介護保険サービスを受けるためには必要な介護認定。対象者がどの程度介護が必要なのか、可視化する調査です。
この記事では、介護認定を受けるメリット5つを、詳しく紹介いたします。 また、申請方法や介護認定の結果を取り消す方法についてもまとめました。
介護認定は、あなたやご家族にもいつか必要になるかもしれません。分かりやすく解説いたします。
目次
介護認定とは、対象者がどの程度介護が必要なのか、7段階に分けて可視化する調査。介護保険サービスを利用するためには、受ける必要があります。要介護認定とも言います。
介護保険サービスを利用するためには、介護認定で要支援1もしくは2、要介護1~5の判定を受ける必要があります。要支援1が最も軽く、要介護5が最も重い要介護度です。受ける判定により、利用できるサービスの種類や介護保険料の利用限度額などが変わります。
介護認定は、市区町村の窓口にて申請。一次判定・二次判定を行い、正確な結果が出るようになっています。 また、介護認定には有効期限があります。新規申請の場合は6か月、更新の場合は12か月です。忘れずに更新しましょう。
介護認定を受けると、居宅サービスの利用が可能になる、住宅改修の補助金が受けられるなどのメリットがあります。
この章では、介護認定を受けると得られる5つのメリットを詳しくまとめました。 あなたやご家族のお役に立つメリットが、あるかもしれません。 ご紹介いたします。
介護認定を受けるメリットの一つに、居宅サービスの利用があります。
居宅サービスは、自宅での生活を基盤とし、身体介護サービスや施設への通所などが利用できます。利用者は住み慣れた自宅での生活を維持でき、家族の介護疲れの軽減も図れます。 居宅サービスは、大きく分けると以下の通りです。
介護認定を受けると、施設サービスの利用が可能になるメリットがあります。施設に入所し専門職のケアを受けられますが、サービス内容は施設によって様々です。 施設サービスは、大きく分けると以下の通りです。
介護認定を受けると、地域密着型介護サービスの利用が可能になるメリットがあります。 地域密着型介護サービスとは、市町村が指定した事業所が提供するサービス。介護を必要としても、住み慣れた自宅や地域で生活できるよう支援します。 利用できる方は、原則としてサービス事業所と同じ市町村に住民票がある方です。 地域密着型サービスの種類をご紹介いたします。
介護認定を受けると、住宅改修の補助金が受けられるメリットがあります。 支払い対象者は要支援1~2、要介護1~5の判定を受けた方。支払限度額基準額は、20万円までです。 また、対象となる住宅改修は以下の通りです。
住宅改修の利用回数は、複数回バリアフリー改修を行ったとしても、原則一人一回までです。ご注意ください。
介護認定を受けると、福祉用具の購入補助金が受けられます。 福祉用具はレンタルも可能です。介護ベッドや手すり、スロープなど対象品目13品を、自己負担1~3割で借りられます。
しかし、ポータブルトイレや簡易浴槽など、レンタルだと抵抗があったり、再利用が難しかったりする用具も。 レンタルに適さない福祉用具に関しては、購入補助金が支給されます。
要支援1~2、要介護1~5の方が対象で、支払限度額は10万円までです。 在宅介護において、必要となる福祉用具の購入に補助金が支給されることは、大きなメリットと言えます。
介護認定の区分には、要支援1~2と、要介護1~5があります。 『要支援』や『要介護』という言葉を聞いたことがあっても、詳しくは分からないという方も多いのでは。 この章では、要支援と要介護それぞれの基準について、分かりやすくまとめました。
介護認定区分の要支援1~2は、日常生活の基本的な動作は自立ですが、部分的にサポートが必要となります。 それぞれの基準は、以下の通りです。
【要支援1】
食事やトイレなど日常生活上の基本動作は、自分で行えます。立ち上がりや片足立ちなどの複雑な動作に、一部手助けが必要です。掃除や買い物などの家事や歩行に、一部見守りや手助けが必要。認知症の症状は見られますが、日常生活に支障はありません。
【要支援2】
食事やトイレなど日常生活上の基本動作は、ほとんど自分で行えます。歩行や立ち上がりに支えが必要です。掃除や買い物などの家事に、見守りや手助けが必要。物忘れなどはありますが、日常生活に支障はありません。 要支援の判定を受けると、『介護予防サービス』を利用できます。介護予防サービスを利用することで、状態の維持や改善に繋がります。
