介護付き有料老人ホーム費用相場|月額利用料の内訳や入居金を紹介

2025.02.07

「介護付き有料老人ホームの費用」について、相場から内訳、軽減制度まで解説します。

介護付き有料老人ホームとは、介護が必要な高齢者が、生活支援などの広範なサービスを
受けながら居住する施設です。
他の高齢者施設と比べると費用は高めですが、その分サービス内容や設備が充実しています。

この記事では、介護付き有料老人ホームの費用相場、月額費用の内訳、支払い方式、
負担軽減制度について詳しく紹介します。

介護付き有料老人ホームの費用相場

まず、多くの方が気になっていると思われる「介護付き有料老人ホームの費用の相場」について
紹介します。

費用は、入居時にかかる初期費用である「入居時費用」と、入居後に毎月支払う「月額費用」とに
分けられます。

 入居時費用

「入居時費用」とは、入居する際に、「一定期間の家賃の前払い」として支払う費用です。
施設の立地や設備・介護体制の充実度などにより大きな幅があります。
入居時費用の相場は、「0~数百万円」です。

数百万円の施設もあれば、0円の施設もあります。
0円の場合は、家賃の前払いがないため、月額費用が高くなることが多いです。
入居時費用には、5~6年程度の償却期間が設けられていることが多いです。
この償却期間内に退去した場合には、残りの期間に対応する金額が返還されます。

 月額費用

「月額費用」とは、毎月施設に支払う費用で、内訳は家賃や管理費、食費、介護サービス費などです。
月額費用の相場は、「15~35万円」です。

特別養護老人ホームなどの公的施設や、住宅型有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅など
他の民間施設と比べて、高めになっています。
他の施設より手厚いサービスを受けられるなどの理由が挙げられます。
ちなみに、厚生労働省の2019年の調査によると、介護付き有料老人ホームの月額費用の平均は、
「約22.7万円」です。

介護付き有料老人ームの月額利用の内訳

ここでは、介護付き有料老人ホームの入居後に毎月発生する「月額費用」について、その内訳を
詳しくみていきます。
月額費用には、「居住費」や「管理費」、「食費」などのほかに、「介護保険サービスの自己負担額」や「上乗せ介護費」も含まれます。

 管理費

「管理費」とは、施設を管理・運営するために必要な費用です。
その内訳は、事務管理部門スタッフの人件費や共有設備の維持・メンテナンス費用、
事務費用などです。設備の充実度に応じて金額が高くなる傾向にあります。
また、スタッフの人件費が含まれる分、一般的な賃貸物件の管理費よりやや高めです。

なお、水道光熱費は通常は管理費に含まれていますが、施設によっては利用した分を
実費精算するケースもあります。事前に確認しておきましょう。

 居住費

「居住費」とは、一般的な賃貸物件の家賃に相当するもので、施設に住むために必要な費用です。
施設の立地条件や部屋の面積・グレード、トイレ・キッチンなど設備の充実度などにより
費用に大きな差が出ます。
特に、地価の高い首都圏の施設は、他の地域の施設より高額です。

なお、共有スペースの設備やサポート体制、オプションサービスなどが充実した、
いわゆる「高級老人ホーム」では、居住費だけで100万円を超えることもあります。

 食費

「食費」とは、施設で提供される1日3食の食事にかかる費用です。
食材費用や厨房維持管理費などが含まれます。

1食ごとに費用を設定している施設や、毎月定額で設定している施設があります。
定額で設定されている場合でも、食べなかった分については、その分を引いた金額を支払います。


なお、入居者の咀嚼力や嚥下力に応じて、ソフト食やきざみ食、ミキサー食などを用意できる
施設もあります。また、糖尿病や高血圧などの方に個別に対応可能な施設もあるので、
あらかじめ確認しておきましょう。

 施設介護サービス費

「施設介護サービス費」とは、施設の介護サービスを受ける際にかかる費用です。
介護保険が適用されるため、自己負担額は所得に応じて「1~3割」です。

施設のスタッフが、食事や入浴、排泄などの介助や機能訓練などの介護サービスを提供します。
介護サービス費は「要介護度」ごとに定められ、どれだけサービスを受けても「定額」です。
1割負担の場合における月当たりの介護サービス費は、以下のようになります。

  • 要支援1: 5,490円
  • 要支援2: 9,390円
  • 要介護1: 16,260円
  • 要介護2: 18,270円
  • 要介護3: 20,370円
  • 要介護4: 22,320円
  • 要介護5: 24,390円

 自費サービス費

「自費サービス費」とは、施設で提供されるサービスの費用のうち、介護保険が
適用されない費用のことです。

例えば、買い物代行や理美容などのサービスで、レクリエーション・イベントへの参加費用、
サークル活動費用も別途請求されるのが一般的です。
また、入浴や通院の送迎などが一定の回数を超えた場合に追加費用がかかることもあります。

