福祉用具専門相談員の資格の難易度を解説!仕事内容やかかる費用も紹介

2025.02.10

「福祉用具専門相談員」の難易度は高くなく、比較的取りやすい資格です。
高齢化が進む現代において、福祉用具の需要は高まっています。
そのため、福祉用具の選び方や使い方などに精通した専門家の存在は、ますます重要性を
増しています。

この記事では、福祉用具専門相談員の仕事内容や資格の取得方法、試験の難易度、
かかる費用などを詳しく解説します。
介護の仕事や福祉用具に興味のある方におすすめの内容です。

福祉用具専門相談員とは?

「福祉用具専門相談員」という職種について、初めてその名称を耳にした方も多いと思います。
簡単にいえば、「車いすなどの福祉用具について、相談に乗りサポートしてくれる専門家」です。
ここでは、福祉用具専門相談員について、その概要と仕事内容を紹介します。

 概要

「福祉用具専門相談員」とは、高齢者や障がい者が、車いすや介護ベッドなどの福祉用具を
利用するためにサポートをする専門職です。
利用者の自立支援や介護者の負担軽減を目的に、福祉用具を提案する役割があります。

福祉用具貸与・販売事業所や福祉用具メーカー、住宅改修事業所、介護施設などの職場で
活躍しています。
介護保険の指定を受けた福祉用具貸与・販売事業所では、「福祉用具専門相談員2人以上の配置」
が義務付けられています。

 仕事内容

福祉用具専門相談員の主な仕事内容は、以下の4つです。

  1. 相談・選定
    利用者の障がいや要介護の程度、住環境などを丁寧に聞き取り、一人ひとりに合った福祉用具を
    選定します。
  2. 計画作成
    ケアマネジャーが作成したケアプランと、利用者や家族との相談内容をもとに、
    使用目的などを記載した「福祉用具の利用計画(福祉用具サービス計画)」を作成します。
    この計画書に利用者が同意することで、福祉用具のレンタルが可能になります。
  3. 適合・取り扱い説明
    利用者の身体の状態や生活環境に合わせて、福祉用具の調整を行います。
    また、安全に使うための説明も必要です。
  4. モニタリング(訪問確認)
    利用者の自宅を定期的に訪問して、福祉用具の点検や調整、利用状況の確認などを行います。
    年2回の実施が義務付けられています。

福祉用具専門相談員として働くには?

福祉用具専門相談員として働くためには、2つの方法があります。
「特定の国家資格等の取得」または「福祉用具専門相談員指定講習の修了」のいずれかの方法です。
以下、それぞれの方法について詳しく解説していきます。

 必要な資格

以下の8種類の国家資格等を取得済みの方は、福祉用具専門相談員の要件を満たしています。
准看護師のみ都道府県知事が認定する公的資格ですが、他はすべて国家資格です。

これらの医療や介護に関する国家資格等を保有する人は、福祉用具に関する専門的な知識が
あるとみなされます。指定講習を受講しなくても、福祉用具専門相談員として働くことが可能です。


① 保健師
② 看護師
③ 准看護師
④ 理学療法士
⑤ 作業療法士
⑥ 社会福祉士
⑦ 介護福祉士
⑧ 義肢装具士

 指定の講習を受講する

「福祉用具専門相談員指定講習」は、都道府県知事の指定を受けた研修機関が開催しています。
指定講習の受講に要件はなく、経歴・学歴を問わず取得を目指せます。
「50時間の講義・演習」をすべて受講した後に、終了評価試験に合格すれば、
福祉用具専門相談員として働くことが可能です。
学習内容は、以下の通りです。福祉用具以外に、介護・医療の基礎知識や介護保険制度など
幅広く学びます。

  1. 福祉用具と福祉用具専門相談員の役割
  2.  介護保険制度等に関する基礎知識
  3. 高齢者と介護・医療に関する基礎知識
  4. 個別の福祉用具に関する知識・技術
  5. 福祉用具に係るサービスの仕組みと利用の支援に関する知識
  6.  福祉用具の利用の支援に関する総合演習

福祉用具専門相談員の試験内容は?

福祉用具専門相談員の試験は、講習のカリキュラムの範囲から出題されます。
具体的には、以下のとおりです。

・福祉用具の役割   ・福祉用具専門相談員の役割と職業倫理
・介護保険制度の考え方と仕組み   ・介護サービスにおける視点
・からだとこころの理解   ・リハビリテーション   
・高齢者の日常生活の理解   ・介護技術   ・住環境と住宅改修
・福祉用具の特徴   ・福祉用具の活用
・福祉用具の供給の仕組み   ・福祉用具貸与計画等の意義と活用
・福祉用具による支援の手順と福祉用具貸与計画等の作成

福祉用具専門相談員の資格の難易度は?

ここまでで、福祉用具専門相談員の仕事内容や資格の取得方法、試験の内容について解説
してきました。
それでは、福祉用具専門相談員の資格の難易度はどうなのでしょうか。
また、不合格になった場合はどうなるのでしょうか。

 難易度は高くはない

福祉用具専門相談員指定講習で、50時間のカリキュラムを受講した後に、1時間程度の
筆記試験(終了評価)が行われます。
この試験の実施目的は、講習で学んだ内容を理解しているかを確認することです。

すなわち、合否を決めるために一定数をふるい落とす目的の試験ではないため、
難易度は高くありません。しっかり講習を受けていれば、ほぼすべての人が合格できます。

しかし、まったく勉強せずに試験を受けると、不合格になってしまう可能性があります。
その日に受けた講習の内容を、家で復習して理解しておくことが大切です。

 不合格でも再試験可能

福祉用具専門相談員指定講習の試験の難易度は高くなく、ほぼすべての人が合格できます。
もし、試験に不合格になってしまっても心配することはありません。

なぜならば、不合格でも補講を受けてレポートを提出することで、資格が取得できる
スクールもあるからです。また、再試験を受けられるスクールも多いです。
講習を受ける前に、各スクールの特徴を調べ、不合格時の救済制度を確認しておくとよいでしょう。

他の資格と比べると短期間でほぼ確実に取得可能なため、介護職でどの資格を取得しようか
迷っている方にもおすすめです。

福祉用具専門相談員の資格取得にかかる費用相場は?

福祉用具専門相談員指定講習の受講料は、スクールによって異なりますが、
相場は「4~6万円程度」です。
なお、福祉用具専門相談員指定講習は、厚生労働省の「特定一般教育訓練給付制度」の対象です。

「在職中または離職から1年以内」かつ「雇用保険の加入期間が1年以上」などの条件を満たせば、
受講費用の40%(年間上限20万円)が支給されます。
さらに、2024年10月からこの制度が拡充されました。「資格を取得」かつ「受講終了後
1年以内に雇用」などの条件も満たせば、受講費用の10%(年間上限5万円)が追加で支給されます。

まとめ

今回は、福祉用具専門相談員の資格難易度などを解説しました。
・高齢者や障がい者が福祉用具を利用するためのサポートをする専門職。
・仕事内容は、「相談・選定」、「利用計画作成」、「適合・取扱説明」、「モニタリング」。
・取得方法は、「指定講習修了」または「特定の国家資格等取得」。
・講習の修了試験の難易度は高くない。不合格でも再試験可能。
・費用の相場は4~6万円程度。教育訓練給付制度の対象で最大50%還付。


高齢化社会の進展とともに、福祉用具を必要とする人は今後ますます増えていくと見込まれています。興味を持たれた方は、福祉用具専門相談員の資格取得を検討してみてはいかがでしょうか。

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