看護補助者とは?仕事内容や必要なスキル・働くメリットなども解説

2025.01.16

「看護補助者(看護助手)」とは、看護師をサポートする職種です。
医療業界は人手不足で、社会の高齢化も進んでいます。
そのため、看護補助者の需要は今後さらに高くなると見込まれており、将来性の高い仕事です。

この記事では、看護補助者について、概要や仕事内容、メリット、必要なスキルを詳しく解説します。
「資格も経験もないけれど、医療の仕事に興味がある」という方におすすめの内容です。

看護補助者とは

「看護補助者」とは、主に看護師のサポートをする職種です。
患者の療養生活のサポートも行い、人手不足の看護業界において需要の高い仕事となっています。
以下、看護補助者について、概要や看護師との違いについて解説します。

 看護助手やナースエイドと呼ばれることもある

看護補助者は、「看護助手」や「ナースエイド」、「看護アシスタント」、「ケアワーカー」など、
職場によってさまざまな呼び名があります。
病院などの医療機関で、看護チームの一員として、看護師の指示を受けながら補助業務を行う
職種です。どの呼び名でも、役割や業務内容は同じです。

看護補助者は、無資格・未経験でも働くことができますが、医療行為を行うことはできません。
その代わり、食事や入浴の介助など、患者に寄り添うことが多いです。
患者やその家族から感謝の言葉をもらうことが多く、それがやりがいにつながります。

 看護師との違い

看護師と看護補助者の違いは、主に以下の2点です。

  1.  資格が必要か否か
    看護師になるには、「国家資格」を取得する必要があります。
    そのためには、文部科学大臣または厚生労働大臣が指定した学校を卒業して、看護師国家試験に
    合格しなければなりません。
    看護補助者になるには、資格は不要です。
  2. 役割・業務内容
    看護師は、医療行為を行う資格を有しており、医師とともに患者の健康を管理したり、
    診察や治療に携わったりすることができます。
    看護補助者は、看護師の補助を行う職種です。
    採血や点滴などの医療行為を行うことはできませんが、患者の介助や医療器具の準備などを
    通して、看護師をサポートする役割があります。

看護保護者の日常的な仕事内容

看護補助者の日常的な仕事内容は、大きく以下の3つに分けられます。

  1. 患者の日常生活をサポートする業務
  2.  看護師の補助に関わる業務
  3.  環境整備・その他の業務
    それぞれについて、詳しく解説します。

 患者の日常生活をサポートする業務

患者の食事や入浴、排泄などの身の回りのお世話を行い、快適な療養生活を送れるよう
サポートします。
例えば、以下のような介助を行います。

  • 食事介助
    患者の状態に合わせて、食事の配膳や下膳、食べる際の姿勢の調整などを行います。
    患者が美味しく安全に食べられるよう、細やかな配慮が必要です。
  • 入浴介助
    患者の状態に応じて、シャワー浴や清拭、部分浴などを行い、安全で快適な入浴ができるよう
    介助します。
  • 排泄介助
    トイレへの移動やオムツ交換など、患者の状態に合わせて必要な介助を行います。
    患者のプライバシーへの配慮が特に求められます。
  • その他の介助
    移動や体位変換の介助、リハビリテーションの補助なども行います。

 看護師の補助に関わる業務

看護師が円滑に業務を行えるよう、さまざまなサポートを行います。
具体的には、医療器具の準備や片付け、洗浄、消毒、検査の準備や片付けなどです。
また、診察や処置に必要な備品の補充や管理も重要な仕事です。ガーゼや消毒液、リネン類などの
物品の在庫を管理し、適宜補充します。

看護師と連携し、検査や処置がスムーズに進むようサポートすることで、医療の質の向上に
貢献するのです。
このように、看護補助者は、直接的な医療行為は行いませんが、補助業務を通して、患者への
質の高い医療提供に欠かせない役割を果たします。

 環境整備・その他の業務

患者が安心して治療に専念できるよう、また医療スタッフが働きやすいよう、清潔で快適な
環境づくりに努めます。
床の清掃はもちろん、ベッドサイドテーブルや洗面台、トイレなど、患者が日常的に使用する場所を
丁寧に清掃します。また、ベッドメイキングや寝具の交換も行います。
病室だけでなく、ナースステーションや処置室、廊下など、病棟内の共有スペースの清掃も、
看護補助者の仕事です。
ゴミの分別や医療廃棄物の適切な処理などの業務も環境整備の一環として行います。

その他、書類やカルテの整理、検体の発送などの事務的な業務もあります。
また、小さなクリニックでは受付業務を兼任するなど、業務内容は非常に多岐にわたり、
職場によっても大きく異なります。

看護補助者として働くメリット

看護補助者として医療現場で働くことには、どのようなメリットがあるのでしょうか。
看護補助者の仕事について、「体力的にキツイ」とか「目が回るほど忙しい」といった話を聞く
ことがあるかもしれません。
しかし、多くの人の役に立ち、大きなやりがいを感じられるメリットの多い仕事でもあります。
ここでは、3つの主なメリットについて、詳しく解説します。

