バーセルインデックスとは?評価基準や特徴を紹介【評価用紙ダウンロードも】

2023.08.22
  • 介護の豆知識

日常生活動作の評価指標として、機能的自立度評価表(FIM)やバーセルインデックス(BI)というものがあります。医療や介護業界で働いている方は一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。

昨今、医療業界ではFIM、介護業界ではBIを使用することが主流になってきています。今回は介護業界では常識のBIについてわかりやすく説明していきます。

バーセルインデックス(BI)とは

バーセルインデックス(BI)とは、日常生活動作(ADL)を評価する指標の一つです。医療や介護業界などで、病気や障がいを持つ方の日常生活の動作能力を把握するために使用されます。

時間をかけずに正確な評価ができることから、多くのシーンで利用されています。主に介護士や看護師、リハビリ職種などが実際に活用しています。

バーセルインデックス(BI)を用いる目的

バーセルインデックスを使用する目的は、簡易的に対象者のADLを把握することです。数あるADLの評価指標の中でも項目数が少なく、点数をつける際の幅が比較的狭いため、あまり時間をかけずに日常生活の主な動作について評価ができます。

大まかなADL自立度の評価のため、厳密にADLの能力は評価できません。しかし、おおよその介護の見通しを立てるには十分であるため、情報共有のツールとしても使用されます。

バーセルインデックス(BI)の特徴

  • 採点が簡便で時間がかからない
  • 満点100点のため、わかり易い
  • 世界共通の評価法

バーセルインデックスには、上記のような特徴があります。評価項目は10項目で、2~4段階のわかり易い評価区分は誰にでも理解しやすいのが魅力です。

一方で、シンプル過ぎる評価区分であることから、検査する人によって結果が変わってしまうこともあるので注意が必要です。また細かいADLは評価できません。

誰でもできる?資格や研修について

バーセルインデックスの測定は情報共有目的であれば、資格など必要なく誰でも可能です。しかし、ADL維持等加算などの介護報酬に関わる際は、令和3年の介護報酬改定以降は計測するのは「適切に評価できる者」に変更されています。

適切に評価できる者の定義としては、バーセルインデックスの測定方法に係る研修を受講していることや、厚生労働省が作成予定のマニュアル及びバーセルインデックスの測定についての動画等を用いて測定方法を学習した者です。

バーセルインデックスの評価基準

バーセルインデックスでは、次の10項目を評価対象とします。各項目の介助量により0〜15点の基準が設けられています。

  1. 食事
  2. 移乗
  3. 整容
  4. トイレ動作
  5. 入浴
  6. 移動
  7. 階段昇降
  8. 着替え
  9. 排便コントロール
  10. 排尿コントロール

食事

食事状況(食べる環境や動作、栄養をとる方法、食事内容など)を0〜10点で評価します。

10点:自立
自助具の有無にかかわらず、準備さえ行えば自己にて食事を適切な時間内に摂取できる。
その他には、自己にて食べ物を食べやすい大きさに切ることやエプロンが必要な場合は装着が自己にてできる。

5点:部分介助
食べ物を切るなど介助が必要である。食事に時間を要す。例外としては、提供する段階で刻み食などの場合は介助に当たらない。

0点:全介助
経管栄養の場合

移乗

車椅子からベッドの乗り移りの状況を0〜15点で評価します。

15点:自立
ベッドから車椅子に移る一連の動作が一人で安全に行える

10点:部分介助〜見守り
車椅子の停車位置の声かけや立ち上がる際に軽くお尻を支えるなどが必要

5点:ほぼ全介助
自分で起き上がり腰掛けられるが、立ち上がり動作・方向転換にかなりの介助が必要

0点:全介助、不可能
自分で起きることもできず、介護用のリフトなどを利用する場合

整容

整容の動作(洗面動作、歯磨き、整髪、ひげそり)を0〜5点で評価します。

5点:自立
手洗い、顔を洗う、歯磨き、整髪、髭剃りのすべての動作が一人でできる。道具の操作や管理も含めて一人でできる。女性の場合で習慣的に化粧をする方は化粧もできる。

