子供が社会人に|世帯分離の手続き方法やメリット・デメリットを解説

2025.02.07

世帯分離とは、同居家族の住民票の世帯を二つ以上の世帯に分けることです。
世帯を分離することで介護保険サービスの自己負担額を抑えるなどの経済的なメリットがありますが、デメリットもあります。

この記事では、世帯分離についての煩雑な手続き方法や、メリット・デメッリトについて解説
しています。現在、世帯分離について考えている方は参考にしてください。

そもそも世帯分離とは

世帯分離とは、住民票に登録されている一つの世帯を、二つ以上の世帯に分けることです。
それぞれの世帯主が独立した家計を営んでいるという条件のもとで、同じ住所に住んでいる家族の
住民票を2つ以上の世帯に分けることです。
同じ住所に複数の世帯主が登録されているケースということです。
市区町村の窓口で手続きをすれば世帯を分けることができます。

所得が低い世帯として行政サービスの優遇を受けたり、高齢の親の住民税を軽減する手法として
利用されます。

子供が社会人になり収入を得ていれば世帯分離可能

世帯分離とは、同居家族の住民票の世帯を分けることですが、子供が社会人になり、
収入を得て自分の生活を営んでいれば、世帯分離可能です。
ただし、必ずしも保険料が下がるわけではありません。

子供は親の扶養から外れるので、医療保険や年金などの手続きが変更されます。
また、世帯年収も分かれるので、それぞれの世帯の人数や所得に応じて住民税が課せられるように
なります。
世帯ごとに保険料を払うことになるので、合計額が同一世帯の時よりも上がる可能性もあります。

社会人になった子供と世帯分離をするメリットは?

社会人になった子供と世帯分離をするメリットは、介護保険サービスの自己負担額を抑えることが
できるからです。国民健康保険料が下がる可能性や高額医療費の上限区分の低下といった、
経済的なメリットが得られます。

高齢の両親の所得が少なく、個人事業主の息子の所得が多い場合は、保険料などが安くなります。

 介護費用の自己負担額の上限を下げられる

世帯分離をすることで、介護費用の自己負担額の上限を下げることができます。
これは、世帯の収入が、世帯を分離することで減るからです。
介護費用の自己負担額は、本人の収入や世帯の収入に応じて決まりますが、自己負担額は1~3割です。

世帯分離をすることで介護費用の自己負担額の上限を下げるには、「高額介護サービス費制度」を
利用します。この制度では、1ヶ月に支払った介護費用が自己負担額の上限を超えた場合、
超えた分が払い戻されます。

 介護費用の自己負担額を軽減できる

世帯分離を行うことで、介護費用の自己負担額を軽減できる可能性があります。
介護費用の負担額は、介護サービスを利用する本人の所得だけで決まるので、世帯分離によって、
介護費用の自己負担額を軽減することができます。

介護費用の自己負担額の軽減効果としては、介護サービスの費用が減ること、
高額介護サービス費制度の自己負担額の上限が下がること、所得が少ない親の住民税が
軽減されることです。
市区町村の担当窓口で「世帯変更届」を提出することで手続きができます。

 介護保険施設の食費・居住費を軽減できる

世帯分離をしていても、介護保険施設の食費や居住費を軽減できます。
ただし、介護保険負担限度額認定証の対象となる要件を満たしていることです。

介護保険負担限度額認定証とは、介護保険施設やショートステイを利用する際の食費や居住費の
負担を軽減する制度です。
負担限度額は、所得や資産に応じて設定され、その限度額を上回った場合は介護保険から
特定入所者介護サービス費が支給されます。
認定証は住んでいる自治体または施設から申請できます。

 国民健康保険料が下がる可能性がある

世帯分離をすると、国民健康保険料が下がる可能性があります。
世帯分離によって前年の世帯所得が下がるからです。

働き盛りの子どもなど、世帯の収入が高い人を別の世帯に分けることで、計算上の世帯所得が
減少し、国民健康保険料が下がる可能性があります。
高齢の親が住民税非課税世帯となる場合は、国民健康保険料も免除されます。

ただし、すべての世帯が負担額を減らせるわけではなく、世帯分離した2世帯の合計では
保険料が上がってしまう場合もあります。

 後期高齢者医療制度の保険料を軽減できる可能性がある

世帯分離の手続きは市区町村の役所で行って、マイナンバーカードなどの身分証明証と印鑑、
世帯変更届を提出します。

後期高齢者医療保険料の年間保険料は4月1日基準で計算するので、4月2日以降は当年度には
反映されません。

社会人になった子供と世帯分離をするデメリットは?

