30代の男女別血圧平均値は?正常値から外れた時の体へのリスクも紹介

2025.02.07

30代の血圧平均値を知りたい方、早めの高血圧対策をしたい方におすすめの記事です。
一般的に、血圧は年齢が上がるほど高くなり、高血圧は若者には無関係と思われがちです。
しかし、2010年の調査では、30代では約230万人が高血圧と推計されています。

高血圧は、心臓病や脳卒中などのリスクを高めるため、若いうちからの対策が重要です。
この記事では、高血圧の基準値、30代男女別血圧平均値、高血圧のリスク、血圧を正常に保つ
ポイントなどを解説します。

血圧とは

職場の健康診断などで、年に1回程度血圧を測定する機会がある人は多いでしょう。
しかし、数値の見方を正しく理解している人は多くないかもしれません。

ここでは、まず血圧の定義を紹介し、日本高血圧学会の「高血圧治療ガイドライン2019」を参考に
して、血圧の正常値や高血圧・低血圧の基準値について解説します。

 血圧の定義

血圧とは、血液が血管の内壁を押す力のことです。
心臓が収縮して血液を強い力で押し流すときの血圧を「最高血圧(収縮期血圧)」、
心臓が拡張しているときの血圧を「最低血圧(拡張期血圧)」といいます。

血管は年齢とともに弾力性が低下して硬くなる傾向にあり、心臓はより強い力で血液を押し出す
必要があります。そのため、年齢を重ねるほど最高血圧は高くなりやすいです。
最高血圧が高い場合は心筋梗塞などの心臓病のリスクが高まり、最低血圧が高い場合は脳卒中や
腎不全などのリスクが高まるとされています。

 血圧の正常値

血圧には、医療機関で測定したときの「診察室血圧」と、自宅で測定したときの「家庭血圧」があり、それぞれで正常値や高血圧の基準値が設定されています。医療機関では、緊張から「白衣高血圧」
になりやすいため、診察室血圧の基準は家庭血圧より少し高めです。
「正常血圧」に分類されるのは、血圧が以下の範囲の場合です。

  1. 診察室血圧
    「最高血圧 120mmHg未満」 かつ 「最低血圧 80mmHg未満」
  2. 家庭血圧
    「最高血圧 115mmHg未満」 かつ 「最低血圧 75mmHg未満」

 低血圧と高血圧の基準値

◆ 高血圧の基準値
「高血圧」に分類されるのは、血圧が以下の範囲の場合です。

  1. 診察室血圧
    「最高血圧 140mmHg以上」 かつ/または 「最低血圧 90mmHg以上」
  2.  家庭血圧
    「最高血圧 135mmHg以上」 かつ/または 「最低血圧 85mmHg以上」

    高血圧の基準に当てはまらなくても、正常血圧の範囲を超えている場合は、将来的に
    高血圧になる可能性が高いです。また、正常血圧の人と比べて、脳卒中や心臓病などの
    発症リスクが高いので、後述する生活習慣の見直しをおすすめします。

◆ 低血圧の基準値

「低血圧」には、高血圧のような明確な基準はありません。
一般的に、「最高血圧 100mmHg未満」の場合を低血圧とすることが多いです。

30代の男女別血圧平均値と高血圧の割合

このセクションでは、厚生労働省の「令和元年国民健康・栄養調査報告」を参考に、
30代の男女別の血圧平均値と高血圧の割合を紹介します。
20~30代の若年者の場合は、高齢者と比べて、腎臓や甲状腺などの病気が原因で高血圧になることが
多いです。

 30代男性

30代男性の血圧の平均値は、以下のとおりです。

  • 最高血圧 117.3mmHg / 最低血圧 73.7mmHg
    この平均値は、日本高血圧学会の分類によると、正常血圧の範囲内となります。

    また、30代男性の正常血圧と高血圧の割合は以下のとおりです。
  • 正常血圧の割合: 56.3%   ・高血圧の割合: 6.3%

    ちなみに、40代男性では、血圧の平均値は「125.8mmHg / 81.3mmHg」で、高血圧の割合は「30.9%」です。平均値は、高血圧の一歩手前の「高値血圧」に該当します。
    40代以降は、加齢による動脈硬化に加え、生活習慣の変化や病気への罹患などを原因として、
    高血圧の割合が増えるといわれています。

 30代女性

30代女性の血圧の平均値は、以下のとおりです。

  • 最高血圧 107.9mmHg / 最低血圧 66.3mmHg
    この平均値は、日本高血圧学会の分類によると、正常血圧の範囲内となります。

    また、30代女性の正常血圧と高血圧の割合は以下のとおりです。
  • 正常血圧の割合: 83.5%   ・高血圧の割合: 3.3%

    ちなみに、40代女性では、血圧の平均値は「114.3mmHg / 71.2mmHg」で、高血圧の割合は「9.0%」です。平均値は、正常血圧の範囲内です。
    40代以降では、女性も男性と同様に、主に加齢による動脈硬化が原因で血圧が高くなりやすい
    です。さらに、女性の場合は、更年期に女性ホルモン「エストロゲン」が減少することでも
    血圧が上がりやすくなります。

