介護医療院の費用はどれくらい?内訳や減額制度も紹介

2024.12.09

介護医療院は、要介護高齢者の長期療養・生活のための施設です。
要介護の高齢者が身体介助や生活援助、医療ケアのサービスが受けられる公的施設で、
2018年に新設されました。

さて、介護医療院ではどれくらいの費用がかかるのでしょうか?
そこで、介護医療院の詳細や費用の内訳、減免制度などについて詳しくご紹介しましょう。

介護医療院とは?

介護医療院とは、要介護者の長期療養と生活の支援を目的とした施設です。
医師の配置が義務付けられており、医療ニーズの高い重度の要介護者でも十分な医療ケアを
受けながら、安心して生活を送ることが可能な施設です。

 Ⅰ型とⅡ型がある

介護医療院には「Ⅰ型介護医療院」と「Ⅱ型介護医療院」があります。

  • 介護医療院Ⅰ型は、比較的重度の要介護者に対して医療ケアを提供する介護療養病床に
    相当する施設です。
    Ⅰ型は1日あたり約800〜1,300円が費用の相場です。
  • 介護医療院Ⅱ型は、家庭復帰を目標にリハビリなどでサポートする介護老人保健施設に
    相当する施設です。
    Ⅱ型は1日あたり約730〜1,200円で、Ⅰ型と比べると金額は安くなります。

 介護医療院の入居条件

介護医療院入居条件は、要介護認定1〜5を受けた65歳以上の方で、要支援の方は対象外になります。
また、40〜64歳の方でも初老により16種の特定疾病(認知症や関節リウマチなど)による
要介護認定を受けていれば、入居の対象となります。

日常的に医療ケアを必要とする方や、介護を24時間している方など、介護度の高い方や緊急性の
ある方は入居が優先されます。
入居を希望する際にはケアマネージャーなどに相談すると良いでしょう。

介護医療院で受けられるサービスは?

介護医療院は、一般的な介護施設では対応できない方も入所でき、介護サービスだけでなく、
医療ケアが充実しています。
下記のケアやサービスについて詳しく解説しましょう。

  • 医療ケア
  • 生活支援サービス
  • 介護サービス

 医療ケア

医療ケアでは、喀痰(かくたん)吸引や経管栄養など、医療的ケアが必要な要介護者の受け入れ、
人生の最終段階となる看取りケアも行われます。
このような手厚い医療ケアは、「病院へ入院するほどではないが、老人ホームでは不安がある」
という利用者や家族の安心感につながっています。

投薬や処置、検査などは必要に応じて提供され、その他の医療的サービスとして、点滴・在宅酸素
・褥瘡のケア・注射や薬の処方などがあります。

 生活支援サービス

介護医療院は、入居者にとって医療や介護だけでなく、生活の場を提供する施設です。
生活支援サービスは、入居者の生活を充実させるためのサポートですから、レクリエーションや
相談支援など、入居者が心身共に生き生きと過ごせるよう、サービスを提供しています。

入居者が安心して暮らせる「住まい」となるよう、プライバシーの確保などに務めると共に、
他の入居者の方や、地域の方とコミュニケーションを取りながら生活を送れます。

 介護サービス

介護医療院では、他の介護施設と同様に、食事、入浴、排泄の介助などのほか、洗濯や掃除と
いった日常生活上の世話も行われます。
介護サービスは、入居者の日常生活をサポートする重要な役割があります。

食事、入浴、排泄、衣類の着脱などの基本的な介助に加え、健康管理や、機能訓練としての
リハビリテーションも提供しています。
リハビリテーションでは、身体機能の維持と向上や、自立した生活を送るための支援を行います。

介護医療院の費用はどれくらい?

介護医療院の費用の内訳について詳しく解説しましょう。

  • 初期費用
  • 月額費用
  • 食費・居住費
  • 介護サービス費(Ⅰ型とⅡ型で異なる)
  • その他日常生活費
    ※生活保護の施設介護費利用者負担は実質無料となります。

 初期費用

介護医療院は、公的な介護保険施設であるため、Ⅰ型、Ⅱ型共に初期費用は不要です。
初期費用(入居一時金)は、介護施設に入居する際に支払う初期費用です。

金額は施設によって違いますが、一般的には数十万円から数百万円程度のようです。
介護医療院は、入居一時金などの初期費用は必要ありません。
必要になるのは、毎月かかる月額費用のみです。
民間企業が運営している老人ホームでも「入居金一時金0円」の施設もあります。

 月額費用

介護医療院の月額費用の目安は9〜17万円で、公的施設のため入居金が掛からないことが
特徴です。
また、介護医療院の月額費用は介護サービス費の自己負担額(1〜3割)、食費、居住費の主に3つです。

