親の介護を放棄するとどうなる?問われる罪や対処法を紹介!

2024.12.09

「子供は経済的に自立できない親を支えなければならない」とする、扶養義務が法律で定められて
います。そのため、親の介護は放棄できません。

では、親の介護を放棄するとどうなるのでしょう?
罪に問われることはあるのでしょうか?

「親の介護を放棄」すると問われる罪や、対処できる方法などについて、理解しておきたい
法律問題についても紹介していきましょう。

介護放棄とは?

「介護放棄」とは、介護が必要な状態の高齢者のケアを放棄することです。
介護が必要な高齢者が日常生活をおくるために必要な介護を提供しないことによって、肉体的、
精神的な暴力行為を行うことです。

介護などの日常生活での世話の放棄、拒否、怠慢による虐待と定義されており、虐待の一種です。
食事を与えない・オムツ交換をしない・入浴させない・医療機関を受診する機会を与えないなどの
放置・無視する行為は、介護放棄に該当します。

親の介護放棄が起きる原因

親の介護放棄が起こってしまう理由として典型的な事例があります。
主に下記のような原因が考えられます。
具体的に解説していきましょう。

  • 経済的に余裕がない
  • 親との関係が良好でない
  • 心身や時間の負担が大きい

 経済的に余裕がない

介護放棄が起こってしまう理由の1つ目に、養護者が経済的に厳しい状態であることが挙げられます。
所得が多くない世帯が要介護者の世話をすることで経済的に生活が圧迫されてしまう場合です。

介護をするにあたって、食費や介護費用、その他の必要経費など、過度な負担となった場合には、
経済面で金銭を工面することが難しくなり、必要な介護を提供できないというケースが考えられます。
金銭的な負担が増えると厳しいでしょう。

 親との関係が良好でない

介護放棄が起こってしまう理由の2つ目に、介護者と養護者の関係性において、親と子の関係が
良好でないことが挙げられます。

介護される側と介護する側の関係が良好であれば問題はないのですが、性格的な問題や、
認知症などの病気や進行状況によって関係が悪化する場合があります。
要介護状態が悪化して、介護する側の負担が大きくなることによって、介護する側が心身の
バランスを崩して介護をしなくなってしまうケースがあります。

 心身や時間の負担が大きい

介護放棄が起こってしまう理由の3つ目に、介護者の心身や時間の負担が大きいことが挙げられます。
要介護度が高くなると、それだけ介護に費やす時間も増えるため、一日中つきっきりになって
休めないというケースが多くあります。

認知症の方には徘徊のおそれがあり、自宅を出て危険な状況に遭遇する可能性や行方不明になる
リスクがあります。
そのため、介護者は介護疲れで、介護をする意欲がなかったり、体調不良になってしまうことが
考えられます。

親の介護を放棄した時に問われる罪とは?

親の介護を放棄した時の罪とは?
親の介護を放棄したことで、死亡や怪我が発生した場合には罪になります。
下記について詳しく解説しましょう。

  • 法律上扶養義務がある
  • 保護責任者遺棄罪に該当し懲役が科せられる可能性がある

 法律上扶養義務がある

法律で扶養義務が定められており、子供が親の介護を放棄することはできません。
法律上、直系血族、および兄弟姉妹はお互いを扶養する義務があるという「扶養義務」が
定められています。
「直系血族や兄弟姉妹、家庭裁判所の審判を受けて扶養義務者となった三親等内の親族」
一般に定められています。

扶養義務を守らず、親の介護を放棄すると「保護責任者遺棄罪」に該当し、3カ月以上5年以下の
懲役が科される可能性があります。

 保護責任者遺棄罪に該当し懲役が科せられる可能性がある

介護放棄とは虐待の一種であり、対象者である要介護者に対して、精神的、肉体的な暴力行為を
行ったと判断され、要介護者が死亡に至った場合に犯罪による刑事事件として扱われることが
あります。

介護放棄を受けた要介護者の基本的人権が、軽視されていなかったかなども含めて、裁判での
審判を求めることになります。
介護放棄により親が亡くなったり怪我をしたりした場合、保護責任者遺棄致死罪や
保護責任者遺棄致傷罪に該当します。

親の介護が難しい時の対処法を紹介

親の介護が難しい時、家族間での大きなトラブルにつながります。
対処法について紹介します。

  • 扶養義務者間でしっかりと話し合う
  • 地域包括支援センターや各自治体・医療機関に相談する
  • 介護サービスを利用する

 扶養義務者間でしっかりと話し合う

扶養義務者である親族全員で、介護者の役割分担を話し合い、現状の認識を共有し、
何ができて、何ができないのか、を明確にすることが重要です。
話し合いの中で、介護の負担がひとりへ集中していないか、助けを必要とするポイントなどを、
主たる介護者から具体的に伝えます。

そこで、誰がどのようにフォローするのか、親族間で役割分担をするなど、新たな介護プランを
考えていきます。親族間での精神的な距離が近いことが大切です。

 地域包括支援センターや各自治体・医療機関に相談する

親族間の親の介護問題に関しては、身内だけで話し合ってもうまく進まないこともあるかも
しれません。
そのような場合は、多くの介護に関する問題に対処している介護事業者、行政支援を信頼して
窓口に相談するという方法があります。

地域の包括支援センターや、かかりつけのお医者さんに相談するという方法もあります。
また、市役所に連絡して、介護保険の係に相談することも可能です。
介護放棄で困ったときは一人で抱え込まないことが大事です。

 介護サービスを利用する

役割分担をしても主たる介護者の負担が大きくなりすぎてしまう場合、介護サービスを利用するの
も一案です。
サービスを活用することで、親や介護者の生活をあまり変えないで、食事や入浴・リハビリなど、
特に困っている部分だけをプロに頼ることが可能になります。
介護サービスには、下記があります。

  • 自宅で生活支援や介護、看護が受けられる:訪問サービス
  • 日中だけ施設へ通う:通所サービス
  • 一時的に施設へ入居する:短期入所サービス

まとめ

法律で扶養義務が定められており、子供が親の介護を放棄することはできません。
「介護放棄」は一種の虐待行為であり、犯罪行為として罪に問われることについても解説しました。

「介護放棄」の原因として、家族の「準備や心構えができていないこと」が挙げられます。
そのため、対処法として親の介護が始まる前に、親族間でよく話し合い、もしもに備えて
おくことが重要です。

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