介護におけるオムツ交換のコツや手順・注意点を徹底解説！

おむつ交換の介護は、入浴介助や食事介助と並んで3大介護と呼ばれる、
介護の仕事の中でも必要不可欠で重要な介護の1つです。

介助の手順や方法だけでなく、信頼関係の構築やプライバシーの配慮も求められる介護です。
この記事では、そんなおむつ交換をする際のコツや手順、注意点まで詳しく解説していきます。

オムツ交換の事前準備

おむつ交換を介助する際に重要なのが事前の準備です。
おむつ交換をしている最中は、下半身をあらわにする時間ができるため、事前準備を
しっかりしておくことが重要です。

準備を怠り、何度も物品を取りに戻ったり、その間放置されるなどがあればプライバシーを
侵害されていると感じる方もいます。
しっかりと事前の準備に何が必要かを把握し、準備を整えたうえで介助に入りましょう。

　必要な物品を準備する

おむつ交換に必要な物品には以下のようなものがあります。

1. 使い捨て手袋
2. トイレットペーパー（または、お湯で濡らして絞った下用タオル）
3. 陰部洗浄用のぬるま湯が入ったボトル（必要であれば、拭き取り用の乾いた
   ペーパータオルなども）
4. 新聞紙、レジ袋（交換後のおむつやゴミなどをまとめるため）
5. 手洗い用の石鹸、消毒液
6. ペーパータオル
7. 新しい、おむつ・パッド
   ※おむつ交換に使う物品は利用者の顔元や近くには置かないように気をつけましょう。

　ニオイ対策を行い環境を整える

おむつ交換を行う際は、ニオイ対策にも気を配り環境を整えることが大切です。
特に介護施設や病院などでは、多床室に入居している場合もあるため、他の利用者への
配慮も忘れないようにしましょう。

ニオイが漏れると、本人も恥ずかしいと感じたり、申し訳ないという気持ちが強まる可能性が
あります。
可能であれば、他の利用者が居室にいない時間に行うなどの工夫も検討しましょう。
おむつ交換の際にできるニオイ対策には以下のようなものがあります。

1. 窓をあけて換気をしておく。
2. 空気清浄機を稼働させておく。
3. 置き型やスプレー型の消臭剤を使用する。

　体型に合ったオムツを選ぶ

おむつ交換を行う際、利用者の体型に合ったおむつを選ぶことが非常に重要です。
なぜなら、身体にフィットするおむつを使用することで、隙間やズレが少なくなり、漏れや
不快感をを防いでくれ皮膚トラブルを軽減できるためです。

おむつメーカーを調べると、サイズ表や正しいおむつのサイズ合わせの仕方などを紹介してくれて
いることも多いため参考にしましょう。
このようなサイズ表を参考にしたり、メーカーに相談し研修会を開くなどし個々のサイズに
合わせたおむつを選びましょう。

また、おむつの種類も近年豊富になっており「体格の大きい人のため伸縮性のあるおむつ」
「痩せ型の人にフィットしやすいおむつ」「群れを防ぐための湿気を通しやすいおむつ」
「尿量が多い方のための吸収量が多いおむつ」などがあります。

　排尿記録をつける

おむつ交換を行った際は、排尿や排便などの記録をつけるようにしましょう。
排泄記録用のチェック表を用意するなど、簡単に記入し後で確認しやすいものを準備しておくと
よいでしょう。

排尿の量はどのくらいか、濃い尿や血尿などの異常尿がなかったか、排便であれば量や色に加えて、
普通の便か軟便かなども記録すると健康チェックに役立ちます。

経過をたどることができるように記録を残すことで、排泄の頻度や量について知ることができ、
その人にとっての異常などを察しやすくなります。
些細なことであっても、異変や異常を感じた場合は、たとえ本人に自覚症状などがなくても、
医師や看護師に報告しましょう。

