おむつ交換(排泄介助)は、入浴介助や食事介助と並んで3大介護と呼ばれる、
介護の仕事の中でも必要不可欠で重要な介助の1つです。
介助の手順や方法だけでなく、信頼関係の有無やプライバシーの配慮も求められるケアです。
この記事では、そんなおむつ交換をする際の手順や注意点を詳しく解説していきます。
目次
介護でおむつを交換する前に、大切なのが事前準備です。
おむつ交換は、下半身をあらわにする介助ですので事前準備を怠り何度も物品を取りに戻るなど
あれば、利用者さんに羞恥心を感じさせてしまいプライバシーが侵害されていると感じられる
こともありえます。
しっかりと準備物を把握し事前に準備できるようにしておきましょう。
おむつ交換に必要な物品には以下のようなものがあります。
おむつ交換はベッド上で行うため、介護をする人は中腰の姿勢になったりと、
難しい体勢で介助を行うこともありえます。
そのため、中腰姿勢が短時間で済む、または、中腰姿勢にあまりならないように、
ベッドの高さを調整します。
また、この時にベッドに寝転がっている利用者さんの頭部や足元部分が上がっていると、
おむつ交換がしづらくなってしまうため、ベッドはフラットな状態にしましょう。
※医師や看護師からフラットな状態を禁止されている場合は、確認しておきましょう。
おむつ交換を行う際は、ニオイ対策にも気を配りましょう。
特に施設や病院などでは、2人部屋や4人部屋に入居している場合もあるため、他の利用者への
配慮も忘れないようにしましょう。
ニオイが漏れると、本人も恥ずかしい気持ちになったり、申し訳ないという気持ちになりかねません。
可能であれば、他の利用者が居室にいない時間に行うなどの工夫も検討しましょう。
おむつ交換の際にできるニオイ対策には以下のようなものがあります。
おむつ交換を行った際は、排尿や排便などの記録をつけるようにしましょう。
排泄記録用のチェック表を用意するなどの準備をしておきましょう。
排尿の量はどのくらいか、濃縮尿や血尿などの異常尿がなかったか(排便であれば量や色に加えて、
普通の便か軟便かなども記録すると健康チェックに役立ちます)
記録を残し、経過をたどることでその方の排泄の頻度や量について知ることに繋がり、
その人にとっての異常などを察しやすくなります。
少しでも異変や異常を感じた場合は、本人に自覚症状などがなくても、医師や看護師に
報告しましょう。
おむつ交換は、ただただ古いおむつを新しいおむつに交換できればいい。というものではありません。
おむつが正しくあたっていないことで、不快な気持ちになったり、おむつでこすれて
肌トラブルの原因になる可能性もあります。
また、おむつの当て方が悪いと、排尿や排便の漏れに繋がり、羞恥心や自尊心を傷つける
だけではなく、多忙なスタッフの手間を増やしてしまう場合もあります。
おむつ交換の手順を知ることは、利用者にとってもスタッフにとっても助けになるため、
しっかりと正しいおむつ交換の手順を身につけましょう。
介護用のおむつはマジックテープ式のものがほとんどです。
おむつを外す時は、まずテープを外して利用者の体を横に向けます。
自分でベッドの作などをもって動ける方は自分の力を使うよう促しましょう。
この時、おむつの汚れた部分が広がらないように注意し、ゆっくりと行いましょう。
この時点でおむつを全て外すのではなく、ずらしたおむつの内側に汚れた部分を折りたたんで
いくようにするのがポイントです。
そうすることで、汚れた部分が利用者の体や衣類、シーツなどを汚しにくくなるため、
後の手順が行いやすくなります。
おむつをズラした後は、陰部の洗浄と清拭を行います。
この前に、排泄物がある場合は、トイレットペーパー・下用タオル・おしり拭きなどを利用して
拭き取りましょう。
介護用のおしり拭きなどであれば、水分が含んでおり使い捨てのため、肌を傷つけにくく
衛生的に拭き取りができるためおすすめです。
女性の場合は、尿道と肛門が近いため、前から後ろに向かって拭き取るようにし、
感染症予防に努めましょう。
排泄物を拭き取った後は、陰部洗浄ボトルなどを使用し、ぬるま湯で陰部を洗浄しましょう。
おむつを利用している方は、蒸れやすいため肌トラブルが起こりやすい環境で過ごしています。
おむつ交換の都度、陰部の洗浄を行い、清潔を保つことで汚れや細菌をしっかりと落とし
肌トラブルを予防しやすくなります。
陰部だけでなく、ソケイ部、シワや皮膚が重なったりしている部分は汚れがたまりやすいため、
キレイに洗い流すようにしましょう。
洗浄と清拭が終わった後は、タオルなどで拭き取りしっかりと乾かします。
軟膏などの薬を処方されている方はこのタイミングで塗布しましょう。
おむつは利用者の体格にあったサイズのものを選び、尿量に合わせた吸水力があるものを
使用しましょう。
新しいおむつへの交換手順は、以下のとおりです。
