地域包括支援センターの看護師の役割は?業務内容も詳しく解説

2025.03.11

地域包括支援センターは、高齢者が健康で安心して暮らせるようにサポートする役割をになった
施設です。各市区町村に設置されており、総合相談窓口になっています。

この記事では、地域包括支援センターでの看護師の役割や業務内容等を解説しています。
看護師の役割は、高齢者やその家族の生活を支えるだけでなく、その他の幅広い業務も
になっています。
関心を持たれた方は、最後まで読んでいただければと思います。

地域包括支援センターとは

地域包括支援センターとは、地域に住む高齢者が健康で安心して暮らせるよう、高齢者や
高齢者を支えるその家族をサポートする拠点として設置された総合相談窓口です。
各市区町村に設置されています。

日常生活でのちょっとした心配事から、病気、介護、金銭的な問題、虐待など多岐にわたって
相談することができます。
多様な相談内容に対応するため、保健師・社会福祉士・主任ケアマネジャー(主任介護支援専門員)
などの専門スタッフが配置されています。

地域包括支援センターの仕事内容

地域包括支援センターは、高齢者の健康面や生活全般に関する相談を受け付けています。
高齢者のお宅を訪問し、ご相談や見守りをおこない、介護予防プランの作成をします。
介護、福祉、医療サービスの利用についての情報の提供や、様々な事例について共に考えたりします。高齢者の権利擁護や虐待などの相談窓口も行っています。

 総合相談支援

地域包括支援センターの総合相談支援は、高齢者の方やそのご家族が直面する様々な問題に
関する相談に対応する役割を担っています。
高齢者の心身の状況や生活の実態、必要な支援等を幅広く把握し、地域における適切な
保健・医療・福祉サービス、機関または制度の利用につなげる等の支援を行います。

専門的・継続的に、又は緊急の対応が必要と判断した場合は、当事者への訪問、当事者に
関わる様々な関係者からのより詳細な情報提供を行い、課題を明確にし、個別の支援計画を
策定します。

 権利擁護

地域包括支援センターの権利擁護とは、高齢者の権利や財産、尊厳を守り、安心して生活を
送れるよう支援します。

主な業務は、虐待や不当な契約締結などの被害の防止と早期発見、加齢や認知症などによる
判断能力の衰えた高齢者の財産を守ること、消費者被害(詐欺など)への対応、成年後見制度の
手続き支援することなどです。
些細なことでも早めに相談することで、問題が大きくなる前に解決することがあります。
警察署や消費生活センター、市町村などとも連携しています。

 包括的・継続的ケアマネジメント支援

地域包括支援センターの包括的・継続的ケアマネジメントは、高齢者の方の支援にあたる
各関係機関が連携・協働できる体制を整備することにあります。
これによって、高齢者の方が住み慣れた地域で安心して生活を送り続けられるように、
必要な支援を切れ目なく継続的に提供していきます。

主治医と介護支援専門員の連携、 在宅と施設の連携など、 利用者一人ひとりについて主治医や
介護支援専門員などの様々な職種が連携し、個々の高齢者の状況やその変化に応じて
継続的にフォローアップしていきます。

 介護予防ケアマネジメント

地域包括支援センターの介護予防ケアマネジメントとは、介護予防・日常生活支援総合事業を
効果的に実施する上で、重要な役割を担うサービスです。
すべての介護予防ケアマネジメントを行います。

本人の興味・関心や生活上の困りごとを把握し、本人の意欲を引き出し、どんな生活を
したいか具体的な目標を立てられるよう支援します。
初期評価からプランの立案・実施、モニタリングと評価を通して高齢者の方の健康維持と
生活の質の向上を目指します。

地域包括センターで働く看護師の業務内容

地域包括センターで働く看護師の業務内容は、高齢者やその家族の生活を支えることです。
相談対応やケアプランの作成、医療機関との連携など、幅広い業務を担います。

医療行為を行うことはほとんどありませんが、認知の重症化防止や介護予防のケアプラン作成など、
医療的観点から高齢者の生活を支援します。

 高齢者の相談対応

地域包括センターで働く看護師は、高齢者やその家族からの相談を受け、医療的観点から生活を
支援します。相談者一人ひとりに応じて最適なサポートを提供します。

関係各所を繋いだり他職種と連携を取ったりとネットワークを構築し、介護や医療、
保健関係などいろいろな領域の関係機関とも連携します。
適切な介護サービスや制度を紹介するだけでなく、関係機関との連絡・調整にも対応します。
そのため、介護保険や介護サービスなど、介護関連の知識を習得することをおおすすめします。