オムツ交換の手順

おむつ交換は、古いおむつを新しいおむつに交換できればいい。というものではありません。
おむつが正しくあたっていないことで、不快感が生じたり、おむつと肌がこすれ肌トラブルの
原因になる可能性もあります。

また、おむつの当て方が悪いと、排尿や排便の漏れに繋がり、羞恥心や自尊心を傷つけるだけでは
なく、多忙なスタッフの手間を増やしてしまう場合もあります。

正しい手順で介助をすることは、利用者にとってもスタッフにとっても助かるため、きちんと
正しいおむつ交換の手順を身につけましょう。

　オムツを外す

介護用のおむつはマジックテープ式のものがほとんどです。
おむつを外す時は、まずテープを外して利用者の体を横に向けます。自分でベッドの柵などを
もって動ける方は自分の力を使うよう勧めましょう。

この時、おむつの汚れた部分が広がらないように、ゆっくりと注意して行いましょう。
この時点でおむつを全て外すのではなく、ずらしたおむつの内側に汚れた部分を折りたたんで
いくようにするのがポイントです。
そうすることで、汚れた部分が利用者の体や衣類、シーツなどについて汚すことを防いでくれ、
後の手順が行いやすくなります。

　陰部を清浄・清拭

おむつをズラした後は、陰部の洗浄と清拭を行います。
排泄物がある場合は、トイレットペーパー・下用タオル・おしり拭きなどを利用して拭き取り
ましょう。

介護用のおしり拭きなどであれば、水分が含まれており使い捨てのため、肌を傷つけず、
衛生的に拭き取りができるます。
女性の場合は、尿道と肛門が近いため、前から後ろに向かって拭き取るようにし、感染症予防に
努めましょう。

排泄物を拭き取った後は、陰部洗浄ボトルなどを使用し陰部洗浄を行います。
この時の水は、ぬるま湯程度の温度にして、陰部を洗浄しましょう。
おむつを装着している内部は、とても蒸れやすく肌トラブルの原因となってしまう環境に
なっています。

おむつ交換の都度、陰部の洗浄を行い、清潔を保つことで汚れや細菌をしっかりと落とし
肌トラブルを予防しやすくなります。
陰部だけでなく、ソケイ部、シワや皮膚が重なったりしている部分は汚れがたまりやすいため、
キレイに洗い流すようにしましょう。

　新しいオムツに交換する

洗浄と清拭後は、タオルなどで水分を拭き取り乾かします。軟膏などを処方されている方は
このタイミングで塗るようにしましょう。
おむつは利用者の体格にあったサイズのものを選び、尿量に合わせた吸水力があるものを
使用しましょう。
新しいおむつへの交換手順は、以下のとおりです。

1. 利用者に膝を曲げてもらい、横向きになってもらう。
2. おむつのゴム分が、ウエストに位置にくるように高さを合わせて、背骨とおむつの中心が
   合うようにセットします。
   ※おむつにパッドも併用する場合は、パッドのポリマーがおしりの割れ目の位置に
   くるようにセットしましょう。
3. 腰の下におむつを丸めて差し込み、利用者に仰向けに戻ってもらいます。
4. 丸めたおむつを腰の下から引き出し、足を伸ばしてもらいます。
5. パッドで陰部を覆った後、ギャザーを立ててソケイ部に沿わせてお腹に密着するよう調整します。
6. おむつの中心を身体の中心に合わせて、左右のテープをとめます。
   ※テープが2本ある場合は、下のテープを上方向に、上のテープを下方向にとめ
   クロスするようにすると、ズレづらくなります。

　オムツと服を整える

新しいおむつに交換する際は、引っ張りすぎて締め付けがきつくならないよう注意しましょう。
おむつを装着した後は、身体にフィットしているかとズレがないかを確認し、整えましょう。

おむつ交換が終わった後は、下衣を履いてもらう、または介助で履きますがこの時も、
下衣がズレたり裾にたまっていないかなどを確認しましょう。
よく確認を忘れてしまうのが、履けているように見えて身体の後ろ側が履けておらず、
半分おしりが出ている腰パン状態になっているなどです。

