寝たきり度とは?覚え方や判定基準・判定する際の注意点も解説

2025.03.03

高齢化が進む日本において、寝たきりになる方は少なくありません。
そんな状況に対応するために、寝たきり度合を測る指標として寝たきり度というものがあります。

この指標は、介護保険サービス利用や介護計画を作るうえで、重要な役割を果たします。
今回は、この寝たきり度に関して、判定基準や評価のポイント、注意点などを
詳しくご紹介していきたいと思います。

寝たきり度(障害高齢者の日常生活自立度)とは

寝たきり度とは、正式には「障害高齢者の日常生活自立度」といい、高齢者の日常生活における
自立度を評価する重要な指標です。寝たきり度を評価することで、介護が必要な高齢者に対して、
適切な介護サービスを提供できるほか、介護計画を立てる際にも非常に重要な指標となるのです。

寝たきり度は、食事、着替え、入浴、排泄などの日常生活動作や、身の回りの世話の状況を
観察を観察して評価され、4つのランクに分かれていくのですが、その詳細は次の章にて説明します。

寝たきり度の判定基準

前章にて、寝たきり度の説明を行いました。寝たきり度は、日常生活動作や、身の回りの
世話の状況を観察に分けられるランクは、4つです。

ここからは、その4つのランクについて、自立度の高い方から説明していきますので、
ぜひ参考にしてください。

 生活自立(ランクJ)

生活自立(ランクJ)は、寝たきり度における4つのランクの中で、最も自立度が高い状態を指します。
このランクに該当する高齢者は、身体に何らかの障害があるものの、日常生活は
ほぼ自立している状態です。このランクの中でも、さらに2つに分けられます。
その内容は次のとおりです。

  • J1:
    ほぼ自立した生活が可能
    交通機関を利用して外出が可能
    社会参加も積極的である
  • J2:
    J1よりもやや介助は必要であるが、ほぼ自立している
    近所への買い物や散歩などの短時間の外出が可能

 準寝たきり(ランクA)

準寝たきり(ランクA)は、寝たきり度におけるランクJの次に自立度が高い状態を指します。
このランクに該当する高齢者は、屋内の生活はほぼ自立しているものの、外出は
介助なしには難しい状態です。ランクAにも2つの区分があり、その内容は次の通りです。

  • A1:
    屋内での生活はほぼ自立している
    介助があれば外出可能
    日中はベッドから離れて趣味や家事などの生活が可能
  • A2:
    屋内での生活に一部介助が必要な場面がある
    外出には付き添いが必要
    日中もベッドで過ごすことが多い

 寝たきり(ランクB)

寝たきり度(ランクB)は、日常生活を送るうえで何らかの介助が必要となり、日中も
ベッド上での生活が中心となる状態を指します。
このランクに該当する高齢者は、食事や着替え、排せつなどの日常生活動作に介助が必要で、
日中はベッド中心の生活です。
移動は椅子に移乗したり、短い距離であれば移動は可能であったりします。
このランクでも2つの区分があり、その内容は次の通りです。

  • B1:
    車椅子への移乗や食事、排せつなど、一部の動作を自分で行うことが可能
    介護者のサポートがあれば、日中の活動範囲を広げることが可能
  • B2:
    日常生活動作のほとんどに介助が必要
    日中はベッド上で過ごす時間が長い
    車椅子の移乗も介助が必要

 寝たきり(ランクC)

寝たきり(ランクC)は、日常生活を送るうえで全面的に介護が必要で、1日中ベッドで過ごす状態
指します。このランクは、食事、着替え、入浴、排せつなどの全ての日常生活において全面的な
介助が必要で、寝返りや起き上がりも自力では困難な状態です。
このランクでも2つの区分があり、その内容は次の通りです。

  • C1:
    わずかに体を自力で動かすことが可能
    声かけや指示に反応すできる
  • C2:
    ほぼ体を動かすことができない
    声かけに反応が乏しい

寝たきり度の覚え方は?

前章で紹介したように、寝たきり度はJ、A、B、Cの4つがあります。
この4つのは簡単にまとめると、次のようなわけかが可能です。

  • ランクJ: 自立
  • ランクA: 準寝たきり
  • ランクB: 寝たきり
  • ランクC: 寝たきり

    ここからさらに4つのランクそれぞれが2つに区分されます。
    1より2の方が重度という形になっています。それぞれのランクごとの区分は、下記の通りです。

  • ランクJ
      J1:公共交通機関利用可能
      J2:近隣のみの外出
  • ランクA
      A1:介助があれば積極的に外出する
      A2:介助があっても必要最低限しか外出しない
  • ランクB
      B1:移乗自立
      B2:移乗介助
  • ランクC
      C1:寝返り可能
      C2:寝返り不可
    それぞれの特徴を押さえて覚えていきましょう。

寝たきり度を評価する際のポイントは?

寝たきり度を評価するポイントには、次のようなものがあります。

  1. 観察と情報収集
      直に生活を観察するほか、関わっている医療や介護関係者から情報収集する
  2. 評価の視点
      主に身体機能・認知機能・意欲・環境の視点で評価する
  3. 総合的な判断
      観察や情報収集、評価の視点の他、様々な情報とともに総合的に判断する
  4. 継続的な評価
      状態が変化することもあるため、定期的に行う
  5. 専門家との連携
      専門知識が必要な際には、それぞれの専門家と連携し評価する
  6.  倫理的配慮
      プライバシーや尊厳を尊重し、本人やその家族に丁寧に説明し、同意を得る
    以上の点を参考に評価するとよいでしょう。

寝たきり度を判定する際の2つの注意点

寝たきり度は、高齢者の介護度を測る際に重要な指標の一つですが、その判定には注意が必要です。
ここで判定を間違えてしまうと、適切な介護を受けられず困ってしまう可能性があるからです。
そこでここからは、2つの注意点について説明していきたいと思います。

 健常高齢者は対象外となる

寝たきり度は、障害をもつ高齢者、つまり日常生活に難がある高齢者を対象とした指標です。
健康な高齢者は、寝たきり度の評価対象とはなりません。
ここでの健常高齢者とは主に次の三つを満たす高齢者です。

  • 屋内外を自由に自力で移動できる
  • 食事、着替え、入浴、排せつなど、日常生活動作を自力で行える
  • 認知機能に問題なく、意志疎通もスムーズに行える

    この条件を満たす場合は、年齢を問わず寝たきり度を評価する必要はありません。

 一定期間を経て総合して判断することがある

寝たきり度の判定は、一度の評価で終わるものではありません。
高齢者は、時間とともに変化することも少なくないため、定期的に評価を行い、複数回の
結果をもって総合的に判断することが望ましいです。

怪我や病気により急に悪くなったり、リハビリテーションなどにより急激によくなったりすることも
あります。そのため、複数回行うことで、より正確な評価を出すことにつながります。
ひいては適切な介護を受けることにつながり、対象者がより適切な介護を受けられることに
つながるのです。

まとめ

寝たきり度は、高齢者の日常生活における自立度を評価するのに、非常に重要な指標です。
適切な介護サービスを提供するためには、この寝たきり度を正しく理解し、評価する必要があります。今回この記事では、評価のポイントや注意点について、解説してきました。

この記事をもとに、困っている高齢者に対して適切なサービスを提供するのに役立てて
もらえればと思います。

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