人生の最終段階を、自分らしく、そして穏やかに過ごしたいと願う方は多いでしょう。
その最終段階の選択の一つとして、「ホスピス」があるということを知っている方は
多いかもしれません。
しかし、具体的に入院するための条件や費用相場、受けられるケア内容までは、
分からないのではないでしょうか。
そこで、今回はホスピスについて、詳しく紹介していきたいと思います。
ホスピスとは
「ホスピス」と聞いて、最終段階で入る施設ということを知っている方は多いかもしれません。
しかし、その内容まではわからないという方がほとんどではないでしょうか?
そこでここからは、ホスピスで行われるケアであるホスピスケアと、イメージ的に混同しそうな
ターミナルケアの違いについて説明していきたいと思います。
ホスピスケアとターミナルケアの違い
ホスピスケアとターミナルケアは、どちらも終末期の医療におけるケアではありますが、
行う目的等が異なっているのです。その違いは以下の通りです。
- ホスピスケア
目的:終末期の患者さんとその家族が、残された時間をより穏やかに充実して過ごせるように、
生活の質(QOL)の向上を目指す
内容:末期がんや進行性の病気により治療による回復が見込めない患者さんに対して、
身体的苦痛の緩和、精神的なサポート、社会的な支援などにより患者さんと家族をサポートする。
- ターミナルケア
目的:ターミナル期に入った患者さんに対して、痛みや呼吸困難などの症状の緩和、
精神的ケア、死の準備など、より終末期に焦点を当てたケアを行う。
簡単に言うならば、ホスピスは広い範囲で生活の質を向上することを目的としたケアであり、
ターミナルケアはより終末期に焦点を当てたケアとなります。
密接に関係しているため、時には明確に区分されないこともあるようです。
ホスピスの主な入院条件を紹介
ホスピスは、人生の最終段階になった患者さんとその家族をサポートする施設です。
ここまでの話で、検討する際に選択肢に入れてみようかなと思う方もいるのではないでしょうか?
ここで押さえておかなければならないのが、入院条件です。
ホスピスに入院するためには、いくつかの条件を満たす必要があります。
ここからは入院の条件について、説明していきたいと思います。
介護施設(ホスピス型住宅)の入院条件
介護施設のホスピス型住宅は、終末期医療を提供する施設です。
ここでは、一般的なホスピス型住宅の入所条件は次の通りです。
- 年齢:原則65歳以上
- 要介護度:要介護度3以上
- 病状:末期の悪性腫瘍や、厚生労働省が特定疾患に罹患している
- 余命:医師から余命6ヶ月程度と診断されている
- 身体状況:身体的・精神的苦痛を抱えている
- 治療状況:入院・介護医療院・病院等において治療を受けていたが、
症状の改善が見込めない
- その他:介護保険の被保険者、身元保証人が必要
上記で説明したのは、一般的な例であり、施設によって条件が異なる場合があります。
気になるホスピス型住宅があれば、上記した条件を参考に問い合わせてしておくとよいでしょう。
緩和ケア病棟(病院)の入院条件
緩和ケア病棟(病院)は、がんなどの病気により、症状の緩和が必要な患者さんを対象とした
入院施設です。一般的な緩和病棟の入院条件は、次の通りです。
- がん疾患(悪性腫瘍)と診断されている
- 病状が進行し、積極的な治療が困難である
- 入院治療が必要である
- 身体的・精神的な苦痛を抱えている
- 本人または家族が緩和ケアを希望している
一般的な入院条件としては、上記の者が挙げられます。
病院等によって、異なる場合があるため、確認が必要です。
病棟によってはがん以外の疾患も対象になることもありますので、病院の相談窓口に
問合せをして、状況にあった病院を選ぶことが重要です。
ホスピスで受けられるケア内容は?