社会人になった子供と世帯分離をするデメリットは、必ずしも保険料が低くなるわけではありません。
親と子がそれぞれの世帯で保険料を支払うことになるため、納付額の合計が上がる可能性があります。

世帯分離前よりも総額が高くなる場合があります。
また、同居している親族と世帯分離した場合は、原則として扶養控除の対象にはできません。

 国民健康保険料の負担額が増えることがある

世帯分離を行うと、国民健康保険料の負担額が増える可能性があります。
これは、世帯分離によって世帯主が2人になるため、平等割額が2倍になるからです。

世帯分離によって国民健康保険料の負担額が増える可能性があるのは、親が国民健康保険に
加入している場合、世帯全員が国民健康保険に加入している場合、親と子が共に高所得者で
ある場合です。

世帯分離のデメリットは多岐にわたるため、ご自身のケースと照らし合わせて慎重に検討しましょう。

 扶養手当が支給されないことがある

世帯分離をすると、扶養手当が支給されないことがあります。
世帯分離によって子供が親の扶養から外れるからです。扶養手当は勤務先の独自の制度です。
支給基準は明確ではないので、世帯分離をする前に勤務先に確認しておきましょう。

世帯分離によって扶養手当が支給されない例としては、児童扶養手当、障害児福祉手当、
特別児童扶養手当があります。
また、健康保険組合関連のサービスが利用できなくなる可能性もあるので、こちらも確認して
おきたいです。

 手続きが煩雑になる

世帯分離の手続きは、煩雑になる場合があります。住民票や国民健康保険などの変更届、
年金や税金などの関係機関への変更届など、さまざまな手続きが必要になります。

親が高齢で自分で手続きが困難な場合は、代理で子が手続きをすることになります。
その際には委任状が必要になります。
世帯分離の手続きは、世帯分離した日から2週間以内に行う必要があります。
各機関によって必要な書類や手数料が異なるので、事前に確認しておきましょう。

世帯分離の手続き方法

世帯分離の手続きは、現在住んでいる市区町村の窓口で行います。
世帯変更届を提出しますが、この変更届は市区町村役場の住民課や戸籍課で入手できます。

源泉徴収票や課税証明書など、生計が別であることを証明する書類や証拠を準備する必要があります。

 必要な書類

世帯分離の手続きには、本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証、パスポートなど)、
世帯変更届、国民健康保険証(加入している方のみ)、印鑑、
委任状(代理人が手続きする場合のみ)が必要です。

手続きは、世帯分離を希望する本人、世帯主、同一世帯員が行うことができますが、
代理人が手続きを行う場合は、委任状が必要です。

本人確認書類は、マイナンバーカード、運転免許証、パスポートなど、いずれか1枚で済むものと、
健康保険証や年金手帳など、2枚以上が必要なものがあります。

 手続きの流れ

世帯分離の手続きは、市区町村役場や国民健康保険などの関係機関で行います。

手続きの流れは、市区町村役場の住民課や戸籍課で「世帯変更届」を入手し、必要事項を記入し、
印鑑を押します。必要書類を揃えて、世帯変更届と必要書類を提出します。

審査の結果、条件を満たしていれば世帯分離が承認され、新たな住民票が交付されます。
手続きを行うには、世帯分離を希望する本人、世帯主、同一世帯員が行いますが、
代理人の場合は委任状が必要です。

まとめ

この記事では、世帯分離について解説してきました。

世帯を二つ以上に分離することで、介護費用の自己負担額を軽減できるというメリットがありますが、必ずしも保険料が低くなるわけではないというデメリットもあります。
手続き方法についても解説しましたので、世帯分離について考えている方は、
この記事を参考に検討してみてください。

お役立ちコラム一覧へ戻る