この3つの費用は、入居者の介護度、入居する類型・居室タイプ、本人を含む世帯の年収
・預貯金額によって変わります。
月額利用料は定額で、介護療養型医療施設は民間が運営する施設と比較しても、食費や居住費が
低額に抑えられています。

 食費・居住費

食費の基準額は1日約300~1,380円で、費用には食事提供と食事介護が含まれます。
居住費の基準費用額は施設のタイプによって違います。

  • 従来型個室:1日1,640円
  • 多床室:1日320円
  • ユニット型個室:1日1,970円
  • ユニット型準個室:1日1,640円
    ※介護医療院は「多床室タイプ」が多く室料はかからず光熱費相当を支払うことになります。
    また、食費と居住費は所得に応じて変動し、軽減措置があります。

 介護サービス費(Ⅰ型とⅡ型で異なる)

  • Ⅰ型の場合は療養機能を強化した「強化型A」と「強化型B」の2つの施設があります。
    Ⅰ型は医師や看護師、介護職員の人員配置基準も高いため、A型もB型も要介護度が高くなると
    金額も上がり、1日あたり約800~1,300円の設定です。
    サービス費は、所得や施設の形態、居室の種類、職員の配置などで変動します。
  • Ⅱ型の場合はⅠ型に比べて比較的容態が安定した高齢者が対象です。
    金額は1日あたり約730~1,200円になります。

 その他日常生活費

日常生活費では、電話、理美容や新聞、クリーニングといった費用が対象になります。
なお、おむつ代は日常生活費には含まれず、介護サービス費に含まれるため注意が必要です。

月額利用料の目安は約10〜20万円が目安で、有料老人ホームと比較すると比較的安価で入居
できますが、施設によって医療体制や医療設備の充実度、人員配置によって費用が変動するため
注意が必要です。
月額利用料をシミュレーションしてみると良いでしょう。

介護医療院の減額制度を紹介

介護医療院を利用すると自己負担額が高額になる可能性があります。
そんな場合に、どのような減額制度があるのかみていきましょう。

  • 特定入所者介護サービス費
  • 高額介護サービス費
  • 高額医療・高額介護合算制度
  • 医療控除費

 特定入所者介護サービス費

特定入所者介護サービス費とは、介護施設利用時に利用者にかかる食費と居住費の負担を軽減する
制度です。
「自己負担上限額」という基準を年金などの収入や資産に応じて設け、その上限額を超えた金額が
減免されます。

一般的な所得の方の負担限度額は月額44,400円です。
特定入所者介護(介護予防)サービス費が対象外となるのは、利用者の配偶者が住民税課税されて
いる場合、また預貯金が一定の額を超える場合です。

 高額介護サービス費

高額介護サービス費とは、利用者が1カ月に支払った負担の合計が負担限度額を超えたときに、
限度額を超えた金額が払い戻される制度です。
高額介護サービス費は、介護サービス費用の利用者負担(1割・2割または3割)が対象となります。
この負担額に含まれないのは、福祉用具購入費、住宅改修費の自己負担額、施設の食費、
居住費(滞在費)、日常生活費、その他の利用料などです。

支給方法には、本人償還と受領委任払いの2通りがあります。

 高額医療・高額介護合算制度

高額医療・高額介護合算療養費制度は、医療保険と介護保険の両方のサービスを利用している
世帯の負担を軽減するための制度です。
1年間に支払った各保険制度の自己負担額の合計が基準額を超えた場合、支給申請をすると、超えた
額が払い戻されます。
高額療養費の申請では、同一の医療機関の自己負担額が上限額を超えない場合でも、他の医療機関等
の医療費や、同じ世帯の同じ公的医療保険に加入している方の医療費についても、合算できます。

 医療控除費

介護医療院で提供を受けた施設サービスの対価(介護費・食費・居住費)に関して、支払った
自己負担額が医療費控除の対象となります。
介護医療院が発行する領収証には、医療費控除の対象となる金額が基本的に記載されています。

親が施設に入居した場合の医療費控除については、同一生計の親が介護施設に入居したり、
介護サービスを自宅で受けた場合に施設に支払う金額が医療費控除の対象になり、所得税が控除
されます。

まとめ

介護と医療の両方のケアが必要な高齢者が多く、そのような高齢者にとって、介護医療院は
大きな選択肢のひとつです。
介護医療院は、介護と医療の両方のケアが提供され、高齢者には安心して暮らせる施設です。
介護医療院の費用の内訳や減額制度についても紹介しました。
介護医療院を検討する際には、本人や家族に合う施設選びが大切です。

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