グループホームの看護師の役割や仕事内容を解説！人員基準も紹介

近年、高齢者や認知症の方が安心して暮らせる環境として、「グループホーム」が注目されています。グループホームは、少人数の利用者が共同生活を送りながら、必要な介護や支援を受けることが
できる施設です。
家庭的な雰囲気の中で、自分らしい生活を続けられる点が特徴であり、多くの方にとって魅力的な
選択肢となっています。

しかし、グループホームにはどのようなスタッフが必要なのか、医師や看護師の配置は
義務付けられているのか、といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

本記事では、グループホームの概要や必要な人員基準、看護師の役割について詳しく解説
していきます。
看護師がどのような業務を行うのかについても具体的に紹介しますので、グループホームに
関心のある方や、看護師として働きたい方の参考になれば幸いです。

グループホームとは

グループホームとは、認知症の方や障がいのある方が、少人数で共同生活を送りながら、
介護や支援を受けることができる施設です。
入居者は家庭的な環境の中でスタッフのサポートを受けながら、可能な限り自立した生活を
送ることを目的としています。

特に認知症対応型グループホームは、認知症の方が落ち着いて生活できるように設計されており、
専門の介護スタッフが24時間体制で見守りを行います。
一般的な介護施設とは異なり、入居者一人ひとりの生活リズムを尊重しながら支援する点が特徴です。

また、グループホームは医療機関とは異なり、基本的に医師や看護師の常駐は義務付け
られていません。しかし、入居者の健康管理は重要な課題であり、看護師が施設で果たす役割も
大きなものとなっています。
次の章では、グループホームに必要な人員基準について詳しく見ていきます。

グループホームに必要な人員基準

グループホームの運営には、一定の人員基準が設けられています。
認知症対応型グループホームの場合、厚生労働省の基準に基づき、以下のようなスタッフの配置が
必要とされています。

• 1ユニット（5〜9人の入居者）につき、介護スタッフを最低2.5人以上配置する必要があります。
• 施設全体を管理する「管理者」、入居者のケアプランを作成する「計画作成担当者（ケアマネージャー）」の配置も義務付けられています。
• 介護スタッフは24時間体制で対応し、入居者の生活全般をサポートします。
  
  一方で、医師や看護師の配置は義務付けられていません。
  そのため、日常の健康管理は介護スタッフが行い、医療行為が必要な場合は外部の医療機関と
  連携して対応するのが一般的です。
  次の章では、医師や看護師の配置について詳しく解説します。

医師や看護師の配置の義務付けはない

グループホームは介護を提供する施設であり、医療機関ではないため、医師や看護師の常駐は
義務付けられていません。そのため、入居者の健康管理や緊急時の対応は、地域の医療機関と
連携して行うことが一般的です。

例えば、定期的な健康診断や訪問診療を通じて、医師が入居者の健康状態をチェックする
ケースがあります。また、看護師が非常勤で勤務し、服薬管理や健康相談などを担当する
施設もあります。医療行為が必要な場合は、訪問看護ステーションを利用して対応することも
可能です。

このように、グループホームでは医療機関と連携しながら健康管理を行っていますが、
看護師が果たす役割も重要です。
次の章では、グループホームにおける看護師の役割について詳しく見ていきましょう。

グループホームにおける看護師の役割

グループホームにおける看護師の役割は、入居者の健康管理や介護スタッフのサポートが中心です。
医療機関ではないため、高度な医療行為を行うことはありませんが、日常の体調管理や
服薬指導などを通じて、入居者が健康的な生活を送れるよう支援します。

また、入居者の体調が急変した際には、速やかに医療機関と連携し、適切な対応を取ることも
看護師の重要な役割の一つです。
さらに、介護スタッフに対して、基本的な医療知識や緊急時の対応方法を指導することも
求められます。

グループホームの看護師が行う仕事内容

グループホームでは、介護スタッフが主に入居者の日常生活を支えていますが、健康維持や
医療面でのサポートが必要な場面も少なくありません。そのため、看護師は入居者の健康を見守り、
必要に応じて医療的な対応を行う役割を担います。

特に、認知症の方は体調の変化に気づきにくく、自分で不調を訴えることが難しい場合があります。
そのため、看護師は日々の健康状態を観察し、異変があれば早期に対応することが求められます。

また、医師や介護スタッフと連携しながら、適切な医療ケアを提供することも重要な役割の
ひとつです。
さらに、入居者だけでなく、家族の方々に対しても健康状態や医療ケアに関する説明を行い、
安心して生活を続けられるようサポートします。

このように、グループホームの看護師は、単に医療行為を行うだけではなく、入居者が安全かつ
快適に暮らせるように多方面から支援を行う存在なのです。

　日常生活のサポート

グループホームでは、入居者ができる限り自立した生活を送れるように支援することが基本方針です。そのため、看護師も介護スタッフと協力しながら、日常生活のサポートを行います。
例えば、食事や入浴、排泄などの場面では、体調を確認しながら適切なサポートを提供します。

特に、食事の際には、誤嚥（ごえん）を防ぐために嚥下状態を確認したり、栄養バランスに
配慮したアドバイスを行うこともあります。
また、入浴時には皮膚の状態を観察し、床ずれや皮膚感染症の兆候がないかをチェックする
ことも大切です。

さらに、認知症の方は体調の変化を自分で伝えることが難しいため、日常のふとした仕草や
行動から異変を察知することも看護師の重要な役割です。
例えば、「食事の量が急に減った」「表情が曇っていることが増えた」といった変化に気づき、
必要に応じて医療機関の受診を促すこともあります。

