介護福祉士は、高齢者や障がい者の方々を支援する専門職であり、介護業界において重要な
役割を担っています。資格を取得することで、より専門的な知識や技術を活かし、
利用者の生活を支えることができます
また、資格を持つことで就職やキャリアアップの幅が広がるため、介護職を目指す方や現在介護職に
従事している方にとって、取得するメリットは大きいといえます。
本記事では、介護福祉士の概要や資格取得の方法、国家試験の内容について詳しく解説します。
さらに、介護福祉士として活躍できる主な職場についても紹介しますので、資格取得を
検討されている方は、ぜひ参考にしてください。
目次
介護福祉士とは、介護の専門知識と技術を持ち、利用者が安心して生活できるよう支援する国家資格
です。高齢者や障がい者の日常生活をサポートすることを主な業務とし、食事・入浴・排せつの
介助だけでなく、利用者の心のケアや自立支援にも関わります。
この資格を持つことで、介護職としてのスキルが証明され、より専門的な業務を担当できるように
なります。また、資格手当がつくことで給与アップが期待できるほか、施設内でのキャリアアップや
管理職への道も開かれます。
介護業界では人材不足が深刻化しているため、介護福祉士の需要は今後も高まると考えられます。
介護福祉士は、介護の現場で働くだけでなく、ケアマネジャーや福祉関連の教育・指導者として
活躍することも可能です。
そのため、長期的なキャリアを考える上でも、取得しておくことが望ましい資格といえるでしょう。
介護福祉士の資格を取得するには、主に4つのルートがあります。
どのルートを選ぶかは、現在の状況やキャリアプランによって異なります。
例えば、すでに介護の仕事をしている方であれば「実務経験ルート」、専門的な教育を
受けたい方であれば「養成施設ルート」など、自分に合った方法を選択することが大切です。
以下では、それぞれのルートについて詳しく解説していきます。
実務経験ルートは、すでに介護業界で働いている方が最も一般的に選ぶ方法です。
このルートでは、一定期間の実務経験を積んだ上で、介護福祉士国家試験を受験することになります。
具体的には、介護施設や訪問介護事業所などで3年以上(1,095日以上)の実務経験を積み、
さらに450時間の「実務者研修」を修了することが条件となります。
実務者研修では、より専門的な介護技術や医療的ケアについて学ぶことができ、試験対策としても
有益です。実務経験ルートのメリットは、すでに働きながら資格取得を目指せることです。
収入を得ながら勉強できるため、経済的な負担が少ない点が魅力です。
しかし、3年間の勤務が必要なため、すぐに資格を取得したい方には向かないかもしれません。
養成施設ルートは、介護福祉士の養成課程を設置している学校や専門学校に通い、卒業と同時に
資格を取得できる方法です。このルートの特徴は、国家試験の受験が不要である点です。
養成施設には、2年制の専門学校や短大、4年制の大学などがあり、在学中に介護の知識や技術を
しっかり学ぶことができます。
特に、介護の基礎から応用まで体系的に学べるため、未経験の方や介護についてじっくり勉強したい
方に適しています。ただし、学費がかかることや、卒業までに2年~4年の時間が必要であることが
デメリットになります。
そのため、学業に専念できる環境が整っている方に向いているルートといえます。
福祉系高等学校ルートは、福祉に関する専門教育を受けられる高等学校に通い、卒業と同時に
介護福祉士の資格を取得できるルートです。こちらも養成施設ルートと同様に、国家試験の受験は
不要となっています。このルートの最大のメリットは、高校卒業時点で資格を取得できることです。
早い段階から介護業界に飛び込み、若いうちにキャリアをスタートさせられる点が魅力です。
また、授業内で実習が多く取り入れられているため、実践的なスキルを身につけやすい環境が
整っています。一方で、一般的な高校と異なり、進学や他業種への転職がしづらいという
デメリットもあります。
高校卒業後の進路として介護福祉士を目指したい場合に適したルートです。
EPA(Economic Partnership Agreement)ルートは、日本と特定の国(インドネシア・フィリピン
