世帯分離とは?介護による世帯分離のメリットやデメリットなども解説!

2023.06.15
  • 介護の豆知識

現在では、介護をする側も高齢になり老々介護や身内が離れた場所に暮らしてるため一人暮らしをしている高齢者が増加してきました。

自分の子供と暮らす2世帯の家庭や自分の子供、子供の配偶者、孫と暮らす3世帯の家庭もありますが、世帯分離という言葉も聞かれるようになりました。

世帯分離とは?

世帯分離とは一つの家に暮らす家族が住民票を別にして別世帯となることです。子供や孫と2世帯・3世帯で暮らしていても、住民票は別々になってます。

世帯分離をすることで、家計の支出を抑えることができて、介護費用の負担額も抑えることができ様々な援助が受けられる可能性があります。 介護保険の額は、世帯ごとの所得によって決まるので、子供の収入を合わせて世帯収入が決まっています。

世帯分離を申請することで親だけの収入で介護費用が決まり、負担額が減る可能性があります。

今まで一緒だった家族間の世帯を分けること

同居していながらも子と親の世帯に分けることです。住民票を別々にするために役所窓口での手続きが必要です。住民税は、世帯ごとの収入で決まるため、世帯分離をすること で住民税が減ります。

また、市町村の条例に定められている額よりも住民税が低い場合、「住民税非課税世帯」になるため、国民保険免除、高額医療の上限が下がることがあります。 高額医療費においては世帯合算ができなくなるため、同じ月に家族で複数の医療機関を利用していても合算の対象にはなりません。

2世帯・3世帯と家族の人数が増えると、所得も多くなり、介護費用の負担額が多くなります。世帯分離を申請して、それぞれで生計を立てていれば、世帯分離をすることができ るので、家族が多くても所得が低いということで、介護費用負担額の軽減される可能性があります。

世帯分離を行うための手続きとは?

世帯部員利を申請するには顔写真付きの身分証明書

①運転免許証・マイナンバーカード・パスポートのいずれか (写真付きの証明書がない場合は①健康保険証・年金手帳、厚生年金、国民年金または船員保険の年金証書が必要です。いずれか2点が必要です。)

②世帯変更届の2点が必要です。 親の手続きを代理で行う場合は委任状が必要です。また、自治体によって必要な書類は異なります。事前に役所に確認しましょう。 上記の書類を役所に持参して窓口で世帯変更届を提出します。

生活保護の受給を目的としていると断られる

生活保護は住民票ではなく、現在どういった生活をしているのかで判断されます。世帯分離は「親のみで生計を立てていくこと」を意味するので、親のみが生活保護を受ける ことができる可能性もあります。

しかし、認められるケースは、「世帯分離をしないとその家庭が用保護世帯となるとき」のみです。 生活保護には具体的に基準は設けられていませんが、「必要最低限の所得があるか。」で生活保護を受けられるかは決まります。

生活保護を目的の世帯分離は一般的な「介護保険料を抑えるための世帯分離」とは違います。 世帯分離が認められて、収入が低い場合は例外的に世帯の一部を同居している家族と分けて生活保護の受給が認められます。

世帯分離のメリットとは?

世帯分離をすることで得られるメリットについて詳しく解説していきます。世帯分離のメリットを知っておくことで、介護保険や住民税の支払額がどうやって決まっているのか を知ることができます。

①介護費用の負担額が軽減できる
②国民健康保険料が下がる可能性がある
③後期高齢者医療保険制度の負担額を減らすことができる

上記3つについて解説していきます。

介護費用の自己負担額を軽減できる

「高額介護サービス費や」「高額介護・高額医療合算制度」は世帯の所得によって決まります。 世帯分離を行い親の収入が下げることで介護費負担を節約することができます。

さらに、世帯分離をベースに介護費用が産出される場合は、世帯を分けることで 「世帯収入」を下げることができます。 例えば、介護負担が4割負担している場合は3割負担、介護負担額が3割負担している場合2割負担となる可能性があります。

また、高額医療サービス費では、月々の利用者負担額が上限を超えた場合、収入に応じて介護保険から支給されます。

親の収入が低くなることで、利用者負担額の上限も減ります。介護保険での支給を受けるには市町村への申請が必要です。

国民健康保険料が下がる可能性がある

世帯分離をすることで、国民保険料を支払う額が減少する可能性があります。 国民保険料は前年度の所得と被保険者の人数鵜によって納付額が決まります。

被保険者が減り、所得が減ることで、国民保険料の納付額が減る可能性があります。 また、国民健康保険料だけでなく、世帯分離を行うことで、住民税の納付額の減額や、住民非課税などの世帯になった場合、市町村から低取得者給付金を受けられる 可能性があります。