0点:介助
手洗い、顔を洗う、歯磨き、整髪、髭剃りの1つでも介助が必要

トイレ動作

トイレ動作(便器に腰かける、便器から立ち上がる、衣服の着脱、衣服が汚れないよう整える、トイレットペーパーを使う)を0〜10点で評価します。

10点:自立
上記の一連のトイレ動作が一人で安全にできる。
リハビリパンツやパッドなどを使用していても、一連のトイレ動作、パッド処理が自己管理できる。

5点:介助
体を支えたり、トイレットペーパーの操作に一部の介助が必要

0点:全介助
全ての動作に介助が必要。尿器やポータブルトイレを使用し、介助が必要。ベッド上でオムツ対応

入浴

入浴動作(体や髪の毛を洗う、シャワーを使う、浴槽に入る)を0〜5点で評価します。

5点:自立
一連の入浴動作が一人で安全にできる。

0点:介助
洗体、浴槽の出入り、一連の動作は可能であるが転倒のリスクがあるため、見守りや介助が必要な状態。機械浴などを使用している。

歩行

歩行補助具の使用の有無にかかわらず、どの程度移動することができるかを0〜15点で評価します。

15点:自立
45m以上連続して歩ける。装具、杖、車輪付きではない歩行器の使用の有無は問わない。

10点:介助歩行
見守りや介助があれば、45m以上歩ける。車輪付き歩行器を使用も可能

5点:歩行不能
歩くことはできないが車椅子を操作し、45m以上移動できる。

0点:全介助
歩行か車椅子駆動で45m以上移動できない。

階段昇降

階段の昇り降りの状態を0〜10点で評価します。

10点:自立
一人で1階分の階段昇降が行える。手すりや杖などの使用の有無を問わない。

5点:部分介助
一人では危ないので見守りが必要。脇を支えるなどの介助があれば階段昇降ができる。

0点:全介助
3〜4段の段差昇降はできるが、1階分は全介助が必要である。

着替え

普段身につけている衣服(ボタンを留める、ファスナーの開閉)、靴、装具の着脱を0〜10点で評価します。

10点:自立
普段身につけている衣服、靴、装具の着脱を適切な時間内に一人でできる。

5点:部分介助
少なくとも更衣動作の半分以上が適切な時間内にできる。

0点:全介助
少なくとも更衣動作の半分以上の介助が必要である。

排便コントロール

排便するための行動が適切にできるのかを0〜10点で評価します。

10点:自立
失禁がなく、浣腸や座薬の管理を一人でできる。人工肛門(ストーマ)を使用している場合は、パウチの交換や破棄が一人でできる。

5点:部分介助
時々失禁があり、浣腸や坐薬の取り扱いに介助が必要。

0点:全介助
ほとんど失禁している。

排尿コントロール

排尿するための行動が適切にできるのかを0〜10点で評価します。

10点:自立
失禁がなく、昼夜ともに排尿のコントロールができている。尿器や留置カテーテルを使用している場合は、一人装着し、破棄や洗浄ができる。

5点:部分介助
時々失禁があり、尿器の使用に介助が必要。昼間に失禁はないが、夜間は数日に一度程度失禁している。

0点:全介助
ほとんど失禁をしている。オムツを使用している。

バーセルインデックス(BI)の評価用紙をダウンロード

厚生労働省が、ADL 維持向上等体制加算に係る評価書として、バーセルインデックスの評価用紙を掲載しています。下記のURLからダウンロードして使用してください。

ダウンロード先ページ:https://hodanren.doc-net.or.jp/iryoukankei/14kaitei/yosiki/b07_2_.pdf

まとめ

今回は、介護業界で重要なバーセルインデックスについて説明しました。バーセルインデックスの研修会は様々な場所で実施されています。

本記事は、研修受講後の復習や今後受講する方の予習として使用していただければ幸いです。適切に評価できるよう、一緒に勉強していきましょう。

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