BI(バーセルインデックス)とは?評価項目と評価基準も解説!

2025.01.15

適切な介護を提供していくためには、その人の状態を正しく評価する方法が必要です。
その評価方法の一つがBI(バーセルインデックス)と呼ばれるものです。
介護に携わっている人でも、なかなか聞き慣れない方もいるかもしれません。

今回この記事では、BIとはどういうもので、どのように評価していくかについて説明していきたい
と思います。

BI(バーセルインデックス)とは

適切なケアを提供するために、介護を必要とする方の自立度を測る指標は非常に重要です。
その指標の一つで、広く用いられているのがBI(バーセルインデックス)です。
この章では、このBIの特徴や目的について詳しく説明していきたいと思います。

 BI(バーセルインデックス)の特徴

BIの特徴は次のような点です。

  1. 測定が簡単で、時間がかからない
     ・10項目の日常生活動作について、さらに段階別で評価。
     ・特別な器具や設備は不要で短時間で評価が完了する。
  2. わかりやすい
     ・100点満点評価で、点数が高い程自立度が高く、低い程介護の必要性が高いことを示す。
  3. 世界共通の評価方法
     ・世界基準の評価方法なので、導入している国ならば簡単に比較ができる。

    これらの特徴から、BIは介護現場だけでなく、医療現場やリハビリテーション施設など、
    広く使用されています。

 BI(バーセルインデックス)の目的

BIの目的は、主に次の3つになります。

  1. 日常生活動作(ADL)の自立度を評価する
      食事・入浴・更衣などの基本的な日常生活動作を評価し、どの程度自立しているかを
    客観的に把握できる
  2. 介護やリハビリテーションの計画を立てる
      評価結果に基づいて、要介護者に必要な介護やリハビリテーションの内容を
    検討することができる
  3. 介護やリハビリテーションの効果を測定する
      介護やリハビリテーションがどれくらい効果が出ているのか、逆に出ていないのかを
    客観的に測定することができる

    以上のように、BIは客観的に測定できるからこそ、より適切なケアの提供を行うために非常に
    重要な評価方法です。

BI(バーセルインデックス)の評価項目と評価基準

BIは日常生活における基本的動作を10項目の評価基準と、その項目ごとに設けられた評価基準に
分け、設定された点数によって測定します。
ここからは、正しく測定するため、測定結果を正しく理解するため、10項目それぞれについて、
詳しく見ていきたいと思います。

 食事

食事での評価のポイントは、自力で食べ物を食べられるかを評価します。
具体的には次の内容を見て総合的に評価します。

  • 箸やスプーンなどの食器を適切に使えるか
  • 食べ物を口までスムーズに運べるか
  • 食べこぼしが多くないか
  • 食事をとるのにどれくらいかかるか

    上記の内容を踏まえて、評価します。評価基準の内容と点数は次の通りです。
    10点・・・食事を提供すれば自力で摂取ができる
    5点・・・提供された食材を、切って小さくしたりなど一部介助が必要
    0点・・・全面的に介助が必要

 移乗

移乗の評価のポイントは、車椅子からベッドやトイレ間など、異なる場所へ移動する能力
評価します。具体的には次の内容を見て総合的に評価します。

  • 車椅子とベッド間で 安全に移乗できるか
  • ブレーキ操作やフットサポートの操作ができるか
  • 移乗に介助が必要か

    これらを踏まえて、評価します。評価基準の内容と点数は次の通りです。
    15点・・・介助なしで安全に移乗できる
    10点・・・軽度の介助や見守りが必要
    5点・・・部分的に介助が必要
    0点・・・全面的に介助が必要

 整容

整容の評価のポイントは、身だしなみを整える能力を評価します。
整容動作は、端に清潔を保つということだけでなく、文化や習慣に合わせた整容を行うことで、
社会的な役割を果たすという面でも重要です。具体的には次の内容を見て総合的に評価します。

  • 顔の整容(洗顔、歯磨き、髭剃り、化粧など)
  • 髪の整容(整髪、ヘアセットなど)
  • 手の整容(手洗いなど)

    これらを踏まえて、評価します。評価基準の内容と点数は次の通りです。
    5点・・・介助なしで、自分で身だしなみを整えることができる
    0点・・・介助が必要

 トイレ動作

トイレ動作の評価のポイントは、トイレに行って用を足す一連の動作を評価します。
具体的には次の内容を見て総合的に評価します。

  • トイレまで 自分で移動できるか
  • 洋式トイレで、 便座に座ったり、立ち上がったり する動作がスムーズに行えるか
  • 和式トイレで、しゃがんだり立ち上がったりする動作が行えるか
  • 衣服の着脱 が自分でできるか
  • 排泄後 の後始末が自分でできるか

    これらを踏まえて、評価します。評価基準の内容と点数は次の通りです。
    10点・・・介助なしで、トイレ動作全体を完結できる
    5点・・・移動や座るのに介助が必要など、部分的に介助が必要
    0点・・・全面的に介助が必要。