血圧が正常値から外れた時の体へのリスク

血圧が正常値から外れ、「高血圧」や「低血圧」に該当する人には、どのようなリスクが
あるのでしょうか。一般的に、高血圧の方がより危険性が高いとされています。

しかし、低血圧の場合にも、全身への血液供給不足から酸素や栄養分が行きわたりにくくなり、
さまざまな症状が現れることがあります。

 高血圧のリスク

高血圧の状態が続くと、血管は次第に弾力を失って硬く厚くなっていき、「動脈硬化」が進行します。この動脈硬化は全身の血管に起こり、さまざまな合併症や病気のリスクを高めます。
動脈硬化は、狭心症や心筋梗塞、脳出血、脳梗塞、大動脈瘤、大動脈解離、下肢閉塞性動脈硬化症などの重大な病気を引き起こすことがあります。
自覚症状がないまま進行することが多いため、「サイレントキラー」とも呼ばれます。

定期的に健康診断を受けたり自宅でも血圧を測定したりして、さらに後述するように生活習慣を
見直すことで、高血圧を予防することが重要です。

 低血圧のリスク

低血圧は、そのリスクや改善・予防策について、メディアなどで取り上げられることは少ないです。
しかし、低血圧にも重大な病気が隠れていることがあり、症状によっては日常生活に支障を
きたすこともあります。

症状は、めまい、立ちくらみ、頭痛、失神、動悸、食欲不振、倦怠感などさまざまです。
ホルモン分泌異常などの病気が原因の場合は、その治療により改善が期待されます。
病気が原因ではないタイプで、生活の質を著しく低下させる症状がある場合は、生活習慣の改善や
薬による治療が必要です。
生活習慣の改善としては、例えば以下のものがあります。

  1. 栄養バランスの整った食事を心がける
  2. 適度な運動により筋肉をつける
  3.  水分を適度に補給する

血圧を正常に保つための4つのポイント

このセクションでは、血圧を正常に維持するための4つのポイントを紹介します。
高血圧を長年放置すると、重大な病気の発症リスクが高まり、取り返しのつかない事態に
なりかねません。

高血圧の改善や予防のためには、20~30代の若いうちから自身の生活習慣全般を見直すこと
が重要です。

 1.運動習慣を身に付ける

適度な運動を行うことで、高血圧のリスクが下がるとされています。
また、運動により高血圧のリスクを高める肥満の解消にもつながります。

運動をすると、血圧は一時的に上がります。しかし、筋肉に多くの酸素と栄養を運ぶために
血管が広がるなどして、血圧は下がっていきます。

運動としては、酸素をたくさん取り入れながら行う有酸素運動が適しており、1日30分程度を
毎日行うことが理想です。有酸素運動としては、ウォーキングやジョギング、水泳、サイクリング、
エアロビクスなどがあります。
すでに血圧が高めの方は、医師に相談するなどして無理のない範囲で行ってください。

 2.十分な休息と睡眠をとる

高血圧のリスクを下げるためには、ストレスをためず十分な休息と睡眠をとることも重要です。
ストレスは、交感神経を刺激し血圧の上昇を引き起こします。さらに、ストレスは食生活の乱れや
不眠、飲酒、喫煙などにもつながりやすく、高血圧のリスクがさらに高まります。

また、睡眠不足により自律神経の働きが乱れると、高血圧を発症しやすくなります。
ストレスや睡眠不足は高血圧だけでなく、さまざまな病気のリスクを高めます。
好きな趣味に没頭したり、ゆっくり入浴したりといった自分なりのリラックス方法を見つけることが
重要です。

 3.食生活を改善する

高血圧の最大の原因が、塩分の過剰摂取とされています。
塩分を多く摂取すると、血中の塩分濃度を下げるために血液量が増え、血圧が高くなります。
日本高血圧学会では、「食塩の摂取量は1日6g未満」を推奨しています。
塩分控えめで美味しい料理のレシピは、インターネットで検索するとたくさん見つかるので、
参考にしてください。

また、ナトリウム排泄効果があるカリウム・マグネシウム・カルシウムを積極的に摂取しましょう。
カリウム・マグネシウムは野菜や果物、海藻、豆類などに多く含まれ、カルシウムは乳製品や
小魚などに多く含まれます。

さらに、肥満の方は高血圧のリスクが高くなるとされています。
特に、健康診断で「内臓脂肪が多い」と指摘された方は注意が必要です。食べ過ぎに注意し、
栄養バランスのとれた食事を心がけてください。

 4.禁煙・節酒に努める

禁煙・節酒により高血圧のリスクが下がるとされています。
喫煙をすると、ニコチンにより血管が収縮するため血圧が上がります。

また、アルコールには血管を拡張させる作用があり、少量であれば一時的に血圧は下がります。
しかし、過剰な摂取により血圧は高くなります。飲酒量の目安は、男性がアルコール換算で
20~30ml/日(日本酒ならば1合、ビールならば500ml程度)以下、女性が10~20ml/日以下です。

喫煙も過度の飲酒も、がんなどさまざまな病気のリスクを高めることがわかっています。
健康のためには、禁煙と節酒が重要です。

まとめ

今回は、30代の血圧平均値や高血圧の予防・改善策などを解説しました。

  • 血圧の正常値は「120/80mmHg未満」、高血圧の基準値は「140/90mmHg以上」。
  • 30代の血圧平均値は、男女ともに正常血圧の範囲内で、男性の方が高い。
  • 高血圧では、動脈硬化が進行し、心臓病や脳卒中などの重大な病気のリスクが高まる。
  • 高血圧リスクを下げるには、「食事」・「運動」・「喫煙」・「飲酒」・「睡眠」
    ・「休息」などの生活習慣見直しが必要。

    高血圧を予防して健康寿命を延ばすためにも、若いうちから生活習慣を改善しましょう。
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