新しいおむつに交換する際は、引っ張りすぎて締め付けがきつくならないよう注意しましょう。
おむつを装着した後は、フィット感とズレがないかを確認し、整えましょう。
おむつ交換が終わった後は、下衣を履いてもらう、または介助で履きますがこの時も、
下衣がズレたり裾にたまっていないかなどを確認しましょう。
よく確認を忘れてしまうのが、履けているように見えて身体の後ろ側が履けておらず、
半分おしりが出ているなどです。
寝たきりの方であれば、このような確認不足によるズレやシワが褥瘡の発生リスクを
高めてしまうため、必ず確認するようにしましょう。
介護でおむつ交換をする際は、交換することだけではなく、それ以外にも配慮するべき点が
多くあります。
おむつ交換の技術がいくら良くても、注意点をおろそかにしてしまうと利用者の信頼関係は築けず、
より良い介護が提供できているとはいえません。
より良い介護を提供できるためにも、ここからは介護でおむつ交換をする際の5つの注意点について、
それぞれ解説していきます。
おむつ交換は、普通は見せない排泄姿や下半身をあらわになる時間です。
そのため、おむつ交換にはプライバシーに配慮して環境を整えることが求められています。
具体的には、静かで人目がない空間を確保するために、ドアを閉め忘れないようにしたり、
カーテンを利用して視界を遮るように配慮しましょう。
また、おむつ交換中に陰部を露出しないように、タオルなどの布をかけて隠すことも大切です。
おむつ交換は、このように排泄のケアだけではなく、心のケアにも関わってくることを
忘れないようにしましょう。
おむつ交換を行う際、利用者の体型に合ったおむつを選ぶことが非常に重要です。
なぜなら、適切なサイズのおむつを使用することで身体にフィットし、漏れや不快感をを防いで
くれ皮膚トラブルを軽減できるためです。
おむつのメーカーからは、サイズ表がでていることが多く、正しいおむつのサイズ合わせの仕方など
が紹介してくれていることも多いです。
このようなサイズ表を参考にしたり、メーカーに相談し研修会を開くなどし個々のサイズに
合わせたおむつを選びましょう。
また、おむつの種類も近年豊富になっており「身体の大きい人のため伸縮性のあるタイプ」
「痩せ型の人にフィットしやすいタイプ」「群れを防ぐための通気性が良いタイプ」
「尿量が多い方のための吸収性が高いタイプ」などがあります。
おむつ交換を行う際は、おむつを引っ張りすぎないように注意しましょう。
おむつを引っ張りすぎると、摩擦が生じるため皮膚に負担がかかり擦れて傷がついたりする
リスクがあるためです。
また、おむつを引っ張りすぎるとせっかく合わせたおむつの中心線がズレてしまい、
不快感やズレの原因になります。
特に、高齢者は皮膚が薄く弱くなっていることが多く、傷がついたり肌トラブルが生じる
リスクが高まっています。
おむつ交換の際は、細心の注意を払いながら利用者の身体を優しく持ちあるなどの配慮を
忘れないようにしましょう。
おむつ交換は、下半身を露出して行う介助のため、羞恥心や自尊心への配慮が必要です。
介護する人が、黙ったまま険しい表情で介助を行うと、利用者も不安が高まってしまいます。
介助の際は「今からおむつ交換しますね」や「身体を横に向けますね」など動作毎に
言葉をかけ安心してもらえるように配慮しましょう。
また、「大丈夫ですか」や「痛くないですか」など気づかいの言葉も忘れずにかけることで、
気持ちが和らぎ信頼関係を築きながら介助を行うことができるでしょう。
おむつ交換は、肌を露出する介助です。
普段目につかない皮膚の状態を確認する機会は少ないため排泄介助の際などは、介助だけではなく
皮膚状態の観察も行いましょう。
皮膚が赤くなっていないか、乾燥していないか、腫れや熱感はないかなどを注意深く観察し、
異常があれば医師や看護師に指示を仰ぎ適切に処置をしましょう。
また、おむつ交換の際は、排尿や排便のについても確認しましょう。
尿や便などが「いつもより少なくないか・多くないか」「色がおかしくないか」
「柔らかい便や水のような便が出ていないか」などを確認しましょう。
身体の異変は排尿や排便に現れやすいです。
とくに体内の異変は外からは見えないため、排出される排尿や排便から異常を察知し、
普段と違う排尿や排便が出ている場合や続く場合は、医師や看護師に報告するようにしましょう。
この記事では、おむつ交換の手順とポイント、注意点について解説をしました。
おむつ交換(排泄介助)は入浴や食事介助と並ぶ、3大介護の1つであり重要な介護です。
正しい手順と利用者への配慮が必要であり、それらをしっかりと知ることで利用者と
介助者どちらもの負担を軽減でき、皮膚トラブルや感染症を防ぐことにも繋がります。
この記事で紹介した、おむつ交換の手順や注意点をしっかりと見に付け、
おむつ交換のみならず利用者の心のケアも上手くできるようになりましょう。