福祉用具専門相談員の資格の取り方や業務内容を詳しく解説!

2025.01.23

「福祉用具専門相談員」の資格は比較的取りやすく、将来性もやりがいもある仕事です。
高齢化が進む現代において、福祉用具の需要は高まっています。
そのため、福祉用具の選び方や使い方などに精通した専門家の存在は、ますます
重要性を増しています。

この記事では、福祉用具専門相談員の仕事内容や資格の取得方法などを詳しく解説します。
介護の仕事や福祉用具に興味のある方におすすめの内容です。

福祉用具専門相談員とは

「福祉用具専門相談員」とは、高齢者や障がい者が、車椅子や介護ベッドなどの福祉用具を
利用するためにサポートをする専門職です。
利用者の自立支援や介護者の負担軽減を目的に、福祉用具を提案する役割があります。

福祉用具貸与・販売事業所や福祉用具メーカー、住宅改修事業所、介護施設などの職場で
活躍しています。
介護保険の指定を受けた福祉用具貸与・販売事業所では、福祉用具専門相談員2人以上の
配置が義務付けられています。

福祉用具専門相談人の主な仕事内容

ここでは、福祉用具専門相談員の仕事内容を紹介します。
主な仕事内容は、「福祉用具の相談・選定」、「福祉用具の適合・取り扱い説明」、
「福祉用具利用計画の作成」、「モニタリング」の4つです。1つずつ見ていきます。

 福祉用具の相談・選定

福祉用具専門相談員の仕事は、福祉用具貸与事業所などを訪れた利用者・家族との用具の
選定相談から始まります。
相談業務では、利用者の心身の状態や使用環境を丁寧に聞き取り、状況把握に
努めることが大切
です。
利用者の障がいや要介護の程度、住環境、利用の希望など状況を一通りヒアリングして、
一人ひとりに合った福祉用具を選定します。

2018年10月に福祉用具の貸与額に上限が設定されました。
それにより、福祉用具を提供する事業者には、当該事業者の貸与価格と全国平均貸与価格の両方の
説明が義務付けられています。

 福祉用具の適合・取り扱い説明

福祉用具専門相談員は、利用者の身体の状態や生活環境に合わせて、使用する福祉用具の
調整を行います。高さや角度、長さなど、調整できるところは1つずつ丁寧に調整します。
また、実際の使用中に事故が起こらないよう、安全に福祉用具を使うための説明も必要です。
福祉用具専門相談員は、正しい使い方をわかりやすく説明できるよう、勉強を怠ってはいけません。
福祉用具の展示会や研修会などに積極的に参加するなどして、最新情報をチェックしておきましょう。

 福祉用具の利用計画作成

福祉用具専門相談員は、ケアマネジャーが作成したケアプランと、利用者や家族との
相談内容をもとに、「福祉用具の利用計画(福祉用具サービス計画)」を作成します。

この利用計画には、どのような目的で福祉用具を使用するのか、福祉用具を使用して今後の
生活をどのように変えたいのかを記載します。
多数の福祉用具からその商品を選定した理由の記載も必要です。
この計画書に利用者が同意することで、福祉用具のレンタルが可能になります。

 モニタリング

福祉用具専門相談員は、利用者の自宅を定期的に訪問して、福祉用具の点検や調整、
利用状況の確認などを行います。
チェックするのは、福祉用具に故障や劣化がないか、使用方法は適切か、利用者の現在の
心身状態に合っているかなどです。
これを「モニタリング」といい、年に2回実施することが義務付けられています。

モニタリングの際には、利用者だけでなく家族やケアマネジャーなどの意見も参考にすることが
求められます。福祉用具を交換する必要がある場合は、利用者との相談や利用計画の見直しを
実施します。
購入ではなく「貸与」という形での利用なので、より適合した福祉用品への取り換えが容易です。

福祉用具専門相談員の資格の取り方

福祉用具専門相談員になるためには、2つの方法があります。
「福祉用具専門相談員指定講習の修了」と「特定の国家資格等の取得」のいずれかの方法です。
以下、それぞれについて詳しく解説していきます。

 福祉用具専門相談員指定講習を受講・修了する

「福祉用具専門相談員指定講習」は、都道府県知事の指定を受けた研修機関が開催しています。
50時間の講義・演習により、必要な知識とスキルを習得します。
カリキュラムをすべて受講した後に、終了評価試験に合格すれば、福祉用具専門相談員として
働くことが可能です。
指定講習の受講には要件はなく、経歴・学歴を問わず取得を目指せます。
学習内容は、以下の通りです。福祉用具以外に、介護・医療の基礎知識や介護保険制度など
幅広く学びます。

  1.  福祉用具と福祉用具専門相談員の役割
  2. 介護保険制度等に関する基礎知識
  3. 高齢者と介護・医療に関する基礎知識
  4.  個別の福祉用具に関する知識・技術
  5. 福祉用具に係るサービスの仕組みと利用の支援に関する知識
  6. 福祉用具の利用の支援に関する総合演習

 特定の国家資格を取得する

以下の8種類の国家資格等を取得済みの方は、福祉用具専門相談員の要件を満たしています。
准看護師のみ都道府県知事が認定する公的資格ですが、他の7種類はすべて国家資格です。

  1. 保健師
  2. 看護師
  3. 准看護師
  4. 理学療法士
  5. 作業療法士
  6. 社会福祉士
  7. 介護福祉士
  8. 義肢装具士

    これらの医療や介護に関する国家資格等を保有する人は、福祉用具に関する
    専門的な知識があるとみなされます。
    福祉用具専門相談員指定講習を受講しなくても、福祉用具専門相談員として働くことが
    できるのです。

福祉用具相談員の資格取得の難易度は?

福祉用具専門相談員指定講習の修了時に行われる筆記試験は、講習で学んだ内容を理解しているか
を確認する意味で実施されます。
合否を決めるために一定数をふるい落とす目的の試験ではないため、難易度は高くありません。
しっかり講習を受けていれば、ほぼ全ての人が合格できます。
もしも不合格となった場合でも、追試験を受けられる場合が多いため安心です。
他の資格と比べると短期間でほぼ確実に取得可能なため、介護職でどの資格を取得しようか
迷っている方にもおすすめです。

まとめ

今回は、福祉用具専門相談員の資格について解説しました。
・高齢者が福祉用具を利用するためのサポートをする専門職。
・仕事内容は、「相談・選定」、「利用計画作成」、「適合・取扱説明」、「モニタリング」。
・取得方法は、「福祉用具専門相談員指定講習修了」または「特定の国家資格取得」。
・講習の修了試験の難易度は高くない。

高齢化社会の進展とともに、福祉用具を必要とする人は今後ますます増えていくと見込まれています。興味を持たれた方は、福祉用具専門相談員の資格取得を検討してみてはいかがでしょうか。

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