あなたのお家の人や大切な人に介護が必要になったとわかったとき、初めにどこに相談して何をすればいいのか、悩んでしまいますよね。
この記事では、
・介護認定の基礎、メリット
・要支援と要介護の違い
・介護認定の基礎、メリット
・介護認定で必要なものや流れ
を解説します。
「介護が必要になり、人に頼って生きていかないと…。」とネガティブになることはありません。
ご本人だけでなくご家族の方の身体的・精神的負担も軽くなります。
焦らず無理なく活用していきましょう!
・どういった状態の方が
・どういう介護が必要で
・どのくらい必要なのか?
を客観的に判定する仕組みです。
そもそも「介護が必要になった」というのは、どういった状態だとイメージするでしょうか?
「転んで骨折してしまい、車イスでの生活になった」
「今までできていた料理や掃除ができなくなった」
「道に迷って何回も自宅に帰れなくなることがあった」
つまり、
・ 身体の変化(ふらついてしまう〜寝たきりの状態など)
・ 精神の変化(急に怒ったり泣いたり〜意思疎通ができないなど)
・ 行動の変化(家事ができなくなった〜など)
と考えることができます。
この状態や程度も人それぞれ。
それを客観的に、段階に分けて判定しようよ、というのが介護認定です。
① 厚労省の見解
判定が行われるうえで知っておかないといけないのは、「要支援」と「要介護」の違いです。厚生労働省HP(抜粋)を見てみましょう。
(1)要支援
・日常生活について何らかの支援を要する状態
・特に介護予防サービスが効果的な状態
(2)要介護
・寝たきりや認知症で常時介護を必要とする状態
・日常の基本動作を自分で行うことが困難な状態
となっております。
≪ 参考:『厚生労働省 要介護認定に係る制度の概要 1.要介護認定とは』より抜粋 ≫
https://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/nintei/gaiyo1.html
② ご本人に必要な介助量と認知機能の状態が判断基準!
厚生労働省の視点をもう少しざっくり解説すると、以下の2つが判断基準の目安といえます。
(1)日常生活動作そのものに介助が必要かどうか
例)トイレや食事、お風呂など
(2)認知症状(行動・心理症状)があるかどうか
例)人や時間、場所がわかるなど どれかひとつができない、というよりも、総合的に判断がされています。
③ 要支援=予防サービス・総合事業、要介護=介護サービス
また、要支援/要介護で受けるサービスも変わってきます。
要支援:介護予防訪問・デイサービス・生活支援/要介護:訪問・デイサービス・施設系サービス
要支援は「要介護にならないように予防していこうね!」
要介護は「ご本人と一緒に協力して/お手伝いして生活していこうね!」というイメージです。
では要支援・要介護度を受けてどんなメリットがあるのかを次に見ていきましょう。
① 介護保険サービスを1~3割の負担で受けることができる
1つ目のメリットは「予防/介護サービスを全額の1割~3割で受けることができる」という点です。
サービスを受けるうえで、料金をすべて支払わなければならないのではありません。
ご本人の所得(年金や不労所得)に応じた割合で負担することとなります。
② 福祉用具を1~3割の負担で購入・レンタルすることができる
2つ目のメリットは「介護で必要な用具を安価で購入、もしくはレンタルできる」という点です。
例えばご自宅の玄関や階段に手すりがなければ設置することもできます。
歩けなくなって車いすが必要となってしまった場合、車いすやスロープまでレンタルすることができます。
では、実際に介護認定を受けるためにはどういったことが必要でしょうか?
詳しくはお住まいの役所の介護保険課に直接問い合わせましょう。 ここでは、役所での申請までを確認していきます。
① 住んでいる市区町村役所の「介護保険課」の窓口で手続き。
② 基本ご本人かご家族で申請。
(※ 代行してくれる居宅介護支援事業所や地域包括支援センターもあります)
③ 必要なもの
・認定申請書:役所に行って直接記入するか、前もって記入しておくとスムーズ
≪ 参考:東京都北区福祉部介護保険課認定調査係 要介護、要支援認定申請書 https://www.city.kita.tokyo.jp/kaigo/kurashi/hoken/kaigo/teshutsushorui/documents/shinseisyo3.pdf≫ ・マイナンバー通知書
・介護保険証
・医療保険証:申請書に記入欄がありますので、保険証をみて記入しましょう。
・主治医の連絡先がわかるもの:主治医の医療機関名や住所、前回の受診日や次回の受診日を確認しておきましょう。
・印鑑(必要ないところもあり)
役所での申請が終わったら、どういった流れで認定まで行われるかを簡単に見ていきましょう。
① 認定調査
・必ずご家族やご本人の生活状況を知る方が同席しましょう。
・認定調査あるあるですが、ご本人は認定調査のときに限って、とってもはっきりしています(笑)
例えば、困ったことがあったならばそれを写真や動画でおさめておき見てもらうのも方法です。(もちろんご本人のご意向を尊重しましょう)
② 主治医意見書
・もし複数通っている場合は家族で一番相談しやすい医師に相談しましょう。
③ コンピューターによる一次判定
④ 専門家による二次判定
・①や②を参考に「介護認定審査会」で一次判定が妥当かどうかをみます。
⑤ 要介護認定
認定申請からおおよそ30日以内で介護保険証が発行されます。
要介護認定を受けたのはいいけれど、結局どのぐらいの段階があるのでしょうか?
要介護度は1~5まであり、数字が大きくなればなるほど、身体的・精神的に必要な介助量が多くなります。 要介護1~5までを判定するのは、以下の2つの視点です。
(1) 介護の手間にかかる時間
5分野(直接生活介助、間接生活介助、BPSD関連行為、機能訓練関連行為、医療関連行為)について、
認定調査での情報をもとに客観的に「要介護認定等基準時間」を算出します。
(2) 認知症の症状(認知症加算)
主治医意見書で認知症があるかどうか、またそれがどのぐらいの症状なのかを判断します。
≪参考:『厚生労働省 要介護認定はどのように行われるか』より抜粋≫
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/nintei/gaiyo4.html
介護認定は「一度終わったらずっとそのまま」ではなく、厚生労働省令で期間が定められています。
・初回:6か月(※ 市町村により3~12か月)
・更新:12か月(※ 市町村により3~48か月)
更新については、前回の要介護度の変更有無でも期間が変わります。
参考:『厚生労働省 要介護認定に係る法令 9.要介護認定の有効期間について』 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/nintei/gaiyo4.html
また、認定を受けてから大きな身体的・精神的変化があり、さらに介護が必要になった場合はどうなるでしょうか?
その場合、期間の終了を待たなくても改めて介護認定を受けることができます。(=区分変更)
さらに「判定結果が軽すぎる!」などとなった場合、再度認定調査を行うこともできます(=不服申し立て)
本記事では
・介護認定の基礎、メリット
・要支援と要介護の違い
・介護認定で必要なものや流れ
を解説してきました。
「できなくなった」「『問題』行動が増えた」と介護に関してネガティブにとらえてしまうことで、 余計に周りの方々に頼りづらくなり、より閉鎖的になってしまいます。
まずは介護認定を受けることで、介護の負担軽減できるとともに、介護を通じて社会関係の再構築ができると思います。
この記事をきっかけに、今悩んでいる方がいらっしゃったら、まず相談しようと思ってもらえると幸いです。
参考文献:『完全図解 世界一役に立つ介護保険の本』(東田勉、2018)