介護認定区分の要介護1~5は、認知症や身体状態低下により、継続的に介護が必要な状態です。数字が上がるほど、介護の必要性が高くなります。 それぞれの基準は、以下の通りです。
【要介護1】
起立や歩行に不安定さが見られます。手段的日常動作(服薬管理、買い物など)も低下。認知症や、病気などによる心身状態不安定により、要支援サービスの利用が難しい状態です。
【要介護2】
要介護1に比べ、多くの場面で介護が必要です。起立や歩行が自分で行えない方が多くなります。排泄や入浴などの日常生活において、部分的に介助が必要です。(着替えは自分で行えるが、入浴は一部介助が必要など)
【要介護3】
中程度の介護が必要。起立や歩行が困難になり、日常生活全般において介護が必要になります。認知症の症状も見られるようになり、在宅生活が困難な場合もあります。
【要介護4】
介護なしでの日常生活は困難。自力での起立や歩行が難しくなり、車椅子を利用する方が多くなります。認知症による理解力の低下や、問題行動(暴言や暴力など)が見られます。
【要介護5】
寝たきりの状態であることが多く、日常生活の全般に介護が必要。理解力や判断力が低下するため、意思疎通は困難な状態です。 要介護1~5と判定されれば、「介護サービス」を利用できます。また、要介護3以上は特別養護老人ホームの入居が可能です。
介護認定を受けて出た結果は、取り消し可能な場合があります。 認定された介護度に不満や疑問がある場合は、『不服申し立て』を申請できます。不服申し立てとは、都道府県の介護保険審査会に審査請求をすること。請求が認められれば、要介護認定の一部もしくは全ての取り消しを行います。
不服申し立てには期限があります。認定結果の通知から3か月以内です。申請は本人か家族、委任状があれば代理人でも可能です。 不服申し立てのメリットは、正しい介護認定を受けられる点。 認知機能面は、日により状態が変わる場合があります。調査員を前にすると緊張したり、かしこまったりして、普段はできない受け答えがしっかりとできる方もいます。
そのため、実際より低い介護度の判定が出るケースがあるのです。 不服申し立てを行えば、正しい介護認定の結果が得られ、必要なサービスを受けられます。 しかし、必ずしも希望の介護度に認定されるわけではありません。「変更の必要なし」と請求を却下されたり、以前より低い介護度に認定される場合もあります。ご注意ください。
介護認定の申請は、お住まいの市区町村の窓口や、地域包括支援センターで行います。申請は本人や家族、難しければ代理人でも可能です。 介護認定の申請に必要なものは、以下の通り。事前に窓口に確認すると安心です。
・申請書
・介護保険被保険者証(65歳以上の方)
・健康保険証(64歳以下の方)
・かかりつけ医が確認できるもの(診察券等)
・マイナンバーが確認できるもの
・印鑑
また、市区町村からかかりつけ医に依頼し、主治医意見書を作成します。 怪我や病気で入院中でも、介護認定を申請できます(身体状態が安定している、退院日が決まっているなど条件を満たす場合)。 入院で身体状態が悪化し、要介護度が上がるようであれば、区分変更の申請も可能です。
要介護度が上がると、サービスの選択肢がひろがるメリットがあります。要介護度に応じて利用できるサービスに違いがあるためです。 また、介護サービス費用の利用限度額も上がります。利用限度額以内のサービス費用は原則1割負担。しかし、超えると全額自己負担になります。
介護認定とは、対象者がどの程度介護が必要なのか、7段階に分けて可視化する調査です。 介護認定を受けると、居宅や施設サービスの利用が可能になる、住宅改修の補助金が受けられるなどのメリットがあります。
また、介護認定の区分には要支援12、要介護1~5があります。 介護認定の結果に疑問や不満があれば、不服申し立てを行い取り消しが可能です。不服申し立てには、正しい介護認定の結果を得られるメリットがあります。
介護認定の申請ができる場所は、お住まいの市区町村の窓口や地域包括支援センター。要介護度が上がるメリットは、サービスの選択肢が広がる、利用限度額が上がるという点です。 介護認定には、様々なメリットがあります。あなたやご家族の助けとなるかもしれません。