市町村からの給付金については、自治体の判断になります。役所に相談してみてください。

後期高齢者医療制度の負担額を減らすことができる

75歳以上の後期高齢者の方は、医療費の自己負担額は1割負担で医療機関サービスを受けられますが、自分でも保険料を1割納付が必要です。

後期医療制度の保険料は世帯の収入によって決まります。 世帯分離を行うことで親世帯が低取得者となり、後期医療制度の保険料負担を軽減することができます。

また、介護施設など介護保険サービスの一環として運営している施設の場合、世帯の収入によって、居住費・食費を軽減することができます。

世帯分離のデメリットとは?

世帯分離をすることで、デメリットになることもあります。条件によっては損をすることがあるのでこちらも必ず把握しておきましょう。

・国民保険料が世帯ごとに支払わなくてはいけない
・扶養控除から抜けてしまう
・手続きが面倒

デメリットについて一つずつ解説します。

国民健康保険料を世帯ごとに支払わないといけなくなる

国民保険に加入している場合、各世帯主が保険料を支払うことになります。 同一世帯であれば一つの世帯として健康保険料を支払いますが、親世代・子の世代別々に健康保険料を負担することになります。

世帯で国民保険料をいくら支払っているかを確認してから世帯分離をすることをおすすめします。 また、世帯分離をしても後期高齢者医療保険料の負担額が減らない場合もあります。

場合によっては国民保険料・後期高齢者医療保険料の負担額が減りますが、必ずしも減るとは限りません。

扶養控除ができなくなる

世帯分離をすることで、親世帯を勤務先の扶養に加入させることができなくなってしまいます。 親世帯も自分で国民健康保険に加入する必要があります。

また、子の世帯も、会社からの扶養手当が受け取れなくなるので注意が必要です。

扶養手当を受け取って生活していた場合収入が大きく影響します。 家族が介護を必要としている場合は、会社の扶養手当や保険組合のサービスを利用した方が負担額が少ない場合があります。

扶養控除などを会社や保険組合から受けている場合は、FPと相談して、念入りなシミュレーションをすることが大事になります。

手続きが少し面倒

世帯分離をするには、住民票を取得する、必要書類を準備するなど各種手続きが必要です。 また、親だけでの申請が難しいく子供が申請する場合は委任状を提出してから手続きを行います。

申請後は、今まで同一世帯で行っていた手続きが各世帯で行わなくてはいけなくなります。 申請した時と同じように親世帯だけでの手続きが難しい場合「委任状」を提出して子が代理で窓口での手続きや書類の申請を行います。

必ず親から「委任状」を書いてもらう必要があるので、今まで以上に役所で手続きをするときには手間がかかります。

夫婦間では世帯分離はできない?条件なども紹介

別居状態の家庭の場合世帯分離をすることが可能です。 実際ハードルが高くて夫婦間での世帯分離は難しいですが、夫婦であっても生計を共にしていないということが認められた場合のみ世帯分離を行うことができます。

別居状態にある場合や、高齢者夫婦は、どちらかが老人ホームに入所をしている場合のみ世帯分離をすることが可能です。 施設に入所してもう一方が独立して生活が困難な時には、生活保護の受給も可能です。

メリットで挙げられた、「介護サービスの自己負担額が下げられる」「高額介護サービスの自己負担額の上限額が下がる」ことが期待されます。

まとめ

この記事についてまとめさせていただきます。

・世帯分離とは、2世帯・3世帯で住んでる家で住民票を別々にして家計の支出を抑えることです。
・メリットとして国民健康保険料・後期高齢者医療費など、世帯収入で納付額が決まる保険料負担を減らすことができる可能性があることが挙げられます。
・デメリットとして、扶養控除ができなくなること、役所手続きは各世帯で行うことになるので親世帯の手続きが困難な場合子世代が「委任状」を提出して手続きを行う 必要がある。
・高齢者の場合、施設にどちらかが入所したときに世帯分離を行うことで介護サービスの自己負担額と、高額介護サービスの自己負担額を下げることができます。

世帯分離によって国民健康保険や、後期高齢者医療制度の保険料の納付額が変わらないこと、扶養控除から抜けてしまうので負担額が上がってしまうことも考えられます。 FPと相談して、念入りにシミュレーションをしてから世帯分離を行うことが大事です。

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