・ベトナム)との経済連携協定に基づき、外国人介護福祉士候補者が日本で働きながら資格を
取得できる制度です。このルートでは、日本の介護施設で一定期間働きながら介護技術や
日本語を学び、介護福祉士国家試験に合格することで資格を取得できます。
合格後は正式な介護福祉士として日本で働くことが可能になります。
EPAルートは、外国人の方が日本で介護のキャリアを築くための貴重な制度ですが、日本語の
ハードルが高いことや、滞在期間に制限がある点などの課題もあります。
介護福祉士国家試験は、介護に関する知識と技術を問う試験であり、合格することで
介護福祉士としての資格を取得できます。試験は年に1回実施され、筆記試験が主な試験内容と
なっています。2024年度からは実技試験が廃止され、試験制度も変更されました。
本章では、介護福祉士国家試験の概要や出題形式、筆記試験の詳細について解説し、2024年度からの
変更点についても紹介します。
介護福祉士国家試験は、厚生労働省が認定する国家資格試験であり、介護の専門知識や技術を問う
試験です。試験は毎年1月に実施され、受験資格には一定の実務経験や養成施設での学習が
必要となります。受験資格は主に以下の3つのルートに分かれています。
介護福祉士国家試験の筆記試験は、マークシート方式で行われます。
出題形式は主に「五肢択一式」となっており、幅広い知識が問われます。
試験時間は午前と午後に分かれ、合計220分間となります。試験は13科目群から出題され、
総問題数は125問です。
科目群ごとに出題範囲が異なり、「介護の基本」「コミュニケーション技術」「生活支援技術」など、実際の現場で必要な知識が問われます。また、試験の合格基準は、総得点の60%程度を正答し、
各科目群ごとに一定の基準を満たすことが求められます。
毎年、合格ラインは変動するため、余裕を持って学習を進めることが大切です。
介護福祉士国家試験は、介護の専門知識や技術を問う試験であり、筆記試験を中心に実施されます。
これまでは実技試験も行われていましたが、2024年度からは廃止され、筆記試験のみとなりました。
試験に合格することで、介護福祉士としての資格を取得でき、介護現場での専門性を活かした
仕事に従事することが可能になります。
試験の難易度は決して低くはなく、受験者には幅広い知識と実務経験が求められます。
試験の出題範囲は、介護の基本的な知識から法律、福祉制度、高齢者や障がい者の生活支援など、
多岐にわたります。特に近年では、認知症ケアや医療的ケアの分野にも重点が置かれており、
最新の福祉政策に基づいた問題が出題される傾向にあります。
2024年度から介護福祉士国家試験の実技試験が廃止されることになりました。
これまでは、筆記試験に合格した者のうち、一定の条件を満たさなかった場合に実技試験を受ける
必要がありましたが、今後は筆記試験のみで資格取得が可能となります。
実技試験は、実際の介護現場を想定した試験で、利用者の体位変換や食事介助、移動支援などの
技術を評価するものでした。しかし、近年の試験制度の見直しにより、筆記試験の内容を
充実させることで、実技試験を廃止する方針となりました。
この変更により、受験生の負担が軽減される一方で、実践的な技術を学ぶ機会が減るという
懸念もあります。そのため、介護の現場では、資格取得後も継続的に技術研修を受けることが
推奨されています。
介護福祉士の資格を取得すると、さまざまな職場で働くことができます。
主な職場としては、以下のような施設が挙げられます。
介護福祉士国家試験は、介護の専門知識を問う筆記試験が中心で、2024年度からは実技試験が
廃止されることになりました。試験範囲は幅広いため、計画的に学習を進めることが重要です。
資格を取得すると、特別養護老人ホームや訪問介護、デイサービスなど、さまざまな職場で
活躍することができます。
働く場所によって業務内容や働き方が異なるため、自分に合った環境を選ぶことが大切です。
介護福祉士の資格を取得することで、より専門的な知識と技術を活かしながら、介護現場での
キャリアを築くことができます。
試験に向けてしっかりと準備をし、資格取得後の働き方についても考えてみましょう。