 未経験・無資格でも勤務可能

看護補助者は医療行為を行わないため、多くの職場では未経験や無資格の方を受け入れています。
医師や看護師の働き方を間近で見て専門的な知識を習得し、将来的に看護系の資格などの取得を
目指す方に向いている職業です。

さらに、看護補助者は人手不足なので、常に多くの求人が出ています。
そのため、勤務地や給料など自分の希望条件に合う求人を見つけやすいのもメリットです。
転職して看護補助者になったという方も多く、年齢に関係なく活躍できることが魅力です。

 将来介護士・看護師・准看護師を目指す土台を作れる

看護補助者は、介護士や看護師、准看護師へのキャリアチェンジに活かしやすい職種です。
仕事は介助業務が多いため、介護職でその経験を活かすことができます。
正しい介助方法を習得した看護補助者としての経歴があれば、介護業界への転職で有利に
働くでしょう。
また、日常的に医師や看護師の仕事を近くで見られるため、実践的な医療知識が身に付きやすく、
看護師・准看護士を目指す方にとっては好ましい環境といえます。
看護技術や学校、試験などについて、看護師に直接質問できる点もメリットです。

 介護・医療の知識を身に付けられる

看護補助者は、医師や看護師の仕事を間近で見られ、医療器具を扱うことも多いため、
医療に関する知識が自然と身に付けられます。
病気やケガに関する知識はもちろん、患者のケアを行う際に看護師がどのような点に配慮しているかも学べます。病状は患者ごとに異なるため、さまざまな対応力が身に付くでしょう。

また、患者の介助をすることも多く、介助の注意点や患者の状態に合わせた介助方法も学べます。
このように、書物だけでは学べない貴重な介護や医療の知識を、実務を通して学ぶことができるのは
大きなメリットです。

看護補助者に必要なスキルは?

看護補助者として働くために、資格や経験は必要ありません。
しかし、医療現場での仕事であり、命に関わる仕事でもあります。
ここでは、看護補助者として働くために必要とされるスキルを紹介します。

 コミュニケーションスキル

看護補助者に必要なスキルのひとつが、コミュニケーションスキルです。
看護師のサポート業務を行うためには、看護師や医師らと意思疎通ができることが重要となります。
状況を報告して判断を仰ぎ、指示通りに働けることはもちろん、チームプレイで動かなくては
ならないからです。
また、患者やその家族とのコミュニケーションもしっかり取らなくてはなりません。
患者は不安を感じていることが多くあります。相手の気持ちに寄り添うように接することができれば、信頼関係の構築につながります。

看護師や患者、その家族と信頼関係を築くためにも、コミュニケーションスキルは必要不可欠です。

 介護・医療の基本的な知識

看護補助者は、医師や看護師のサポートを行います。
資格を持っていなくても、サポート業務をスムーズに行うためには、医療関係の基本的な知識が
必要となります。
看護師が使う専門用語を理解できれば、必要なサポートを瞬時に判断することができるでしょう。
また、医療器具の洗浄や消毒、管理、検査器具の準備なども行うことがあるので、医療器具の名称を
覚えておくことも必要です。

また、患者の食事や入浴、排泄などの介助をする際に、正しい方法や注意点を知っておかなければ、
大きな事故につながるリスクがあります。
看護師からしっかり教えてもらいながら、自分でも介護のテキストを読むなどして、積極的に学ぶ
姿勢が重要です。

 高齢者の介助や看護に関するスキル

介護・医療業界での経験がある看護補助者は、即戦力として期待されます。
業界特有のルールや用語、雰囲気に慣れている可能性が高く、新しい職場でも看護補助者の業務を
スムーズに覚えられるでしょう。
また、介護や看護現場での経験を持つ人は、緊急事態の際も冷静に対処するスキルがある場合が多く、他のスタッフからも頼りにされる存在となります。

介護や看護の経験がない場合でも、看護補助者の仕事に役立つ資格の取得を通じて、スキルを身に
付けることができます。
具体的な資格は、「メディカルケアワーカー(2級・1級)」や「看護助手認定実務者試験」、
「介護職員初任者研修」などです。

まとめ

今回は、看護補助者について解説しました。
・病院で看護師の指示を受けながら補助業務を行う職種。
・看護師と違って、資格は不要で医療行為はできない。
・仕事内容は、「患者の身の回りのケア」、「看護師のサポート」、「環境整備その他」。
・メリットは、「無資格・未経験でも働ける」、「介護士・看護師を目指す土台となる」、
「医療・介護の知識が身に付く」。
・必要なスキルは、「コミュニケーション能力」、「看護・介護の基本知識・スキル」。

看護補助者の仕事は大変ですが、人の役に立っているという実感を得られることが多いです。
資格も経験もないけれど医療の現場で働きたい方は、まずは看護補助者から始めてみては
いかがでしょうか。

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