日本の法律では、40歳以上になると介護保険への加入が義務付けられており、同時に介護保険料の納付が始まります。
しかしながら、自分の手元に介護保険証が届くのは基本的には65歳になってからというだけでなく、 介護保険証が届いたとしても手続きをしないと、サービスの利用ができないのです。
今回の記事では、介護保険証とは何か?ということに加えて、それにまつわる申請方法や使い方等、様々な視点から解説をします。 是非最後までお読みいただけますと幸いです。
目次
まず、介護保険証とは「介護保険の被保険者」であることを証明するためのもので、 オレンジ色の三つ折りの紙製で、住所・氏名・生年月日・性別・発行日・要介護認定情報などが記載されています。
介護保険の要介護・要支援認定であることを証明する際に使用するだけでなく、介護サービスを利用する際にも必要です。
また、介護保険証の交付には「第1号被保険者」と「第2号被保険者」の種類があり、それぞれ条件が異なります。 以下小見出しではこれら2つについて解説しました。
「第1号被保険者」の介護保険証では、64歳の誕生月になると全員に交付されます。 また、介護保険の納付方法は年金額により異なりますが、以下2つのパターンのどちらかに該当します。
1つ目は、年金額が18万円以上の人の場合ですと「年金から自動的に天引き」になり、 2つ目は年金額が18万円以下の場合ですと「市町村から送付される納付書で納付」となります。 保険料については市町村ごとに設定されていますので、お住まいの地域ごとにそれぞれ確認しましょう。
第2号被保険者の介護保険証では、40歳から64歳で老化による「特定失病」により要介護認定を受けた方に交付されるものとなります。
また、こちらの介護保険料の納付については、 40歳になった月から医療保険料と合わせて保険者に納付します。 保険料の納め方は2種類あり、国民健康保険に加入されている方の場合は 同じ世帯の第2号被保険者全員の医療分・後期高齢者支援分と介護分を合わせて世帯主が納めます。
職場の健康保険に加入されている方の場合は、医療分・公歴高齢者支援分と介護分を合わせて、給与から差し引かれます。 見本については以下となります。参考イメージ図としてご確認ください。
介護保険証(介護保険被保険者証)は、第1号第2号共に郵送で届きます。 しかしながら、第1号被保険者の手元に届いた介護保険証は、受け取ったとしてもすぐにサービスを受けられるわけではなく、 これらは、市町村へ介護認定の申請が必要となります。
また、こちらの介護保険証が届かなかった場合や、特定の条件で受け取れない場合にも、以下で解説している対処法がおすすめです。
介護保険証については、第1号の被保険者の場合65歳の誕生月になると全員に交付されます。(前述の通り)これについては受け取るための申請などは必要ありません。
介護保険証を使って実際にサービスを受けるためには「介護認定の申請」が必要となり、 申請は市区町村窓口や包括支援センターで申請が必要となります。申請の際、介護保険認定申請書と介護保険証をご用意ください。
第2号保険者の場合は、介護が必要となって要介護認定がなされたときに、介護保険被保険者証が交付されます。 しかし、厚生労働省が定める特定疾病と診断されている場合のみ認定申請ができます。 その為、申請の手続きの際には申請書へ特定疾病の記載が必要となります。
また、40歳から64歳の方で医療保険未加入者(生活保護受給者)の場合は、介護保険の第2号被保険者に該当しません。 そのため介護保険被保険者証は交付されず、介護サービスを受けるためには市町村が発行する「生活保護介護券」が必要になります。
介護保険証は、郵送で被保険者の自宅へ届けられるのが一般的ですが、本人が入院している・介護施設に入居している等、自宅に誰も住んでおらず受け取る人がいない場合には、本人が入居している介護施設に送付先を変更することが可能です。
また、親族やケアマネージャー等代理人が受け取る場合は、 市役所の窓口で受け取ることも可能なので確認してみてください。 ※その際委任状と受け取りに来る方の身分証明書が必要となりますので、注意が必要です。
それでは、介護保険証を提示する場面ですが、大きく3つの場面で使用する機会があります。
介護保険サービスの計画書(ケアプラン)の作成、要介護認定の申請、介護給付金の申請で必要になり それぞれ介護保険証の提示が必要になってきます。
介護保険証の申請においてケアプランは、介護サービスの計画書の立案や作成をケアマネジャーに依頼する際に必要です。 ケアプランは要介護者の場合は居宅介護支援事業者が行い、要支援者の場合ですと地域包括支援センターの ケアマネジャーが立案・作成することとなります。
ケアマネジャーは、介護保険所で依頼者の要介護度や認定の有効期間・1か月で介護サービスを利用できる上限等を確認した後、ケアプランを作成していく流れになります。