全額自己負担となるため、費用はやや高めです。入居前に、「どのようなサービスが利用できるか」、「費用はいくらか」を確認しておきましょう。

 上乗せサービス費

「上乗せサービス費」とは、国の基準を超えた介護サービスを受ける場合に請求される費用です。
介護付き有料老人ホームでは、「要介護者3人に対して1人の介護または看護職員」を配置する
必要があります。

しかし、要介護者2人に対して職員1人など、この基準を超えた人員を配置し、介護体制を
充実させている施設も存在します。
このように、基準を超えた介護体制を整えている場合は、人員にかかる費用を「上乗せサービス費」
として入居者に請求することができる
のです。

 その他

「その他」の費用には、ここまでに紹介した費用以外のさまざまなものが含まれます。
例えば、「日用品費」や「医療費」などです。

日用品としては、歯ブラシやせっけん、ティッシュペーパー、おむつなどがあります。
人によって必要なものが異なるため、自身の必要なものを考え、おおよその費用を
想定しておくとよいでしょう。
医療費は、病院を受診した際の診察費、治療費、薬代などです。
こちらも、人によって金額が大きく異なります。

主な支払い方式

ここまで、介護付き有料老人ホームの入居時費用と月額費用について解説してきました。
それらの費用の主な支払い方法は、以下の3種類です。

  • 全額前払い方式
  • 一部前払い方式
  • 月払い方式
    それぞれの支払い方法について、詳しく紹介します。

 全額前払い方式

「全額前払い方式」とは、入居時に入居時費用を全額支払う方式です。
この方式では、「想定居住期間の家賃合計相当額」を入居時費用と定めます。

入居時にその全額を支払うことで、入居後は家賃の支払いが発生せず、月額費用が抑えられます。
また、実際の居住期間が当初の想定居住時間より長くなった場合でも、家賃を支払う必要はないです。

全額前払い方式では、入居後の経済的な見通しが立てやすいというメリットがあります。
しかし、入居時費用が高くなり、入居のハードルが高いことがデメリットです。

 一部前払い方式

「一部前払い方式」とは、想定居住期間の家賃合計相当額の一部を入居時に前払いし、残りの
金額を入居中に毎月支払う方式です。

前払いする金額は、利用者が支払える範囲の金額です。
そのため、全額前払い方式と比較して入居時のハードルが低くなります。

さらに、家賃の一部をすでに支払っているため、月々の負担も比較的少なくてすむこともメリット
です。ただし、居住期間が長くなると、支払い金額の合計が全額前払い方式より高くなる場合が
あります。

 月払い方式

「月払い方式」とは、家賃の前払いである入居時費用を支払わず、毎月月額費用の一部として
家賃を払う方式です。

初期費用が0円なので、入居時のハードルはかなり低くなりますが、その分毎月の費用負担は
大きくなります。入居期間が長くなると、居住の継続が困難な状況に陥る可能性もあります。

入居前に、入居時の費用だけではなく、入居期間や月々の支払額などを総合的に判断し、
最も現実的な支払い方式を選択することが大切です。

介護付き有料老人ホームの費用負担を軽減する制度

介護付き有料老人ホームの費用負担を軽減する制度は、主に以下の2つです。
ほかにも、所得税の確定申告で「医療費控除」を受けられる場合などもあります。

  1. 高額介護サービス費制度
    1ヶ月の「介護保険サービス自己負担額」が上限額を超えた場合に、超過額が戻ってくる
    制度です。上限額は所得に応じて区分されています。
    例えば、課税所得380万円未満の方の上限額は、「44,400円」です。
  2. 高額医療・高額介護合算制度
    同一世帯の年間の「介護保険サービス費と医療費の自己負担合計額」が限度額を超えた場合に、
    超過額が戻ってくる制度です。限度額は所得に応じて区分されています。
    例えば、課税所得145万円未満の70歳以上世帯の限度額は、「56万円」です。
    ただし、同一世帯内でも「夫が後期高齢者医療保険、妻が国民健康保険」など、
    加入保険が異なる場合は合算できないなどの条件があります。

まとめ

今回は、介護付き有料老人ホームの費用について解説しました。

  • 入居時費用の相場は「0~数百万円」、月額費用の相場は「15~35万円」。
  • 月額費用には、「居住費」や「管理費」、「食費」などのほかに、「介護サービス費」や
    「上乗せ介護費」も含まれる。「介護サービス費」は要介護度ごとに定められた毎月一定額で、
    介護保険が適用され1~3割の自己負担。
  • 支払い方式は、前払い家賃である入居時費用の払い方によって、「全額前払い方式」
    ・「一部前払い方式」・「月払い方式」がある。
  • 費用負担を軽減できる「高額介護サービス費制度」や「高額医療・高額介護合算制度」など
    がある。

    この記事が、みなさまの施設選びの参考になれば幸いです。
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