寝たきりの方であれば、このような確認不足によるズレやシワが褥瘡（床ずれ）の発生リスクを
高めてしまうため、必ず確認するようにしましょう。

介護のオムツ交換での注意ポイント

介助でおむつ交換をする際は、交換すること以外にも配慮するべき点が多くあります。
おむつ交換の技術がいくら良くても、注意点をおろそかにしてしまうと利用者の信頼関係は築けず、
より良い介護が提供できているとはいえません。

より良い介護を提供できるためにも、ここからは介護でおむつ交換をする際の注意点について、
4つほど解説していきます。

　声掛けを行う

おむつ交換は、下半身を露出して行う介助のため、羞恥心や自尊心への配慮がかなり
重要になってきます。
介護する人が、黙ったまま険しい表情で黙々と介助をしていると、利用者も緊張と不安が
高まってしまいます。

介助の際は「今からおむつ交換しますね」や「身体を横に向けますね」など動作の都度、
言葉をかけ安心してもらえるように配慮しましょう。
また、「大丈夫ですか」や「痛くないですか」など気づかいの言葉も忘れずにかけることで、
気持ちが和らぎ信頼関係を築きながら介助を行うことができるでしょう。

　手際よく短時間で終わらせる

おむつ交換は、プライバシーの配慮と自尊心や羞恥心への配慮が必要な介助です。
そのため、介助にかかる時間はできるだけ短時間で済むようにすることも大切なポイントになります。
準備をしっかりとして、段取りや手順を手際よくこなしましょう。

この時、バタバタと急いでしたり、早くしないとと力任せの介助をしないように注意し、
ケガや事故が起きないようにしましょう。
急いでる雰囲気や音は利用者に伝わり、罪悪感や焦りを利用者に与えてしまいます。
「急いですることと手際よくの違い」をよく理解したうえで介助にかかる時間を
短縮していきましょう。

　プライバシーに配慮する

おむつ交換は、普通は見せない排泄姿や下半身をあらわになる時間です。
そのため、おむつ交換にはプライバシーに配慮して環境を整えることが求められています。

具体的には、静かで人目がない空間を確保するために、ドアを閉め忘れないようにしたり、
カーテンを利用して視界を遮るように配慮しましょう。
また、おむつ交換中に陰部を露出しないように、タオルなどの布をかけて隠すことも大切です。
おむつ交換は、このように排泄のケアだけではなく、心のケアにも関わってくることを
忘れないようにしましょう。

　介護者の皮膚の状態を確認する

おむつ交換は、肌を露出する介助です。
普段目につかない皮膚の状態を確認する機会は少ないため排泄介助の際などは、介助だけではなく
皮膚状態の観察も行いましょう。

皮膚が赤くなっていないか、乾燥していないか、腫れや熱感はないかなどを注意深く観察し、
異常があれば医師や看護師に指示を仰ぎ適切に処置をしましょう。
また、おむつ交換の際は、排尿や排便のについても確認しましょう。
尿や便などが「いつもより少なくないか・多くないか」「色がおかしくないか」
「柔らかい便や水のような便が出ていないか」などを確認しましょう。

身体の異変は排尿や排便に現れやすいです。
とくに体内の異変は外からは見えないため、排出される排尿や排便から異常を察知し、
普段と違う排尿や排便が出ている場合や続く場合は、医師や看護師に報告するようにしましょう。

まとめ

この記事では、おむつ交換の手順とポイント、注意点について解説をしました。
おむつ交換（排泄介助）は入浴や食事介助と並ぶ、3大介護の1つであり重要な介護です。

正しい手順と利用者への配慮が必要であり、それらをしっかりと知ることで利用者と
介助者どちらもの負担を軽減でき、
皮膚トラブルや感染症を防ぐことにも繋がります。
この記事で紹介した、おむつ交換の手順や注意点をしっかりと見に付け、おむつ交換のみならず
利用者の心のケアも上手くできるようになりましょう。