要介護認定を受けるためには、介護保険証と必要書類を市区町村に申請する必要があります。 これらは、申請があった日から原則30日以内に「非該当」「要支援1・2」「要介護1~5」の認定結果が 被保険者に通知されることとなります。
また、病院付き添いが介護保険適用の対象となるためには、上記「要介護1~5」に認定されている方に限られているなど、認定結果はサービスを利用するにあたって重要な数字になりますので、十分確認してください。
介護給付金の支給申請にも介護保険証が必要となりますので、忘れないようにしましょう。 介護保険では、特定の福祉用具を購入する場合や住宅改修をする場合に介護給付金が支給されます。
対象となる特定福祉用具は、他人が使用したものを再利用することに抵抗を感じるとされている 「腰掛便座」「簡易浴槽」などの5種類が指定されています。
支給額は1年間に10万円の範囲内で購入費用の7から9割が支給となっており、 支給対象となる福祉用具の購入先については、都道府県の指定する業者に限られます。
また、住宅改修の場合、手すりの取り付けや段差の解消、様式便座への取り換え等 厚生労働省の定める住宅改修をした際に介護給付金が支給されます。
この住宅改修をする施工事業者の指定はなく、基本的にはどの事業者でも問題ありません。 しかし、地域によってはトラブル防止の観点から登録制度としている場合もあるようです。
介護保険証を取得することで、認定された介護度によって介護サービスを受ける事が可能となります。 また、介護保険証そのものには有効期限がありませんが、要介護認定には有効期限があります。
要介護認定に関しては更新の手続きをする必要があり、更新の手続きをせずに要介護認定の有効期限を過ぎた場合には介護保険サービスも受けられなくなってしまいますので注意が必要です。 詳しくは以下の項目で解説をいたしますので、是非ご覧になってください。
前述しました通り、介護保険証(介護保険被保険者証)そのものには有効期限はありません。平成17年9月30日以前に発行された介護保険非保険者証には有効期限が記載されていましたが、 法律の改定により現在は有効期限の記載が廃止されたからです。
ただし、要介護認定には有効期限があります。 要介護認定の有効期限は、新規申請の場合ですと基本的に6か月間となっており、申請者の状態によっては 介護認定審査会の判断により、3か月から12か月の範囲内で有効期限が認定される場合があります。
介護保険証そのものについては、有効期限がないので更新の必要はありませんが、前述した通り、要介護認定には有効期限がありますので、こちらは更新する必要があります。
介護保険の更新手続きは申請期間が定められており、申請期間は要介護認定の有効期間最終日の60日前~最終日までとなります。 更新期間内であれば、いつ申し込んだとしても有効期間の翌日からが新しい有効期間となります。
手続きの方法ですが、住民票が登録されている自治体に必要書類を提出します。 更新に必要な書類が受理されれば、後は自治体の指示に従うことで更新手続きが完了します。 更新に必要な書類は「要介護認定更新申請書」「介護保険証(紛失していても問題ありません)「健康保険証」です。
引越しをした場合には、住所変更の申請が必要です。 住所変更の際には、市町村の窓口にて住所変更の手続きを行うことが可能ですが、手続きの方法については個人の状況により異なります。
同じ市区町村へ転居する場合には、介護保険証と本人確認の書類が必要です。 この場合、介護保険の住所変更の手続きについては転居届を提出するときと同じタイミングですることをおすすめします。 手続きが完了すると、新しい住所が記載された介護保険証が発行され、介護認定や有効期間については現状のものが引き継がれます。
別の市区町村へ転居する場合には、転出前と転入先の市町村で手続きが必要となります。 転出の際には介護保険証を返納し、「資格喪失手続き」を行い「受給資格証明書」を取得します。 その後転入日から14日以内に転入先へ「受給資格証明書」を提出して手続きをします。 この手続きをしておくことで転入先で新たに要介護認定を受ける必要がなくなり、今までの要介護度が引き継がれることとなります。
今回は介護保険証について申請方法やその他注意点について解説しました。 介護保険証を受けることで介護サービスを受けられるようになりますが、市区町村での申請や手続きが必要な場面も多いため、あらかじめ知っておくことが重要です。
また、平成28年度1月からは、介護保険の各市届出、申請において原則として被保険者のマイナンバーの記載が必要になっており、なりすまし防止の目的で市区町村の窓口で受け取る際にも本人確認証を持参する必要がありそうです。 ここまでお読みいただきありがとうございました。