地域包括支援センターとは?役割から定義まで簡単に解説!

2023.06.15
  • 介護の豆知識

離れて暮らす両親の物忘れが酷くなってきて生活が心配。
どこに相談したらいいの?

地域包括支援センターに相談に行け、って言われたけど敷居が高いな。

このような悩みをお持ちではないでしょうか。

地域包括支援センターは、全国各地にある高齢者の総合相談の窓口です。

65歳以上の方に関する相談であれば、誰でも気軽に利用することが出来ます。

本記事では、

・地域包括支援センターは何をするところなのか
・地域包括支援センターを利用するメリットやデメリット
・地域包括支援センターが抱える課題

について簡単にご説明します。

最後までお読みいただけますと幸いです。

 地域包括支援センターとは?

地域包括支援センターは、市区町村が主体となり設置する公的機関です。根拠となる法律は、介護保険法です。

地域住民の心身の健康の保持および生活の安定のために必要な援助を行い、保健医療の向上・福祉の増進を包括的に支援する施設と定義されています。

介護の事を中心とした、言わば高齢者の総合相談窓口。

以下のような専門の資格をもった職員が在籍し、高齢者からの様々な相談に対応できる体制をとっています。

・主任介護支援専門員(主任ケアマネジャー):介護相談、ケアマネジャー支援、介護支援事業者の質の向上など
・社会福祉士:総合相談、権利擁護に関する業務など
・保健師:介護予防、地域支援事業など

 地域包括支援センターの役割

地域包括支援センターが何をするところか、役割についてご紹介します。厚生労働省では、超高齢社会を迎えるにあたり、地域包括ケアシステムの構築を目指しています。

地域包括ケアシステムとは、介護が必要な状態になっても、地域全体で支え合い、住み慣れた地域で生活を続けるための仕組。 地域包括支援センターは、その中心的な役割を担っています。 具体的な業務として、以下のものがあります。

【包括的支援事業】
地域のケアマネジメントを総合的に行うための事業です。

・総合相談:
高齢者の医療、介護、福祉の総合相談窓口となり、サービスや制度の紹介、関係機関との取次を行います。

・権利擁護事業:
虐待通報の窓口となり、虐待への対応や被害防止の取り組みを行います。また、特殊詐欺などの消費者被害防止、成年後見制度の利用促進などを行うことで、高齢者の権利侵害の予防や対応にあたります。

・包括的・継続的ケアマネジメント:
ケアマネージャーの支援や地域ケア会議の開催などを通し、地域包括ケアシステムの実現に向けた地域のネットワークや社会資源作りを行います。

・介護予防ケアマネジメント業務:
要支援の認定を受けた方や、このままでは要支援状態になる可能性が高い方に対し、介護予防サービスを利用するためのケアマネジメント業務を行います。 その他にも、市町村が委託する事業や、厚労省が定める事業も請け負います。

 地域包括支援センターの利用対象者

地域包括支援センターは、センターの担当地域に住む65歳以上の高齢者とその家族、介護や支援を行う方を対象にしています。

担当地域は、おおよそ中学校区域に1つ、くらいの広さで定められています。

担当のセンターがわからない場合は、市町村の窓口に確認するとよいでしょう。

高齢者ご本人が、認知症などのために自ら相談できない場合は、家族や地域の方が変わりに相談することも可能です。

ただし、相談先は、「相談したい高齢者本人の住所地」ですので、遠方のご家族などは注意が必要です。

 地域包括支援センターのメリット・デメリット

地域包括支援センターでは、介護や医療に関する様々な相談を受け付けてくれることをお伝えしましたが、メリットやデメリットについてもご紹介します。

【メリット】

地域包括支援センターへの相談は、無料です。

回数や面談時間の制限もありません。状況により、自宅を訪問して相談や安否確認などを行いますが、そのような場合も費用は発生しません。

問題が多岐にわたり、どこに相談してよいかわからない場合も、ワンストップ体制で相談にのってもらえます。

また、病院やケアマネージャーは、医療や介護を受ける意思がある方が対象なのに対し、地域包括支援センターにはそのような制約はありません。

経済的な不安があったり、高齢者本人が支援を拒んでおり、根気強い関わりが必要な場合も気にせずに利用出来る事は、メリットと言えます。

【デメリット】

地域包括支援センターの業務は、相談に応じ、必要なサービスや機関との橋渡しをすること。

看護師や、介護福祉士の資格をもつケアマネージャーが在籍してる場合もありますが、直接介護や看護業務は行いません。

介護などの直接的な支援を期待して利用した場合は、デメリットと、感じるかもしれません。

 地域包括支援センターの実情は?

地域包括支援センターの定義や業務について説明してきましたが、課題も抱えています。

全国の地域包括支援センターに対し行った調査「地域包括支援センターの効果的な運営に関する調査研究事業 報告書」では、以下のような実情が述べられています。

【介護予防ケアマネジメント業務の負担が大きい】
介護予防ケアマネジメントは、要支援やこのままでは介護が必要になる可能性が高い方に対する方に対し、ケアマネジャーの役割を担い支援を行います。

団塊の世代の高齢化にともない、増加の一途をたどる介護予防ケアマネジメントの対象者。 対象者が増えるほど、急な状態の悪化やトラブルなどに対応する頻度も高くなります。

介護予防ケアマネジメントは地域のケアマネジャーに委託することも可能ですが、報酬が低く、経営面から受け入れが難しいのが実情です。

【業務時間外も気が抜けない】
地域包括支援センターの業務の性質上、緊急性が高いケースが発生すれば、時間を問わず対応しなければなりません。

例えば、高齢者虐待の通報があった場合、通報から48時間以内に家庭訪問して事実確認をします。

緊急の相談を受け付けるために、業務時間外でも職員に電話が転送される仕組を設けており、職員は休日も気が抜けないなど、時間外労働の負担は大きくなっています。

【サービスに地域差がある】
地域包括支援センターは、市区町村が設置する施設。

そのため、市区町村の財政状態や政策により、サービスの内容や質に格差が生まれているのが実情です。

 まとめ

ここまで、地域包括支援センターについてご説明してきました。 要点を以下にまとめます。

・地域包括支援センターは、市区町村が設置する高齢者の総合相談窓口で、医療福祉の専門職が相談に応じている
・無料で、様々な課題に対しワンストップ体制で相談に乗ってくれる
・介護予防ケアマネジメント業務や緊急対応のため、業務負担が増大していることが課題になっている

本記事が、少しでも皆様のお役に立ちますと幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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