 介護予防ケアプランの作成

介護サービスを受けるにはケアプランが必須です。
要介護者のケアプランは、民間事業者である居宅介護支援事業所に所属するケアマネジャーが作成し、要支援者の介護予防ケアプランは利用者が住む地域を担当する地域包括支援センターが作成します。

令和6年4月に介護保険法が改正され、「町の指定を受けた居宅介護支援事業者」も
直接契約を結んで、プラン作成ができるようになりました。

保健師または看護師が、介護予防ケアプランの作成や介護予防や健康のための教室、
介護予防支援事業等にも関わります。

 在宅医療と介護の連携推進

在宅医療と介護の連携推進は、高齢化が進む中で、地域での医療・介護の連携を強化し、
介護と医療の双方を必要とする高齢者などが、自宅で安心して暮らせる地域体制を整えるための
取り組みです。

地域包括ケアシステムの一環として、医療・介護・予防・住まい・生活支援などが包括的に
提供される体制作りを目指しています。
高齢化は地域ごとに大きく状況が異なっているので、地域ごとのニーズを満たすために、
各市区町村や都道府県などの自治体単位で取り組んでいます。

 介護予防講座の企画・運営

介護予防講座は、要介護認定を受けていなくても参加できる介護予防活動のことです。
高齢者が住み慣れた地域で、なるべく介護を必要とせずに暮らしていけるように、運動や健康講座、
趣味活動を行うためのサロンなど、高齢者の生活機能を高めたり、地域社会活動への参加を
促したりするための取り組みです。65歳以上のすべての方が利用可能です。

どのような介護予防講座が実施されているかは、地域によってさまざまです。
住んでる地域の市区町村の高齢福祉課や、地域包括支援センターの相談員に問い合わせましょう。

 緊急時の対応

地域包括センターの看護師が、緊急時の対応を行う場合は、まず応援を要請します。
患者の状態を把握しながら関係各所に連絡します。救急車を要請しなければならない場合は、
救急車の手配をしながら、さらに、訪問調整の相談を行います。

それから、患者の家族やケアマネジャーなど連絡先として情報を得ている方へ連絡します。
身内がいない場合は、地域包括支援センターや行政窓口の高齢福祉課、生活保護課、
保健衛生部などへ連絡します。

 家族へのサポート

地域包括センターの看護師は、家族の精神的負担軽減や介護予防、健康維持など、
家族へのサポートを多岐にわたって行います。

認知症の不安や悩みを傾聴し、精神的負担を軽減し、認知症の理解を促進するために、
認知症サポーター養成講座の受講を勧めます。介護負担が増大して在宅継続困難とならないよう、
時機をとらえて別居家族に連絡を促します。

個人や家族とのコミュニケーションを通じて、適切なアドバイスや医療処置を提供します。
患者の異変にいち早く気づくことができる立場にいるのが看護師です。

看護師が地域包括支援センターで働くためには?

看護師が地域包括支援センターで働くためには、看護師の資格に加え、地域ケアや高齢者に関する
公衆衛生業務の経験が必要になります。

地域包括支援センターでは、保健師、社会福祉士、主任ケアマネジャーの専門家が連携して
業務を行っています。地域医療に携わる看護師の役割は、その人が地域で自分らしく過ごせるよう
サポートすることです。
一人ひとりに合った最適なサービスやケアの提供を目指し、医療・福祉・介護と連携しながら
地域ぐるみで支えていくことが必要とされています。

まとめ

この記事では、地域包括支援センターの看護師の役割について解説してきました。

看護師は、個人や家族とのコミュニケーションを通じて、適切なアドバイスや医療処置を
提供しながら、いち早く患者の異変に気づくことができます。
地域包括支援センターでは看護師の方をはじめ、様々な専門家の方々が連携を取りながら、
高齢者が安心して暮らせるようにサポートしています。

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