　医療行為

グループホームは医療機関ではないため、病院や介護老人保健施設のように高度な医療行為を
行うことはありません。
しかし、日常生活の中で必要な医療的ケアを提供することは求められます。

具体的には、傷の処置や褥瘡（じょくそう）の予防・ケア、インスリン注射の補助、
胃ろうやストーマ（人工肛門）の管理などが挙げられます。

また、入居者の健康状態を定期的に観察し、異常があれば速やかに主治医に報告し、
適切な対応を取ることも大切な役割です。

また、感染症の予防も看護師の重要な仕事のひとつです。
特に、高齢者は免疫力が低下しているため、インフルエンザや肺炎などの感染症にかかるリスクが
高くなります。そのため、日常的な手洗いや消毒の指導を行い、必要に応じてワクチン接種の
サポートを行うことも求められます。

　健康管理や服薬管理など

グループホームでは、入居者の健康を維持するために、看護師が日常的な健康管理を行います。
これは、単に体調の変化を観察するだけではなく、入居者が快適に生活できるように総合的な
ケアを提供することを意味します。

特に重要なのが、服薬管理です。
高齢者の中には複数の薬を服用している方も多く、薬の飲み忘れや飲み間違いが発生
しやすくなります。そのため、看護師は処方された薬が適切に服用されているかを確認し、
副作用の有無にも注意を払います。

また、定期的なバイタルチェック（血圧・脈拍・体温など）を行い、異常があれば早めに
医師と連携を取ることも大切です。さらに、家族への健康状態の報告やアドバイスも看護師の
重要な業務のひとつとなります。

グループホームで働く看護師の給与相場

グループホームで働く看護師の給与相場は、勤務する地域や施設の規模、雇用形態によって
異なります。一般的に、病院勤務の看護師と比較すると給与はやや低めになる傾向がありますが、
その分、夜勤が少ないことや業務負担が軽減されるといったメリットもあります。

• 正社員として働く場合、月給はおおよそ25万円～35万円程度が相場とされており、
  賞与や各種手当が加算されることもあります。
• パートやアルバイトの時給は1,500円～2,000円程度が一般的ですが、施設によっては2,500円以上の
  高時給が設定されているところもあります。
  
  
  また、経験年数や資格によって給与に差が出ることがあり、特に介護系の資格を持っている
  看護師は、給与が優遇されるケースもあります。
  グループホームの看護師は、病院のような高度な医療処置を行う機会は少ないため、
  夜勤手当がつかないことが多いです。
  そのため、病院勤務に比べると年収は低くなりがちですが、日勤のみで働けるため、
  プライベートとの両立がしやすいという点も大きな魅力です。

グループホームで看護師として働くメリット・デメリット

グループホームでの看護師の仕事は、病院勤務とは異なる特徴があります。
利用者の健康管理が主な業務となるため、医療行為を求められる機会は少なく、ゆったりとした
環境で働けることが魅力の一つです。
しかし、一方で医療処置が限られるため、スキルの維持が難しいという課題もあります。
ここでは、グループホームで働くメリットとデメリットについて詳しく見ていきましょう。

　メリット

グループホームで看護師として働くメリットの一つは、利用者との距離が近く、寄り添った看護が
できることです。病院では患者の入れ替わりが激しく、一人ひとりと長く関わる機会が少ないですが、グループホームでは同じ利用者と長期間関係を築くことができます。
そのため、利用者の小さな変化にも気づきやすく、よりきめ細やかなケアが可能です。

また、夜勤がほとんどない点も大きなメリットです。
グループホームの看護師は基本的に日勤のみの勤務が多いため、生活リズムが安定しやすく、
家庭やプライベートの時間を確保しやすくなります。
特に、子育て中の方やワークライフバランスを重視したい方にとっては、働きやすい環境
といえるでしょう。

さらに、業務内容が比較的落ち着いていることも利点の一つです。
病院勤務では急患対応や手術の補助など、緊張感のある業務が多くなりますが、グループホームでは
利用者の体調管理や服薬管理、軽度な医療処置が中心となります。
そのため、精神的な負担が少なく、穏やかに働きたい方に向いています。

　デメリット

一方で、グループホームでの勤務にはいくつかのデメリットもあります。

まず、給与面では病院勤務と比較するとやや低めであることが多い点が挙げられます。
特に夜勤手当がつかないことから、総収入が減る可能性があるため、収入を重視する方にとっては
デメリットとなるかもしれません。

また、医療行為の機会が少ないため、看護師としてのスキル維持が難しくなることも課題です。
グループホームでは点滴や注射などの処置を行うことがほとんどなく、主に健康管理や服薬管理が
中心となるため、高度な医療スキルを磨く機会が限られます。
将来的に病院勤務に戻ることを考えている場合は、スキルの低下に注意が必要です。

さらに、医療スタッフの配置が少ないため、緊急時の対応に不安を感じることもあります。
グループホームでは医師が常駐していないことが多いため、利用者の体調が急変した際には、
看護師が判断を求められる場面もあります。
救急対応の経験が少ない方にとっては、負担を感じることがあるかもしれません。

まとめ

“グループホームにおける看護師は、入居者の健康を守る重要な役割を担っています。
日常生活のサポートをしながら、必要に応じて医療的なケアを提供し、健康管理や服薬管理を
行うことで、入居者が安心して生活できる環境を整えます。

特に、認知症の方は体調の変化を自分で伝えることが難しいため、看護師が日々の観察を通じて
早期に異変を察知することが求められます。医師や介護スタッフ、家族と連携しながら適切な
ケアを提供することで、入居者が安全で快適な生活を送れるよう支援することが、
グループホームの看護師の大切な役割なのです。