます。
介護保険のサービスは、要支援・要介護度によって利用できるサービスと利用できないサービスが
あります。
要支援または要介護の認定がおりた際、どのような介護保険サービスを利用できるかを事前に
把握しておくと、介護サービス利用までの流れがスムーズになり、介護者も本人も不安や心配が減り、本人に適したサービスを利用することができるでしょう。
ここからは、要介護2で利用できるサービスについて解説していきます。
要介護2の方が利用できる、訪問介護サービスには以下のようなものがあります。
訪問介護サービスは、専門のスタッフが利用者の自宅に訪問し、食事や排泄などの身体介護や調理、
掃除、洗濯などの生活援助、などを提供してくれるサービスです。
住み慣れた自宅で介護サービスを利用できるため、安心して在宅での生活を続けられます。
要介護2の方が利用できる、通所介護サービスには以下のようなものがあります。
通所介護サービスは、利用者自らがサービスを提供している施設に通って、リハビリや介助、
食事の提供を受けるサービスです。
他者との交流が好きな方や、地域への参加や役割を感じやすく、介護が必要になっても孤独感なく
過ごすことができるのが特徴です。
要介護2の方が利用できる、短期入所型サービスには以下のようなものがあります。
短期入所型サービスは、いわゆつ「宿泊」のサービスで、数日から数週間の間で、ショートステイの
受け入れをしている施設で宿泊をしながら、身体介護やリハビリ、療養生活などを送ることができる
サービスです。
療養生活の質を向上させるため、家族の負担軽減を目的に、介護施設にて日常生活の介護サービスを
受けることができます。
施設で寝泊まりするため、24時間スタッフが常駐しており、急変などにも対応できるところが
特徴です。
施設介護とは、介護保険施設に入居して介護サービスを受けることを言います。
介護保険施設には、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)介護老人保健施設、
介護療養型医療施設、介護医療院などがあります。
施設介護サービスのメリットは、長期的な入居が可能であることと、24時間スタッフが
常駐しているため、素早く的確な対応が期待できるところです。
注意点として、「特別養護老人ホームに長期入居ができるのは、要介護3から」となっているため、
要介護2の方は短期入所はできますが、長期の入居はできません。
どうしても施設介護サービスを要介護2でも利用したいという場合は、「特定施設入居者生活介護の
認定を受けている以下の施設」であれば、同様のサービスを受けることができる場合があります。
地域密着型サービスとは、高齢者が中度〜重度の要介護状態になっても、「できる限り住み慣れた
自宅または地域で生活が続けられる」ようにするために、身近な市町村で提供されるのが適当な
サービス類型として、平成18年に創設されたものです。
地域密着型サービスの注意点として、要介護認定を受けており「事業所と同じ市町村に
住民票がある方」を対象としているため、注意が必要です。
要介護2の方が利用できる地域密着型サービスには以下のようなものがあります。
介護保険サービスには、施設のサービスやスタッフのサービスを利用するものだけでなく、
日常生活で使う車いすやベッドなどを借りたり購入する、「福祉用具の貸与(レンタル)」
「特定福祉用具販売」というサービスもあります。
この福祉用具貸与は介護保険を利用することで、安く福祉用具を使用することができますが、
要介護度によって、保険適用でレンタルできる品目が決まっているため注意が必要です。
要介護2以上でレンタルできる福祉用具は以下のとおりです。
・車いす ・車いす付属品 ・特殊寝台 ・特殊寝台付属品 ・床ずれ防止用具
・体位変換器 ・認知症老人徘徊感知機器 ・移動用リフト
・歩行補助具 ・工事を伴わない手すりやスロープ
利用者の肌に直接触れるような品物(排泄用品や入浴用品など)は、使い回しができないため
レンタルではなく、特定福祉用具販売となります。
特定福祉用具販売は、毎月の介護サービス利用費とは別に「年間10万円を上限」として、
福祉用具の購入費の9割(所得により7割〜8割)が支給されます。
介護保険適用で購入できる福祉用具の種類は以下のとおりです。
・腰かけ便座 ・ポータブルトイレ ・入浴補助用具 ・簡易浴槽
・歩行器(歩行車が対象外) ・単点杖 ・多点杖
・自動排泄処理装置の交換可能部品 ・固定用スロープ ・移動用リフトの吊り具部分
介護保険サービスには、現在生活している住宅での不都合を改修し、利用者が生活しやすいように
住環境を整えることを言い、こちらも、要介護認定を受けることで保険を利用して
「段差の解消」「手すりの設置」「自宅設備の改善」をができます。
介護保険を利用し、住宅改修をする際の「支給限度額は20万円」と定められています。
基本的に費用の9割が支給されるため(所得によって7割〜8割になる場合があります)、
20万円の住宅改修を行った場合、自己負担は2万円ということになります。
注意点として、住宅改修は「原則1人1回」となっています。※住宅ではなく、個人で1回
例外として、複数回住宅改修ができるケースは以下のようなものがあります。
・1回目の住宅改修で10万円しか使わなかった場合、残り10万円の住宅改修ができる。
・要介護認定を受けた父が住宅改修を行った後、同じ住宅に住む母も要介護認定を受けた。
・別の家に引っ越して、引っ越し先のバリアフリー化が必要と認められた場合。
・要介護認定の更新した際、要介護度が3段階以上重くなった場合。
介護保険サービスの利用料は、要介護度毎に「支給限度額が決まっている」ため、注意が必要です。
限度額内であれば、所得に応じて1割〜3割の自己負担額でサービスの利用ができます。
要介護2の介護保険の支給限度額は「1ヶ月あたり、19万7,050円」です。
この19万7,050円のうち、1割〜3割を利用者が自己負担することになります。
限度額全てを使った場合で計算すると、「1割負担の方は、1万9,705円」
「2割負担の方は、3万9,410円」「3割負担の方は、5万9,115円」となります。
同じ要介護2の方でも、人それぞれ状態や環境が違いますので、要介護度のみで一人暮らしが
できるかどうかを判断するのは難しいですが、要介護2であっても、介護保険サービスや周りの方の
支援を上手く活用することで一人暮らしは可能になる場合があります。
介護保険サービスや周りの助けなどがなく、一人暮ぐらしを継続するとなると、
認知機能の低下を加速させてしまう可能性や、歩行時に思わぬ事故を起こしてしまったり、
外出そのものをしなくなってしまうなど、社会との関わりが減ってしまう危険もあります。
要介護2でも、心身ともに元気に生活しながら、一人暮らしを継続したい場合は、
その方にあった介護保険サービスの利用や、家族やケアマネと一緒に生活を続けていくことが
大切です。
要介護認定とは、介護が必要になった方がどの程度の支援や介助が必要かを区分分けする
ためのものです。
非該当(自立)、要支援1・2、要介護1〜5の区分に分かれており、要介護度によって利用できる
介護保険サービスの種類や、区分支給限度額が変わってきます。
要介護2は、歩行や立ち上がりに支えや一部介助が必要で、軽度の認知機能の低下もあり
金銭の管理や買い物が難しくなってくる状態にあります。
しかし、要介護2の認定を受けていれば介護保険を利用し、訪問介護やデイサービス、
ショートステイなどのサービスのほか、福祉用具のレンタルや住宅改修なども自己負担を抑えて
利用できるようになります。
要介護2であっても、心身ともに元気で過ごすためにも、介護保険サービスなどを上手く活用し
その人らしい生活を継続していきましょう。