 入浴

入浴の評価のポイントは、浴槽への出入りから、洗身や洗髪などの入浴に関わる一連の動作を
評価します。具体的には次の内容を見て総合的に評価します。

  • 浴槽まで自分で移動できるか
  • 浴槽をまたいで出入りできるか
  • 浴槽内で座位姿勢を保てるか
  • 洗髪や洗身を自分で行えるか
  • シャワーを使うことができるか
  • 入浴後、体を拭いたり、着替えたりできるか

    これらを踏まえて、評価します。評価基準の内容と点数は次の通りです。
    5点・・・介助なしで、入浴動作全体を完結できる
    0点・・・入浴動作に介助が必要

 歩行

歩行の評価のポイントは、歩く能力を評価します。具体的には次の内容を見て総合的に評価します。

  • 介助なしあるいは、杖などの補助具を使って歩けるか
  • どれくらいの距離を歩けるか
  • 歩行の速度はどのくらいか
  • 歩行時の姿勢は安定しているか
  • 安全に歩行できるか

    これらを踏まえて、評価します。評価基準の内容と点数は次の通りです。
    15点・・・介助なしで、45m以上歩ける
    10点・・・介助者または補助具の助けを借りて、45m以上歩ける
    5点・・・歩行はできないが、車椅子を自分で操作して45m以上移動できる
    0点・・・歩行も車椅子の操作もできない

 階段昇降

歩行の評価のポイントは、階段を昇り降りする能力を評価します。
具体的には次の内容を見て総合的に評価します。

  • 介助なし 、あるいは手すりを使っ 階段を昇り降りできるか
  • 昇り降りする際の安定性はどうか
  • 安全に昇り降りできるか

    これらを踏まえて、評価します。評価基準の内容と点数は次の通りです。
    10点・・・介助なしで、1階分の階段を昇り降りできる
    5点・・・介助者または手すりの助けを借りて、1階分の階段を昇り降りできる
    0点・・・階段を昇り降りができない

 着替え

着替えの評価のポイントは、衣服の着脱を自分で行えるかを評価します。
具体的には次の内容を見て総合的に評価します。

  • シャツやズボン、スカートなど、普段着ている衣服を自分で着脱できるか
  • ボタンやファスナーを留めたり、外したりできるか
  • 靴下や靴 を履いたり、脱いだりできるか
  • 補助具(着替え棒など)を適切に使えるか
  • 着替えにかかる時間 はどのくらいか

    これらを踏まえて、評価します。評価基準の内容と点数は次の通りです。
    10点・・・介助なしで、自分で着替えができる
    5点・・・部分的に介助が必要
    0点・・・全面的に介助が必要

 排便コントロール

排便コントロールの評価のポイントは、自分の意思で排便をコントロールできるかを評価します。
具体的には次の内容を見て総合的に評価します。

  • 便意を我慢できるか
  • トイレまで移動して排泄できるか
  • 排泄後の後始末を自分で行えるか
  • 失禁の頻度はどのくらいか

    これらを踏まえて、評価します。評価基準の内容と点数は次の通りです。
    10点・・・自分の意思で排便をコントロールできる
    5点・・・部分的に介助が必要
    0点・・・排便コントロールができない

 排尿コントロール

排尿コントロールの評価のポイントは、自分の意思で排尿をコントロールできるかを評価します。
具体的には次の内容を見て総合的に評価します。

  • 尿意を我慢できるか
  • トイレまで移動して排尿できるか
  • 排尿後 の後始末を自分で行えるか
  • 失禁 の頻度はどのくらいか

    これらを踏まえて、評価します。評価基準の内容と点数は次の通りです。
    10点・・・自分の意思で排尿をコントロールできる
    5点・・・部分的に介助が必要
    0点・・・排尿コントロールができない

厚生労働省によるバーセルインデックス(BI)の評価方法についての動画

厚生労働省の動画「令和4年度科学的介護に向けた質の向上支援等事業研修会」では、
科学的介護情報システム(LIFE)の活用と、その中で利用されるBIについての評価方法も
説明されています。

このLIFEとは、科学的根拠に基づいた質の高いケアを提供する目的で実施されているもので、
その科学的根拠として7つの各種評価方法の一つとして、BIが用いられています。
動画の中では、BIの評価方法を正しく実践するための情報が紹介されていますので、
ぜひ参考にされてください。

まとめ

今回この記事では、BI(バーサルインデックス)について説明してきました。

LIFEの評価基準として取り入れられているとは言え、なかなか知らなかったという方も
多いのではないでしょうか。
BIは優れた評価方法の一つで、専用の器具をそろえる必要もありません。
そのため、いつでも行うことができます。

これから「介護の質を上げていきたい」、「今行っている介護が利用者さんに効果が出ているか
確かめたい」という方には、おすすめですので、ぜひ参考にして行ってみてください。

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