ホスピスでは、身体的な苦痛をやわらげるだけでなく、患者さんの精神面や生活、
その家族まで含めたケアを行っています。
ここからは、その具体的ケア内容についてご紹介していきたいと思います。
ホスピスを検討する際の参考にしてみてください。
身体的ケア
身体的ケアは、患者さんの身体的な苦痛を和らげ、快適な生活を送れるようにサポートすることを
目的としています。具体的なケア内容としては次のようなものです。
- 疼痛管理
痛み止めや医療用麻薬などを適切に使用し、痛みを緩和する
- 症状緩和
吐き気、王都、便秘、下痢、呼吸困難などの症状の緩和する
- 日常生活の援助
食事、入浴、着替え、排せつなど、日常生活に必要な動作の支援をする
- その他
褥瘡の予防、口腔ケア、感染予防など
医師や看護師、リハビリテーションのプロ、管理栄養士など、様々な専門職がチームで、
患者さんのサポートを行います。
精神的ケア
精神ケアは、患者さんの精神的な苦痛を和らげ、穏やかな気持ちで過ごせるようにサポートする
ことを目的としています。具体的なケア内容は、次のようなものです。
- カウンセリング
患者さんの悩みや不安、希望などを聞き取り、心理療法などの専門的な技法を用いて
精神的安定をサポートする
- 精神的なサポート
患者さんの孤独感や不安感を軽減するため、寄り添い、語りかけ、傾聴することで、
精神的平安が得られるようにサポートする
- 家族への支援
家族の悩みや不安を聞き取り、情報提供や相談援助、さらに死後のケアも行う
上記の他にも、音楽療法などの様々な両方を用いたり、医師や心理士などの様々な
職種が関わり、チームで精神的ケアを提供します。
社会的ケア
社会的ケアは、患者さんが社会的に孤立しないように、自分らしさを残しながらサポート
していくことを目的にしています。具体的な内容は次のようなものです。
- 家族・友人との交流
患者さんが家族だけでなく、友人と面会や電話、手紙などを通して交流する機会を設けて、
孤独感を軽減する
- 退院後の生活相談
退院となった場合、患者さんと家族と相談し、必要な情報の提供を行う
- 経済的サポート
医療費や介護費用の負担制度や、生活保護などの経済的支援制度の紹介をする
- 地域社会との連携
地域の医療機関や介護施設、ボランティア団体と連携することで、社会とのつながりを
維持できるようにサポートする
上記のもの以外にも、イベント参加や趣味の継続など、患者さんが自分らしく
生きられるように、主体的な支援をサポートするのも社会的ケアです。
ホスピスに入院する適切なタイミングは?
ホスピスへの入院を県とするタイミングは、患者さんの病状や希望、ご家族の状態などによって
異なります。一般的なタイミングとしては、次のようなものです。
- 積極的な治療が困難になった時
- 症状コントロールが難しくなった時
- 自宅での療養が困難になった時
以上のタイミングが挙げられます。しかし、大切なのは患者さんの意志であるため、
患者さんの意思を尊重したうえで、適切なタイミングを検討することが重要です。
早めにホスピスに相談しておくことで、より多くの選択肢を得られる場合もあるため、
それを参考に適切なタイミングを検討するのも良いでしょう。
ホスピスケアにかかる費用相場は?
ホスピスケアにかかる費用は、施設の種類やサービス内容によって異なります。
費用の種類は、次のようなものです。
- 医療費・・・診察代や薬代などの医療行為にかかる費用
- 介護費・・・食事や入浴などの介護サービスにかかる費用
- 居住費・・・部屋代や施設利用などのかかる費用
- その他・・・理容代などの他、個人ニーズに応じた費用
費用の相場は、施設に応じておよそ次の通りです。
- 介護施設のホスピス型住宅:月額15万円~50万円程度
病院の緩和ケア病棟:1日当たり数千円~数万円程度
上記のようになっています。医療保険は適用されますが、介護保険は適用しない場合が
あるため、事前に確認しておくとよいでしょう。
まとめ
今回この記事では、ホスピスの入院条件や費用相場・受けられるケアについて解説してきました。
ホスピスは、終末期を迎えた患者さんとその家族が、残された時間をより穏やかに、
その人らしく過ごせるようにサポートする施設です。
この記事を参考にホスピスがどんなものかが理解できたかと思います。
患者さんやその家族にとって、よりよい選択ができる参考となれば幸いです。