デイケア(通所リハビリテーション)とは?サービス内容などわかりやすく解説!

2023.05.24
  • 介護の豆知識

高齢者が介護保険で利用できる介護サービスにはさまざまな種類があり、詳しい知識のない人には正直違いが分かりません。

今回は通所型(日帰り)サービスのうちのひとつであるデイケア(通所リハビリテーション)についてわかりやすく説明します。

まだ要介護認定を受けていない人、要介護認定は受けているけれどサービスを利用していない人、リハビリに積極的に取り組み日常生活の質を維持・向上させたいと思っている人にむけて重要な内容を説明しますので、最後までご覧ください。

デイケア(通所リハビリテーション)とは?

デイケア(通所リハビリテーション)とは、要介護者が介護老人保健施設、病院、診療所等に併設された施設や介護医療院に通い、リハビリの専門職である理学療法士、作業療法士、言語療法士などのスタッフによる、「機能の維持回復訓練」や「日常生活動作訓練」を専門的に受けられるサービスです。

リハビリテーションがメインの通所型サービスで、主治医の指示によって受けることができます。

同じデイケアという名前で、精神科デイケアというものがありますが、そこでは生活リズムの改善、対人スキル向上、就労支援などを通じて、リハビリを行うものです。

高齢者向けのデイケアと精神科向けデイケアは対象者や目的が違うので、この点は明確にしておきましょう

サービス内容

デイケアで受けられるサービス内容は、まずご自宅までのお迎えから始まります。

到着後、バイタルチェックという、検温、血圧測定、脈拍などで到着時の様子をチェックします。

健康状態に問題がなければ、利用者全体の軽い体操が行われます。

さらに、個別に作られたプログラムメニューをリハビリの専門職である理学療法士、作業療法士、言語療法士と個々の目的に合ったリハビリを行います

デイケアではリハビリだけでなく、昼食や入浴サービス、排せつ介助も受けられます。

事業所によって異なる場合がありますが、一般浴と身体的に自立した入浴が難しい方への機械浴の設備を整えている場所もあります。

したがって、利用者の介護度によって受けるサービスを選ぶことができます

同時に食事に関しても、ご自身で摂取することが困難な場合、スタッフによる食事介助も行われます。

そして一通りのサービスが終了した後は、最後の健康チェックをしてご自宅までお送りします。

仮に健康状態に問題があった場合、看護師や医師に相談し的確な処置をしてもらえるので、人員が揃っているデイケアはその点で利用者にとっても、ご家族にとっても安心感があります。

デイケアの利用対象者は?

デイケアの利用対象者は、介護度が要支援1~2、要介護1~5の認定を受けているすべての人が対象で、医師からリハビリが必要と判断された人です。

基本的には65歳以上の人が対象になりますが、64歳以下の方でも特定疾患を抱えていれば要介護認定が受けられますので、利用が可能となります。

要支援と要介護者の違いについては、要支援認定1~2を受けた人は、「介護予防通所リハビリテーション」を利用することになります。

介護予防通所リハビリテーションとは、デイケア同様リハビリを目的としますが、その目的が、自宅で自立した生活ができるような運動機能の維持・向上であったり、栄養士による栄養指導など健康な状態を保つ目的があります。

厚生労働省の調査によると、デイケア利用者の平均年齢は80.1歳であり、後期高齢者(75歳以上)の利用者が多いと分かっています

デイサービスとの違いは?

よくデイサービス(通所介護)との違いが分からないという人が多いのですが、その違いを説明します。

まず、デイサービスの目的は食事や、入浴、機能訓練などのサービスを提供し、ご家族の介護負担を軽減する目的(レスパイト)でサービスが始まりました。

最近ではリハビリ特化型のデイサービスもありますが、医療体制やリハビリを行う環境、スタッフの人員配置は明らかにデイケアの方が専門性が高いです。

次に、厚生労働省が定める人員配置基準に大きな違いがあります。

デイサービスは(利用定員が10人以上の場合)、管理者1名、生活相談員1名、看護職員1名以上、介護職員1名以上、機能訓練指導員(理学療法士、作業療法士、言語療法士、看護職員、整復師、あん摩マッサージ師)となっています。

それに対してデイケアでは人員配置基準がデイサービスよりも充実しています。

医師(常勤)1人、理学療法士、作業療法士、言語療法士1人以上、看護職員、介護職員1人以上と医療体制、リハビリ体制ともに手厚いのが大きな違いとなります。

これらの人員基準や施設に必要な設備基準、運営基準の関しては、厚生労働省が定める指定基準を満たさなければなりません。

次に、デイケアはリハビリを行う施設、デイサービスは機能訓練を行う施設と認識してください。

リハビリテーションの定義は「医師の指示に基づき理学療法士、作業療法士、言語療法士などの専門職が身体機能の維持・回復を目的とする訓練」とされています。

機能訓練は必ずしも機能訓練指導員が直接指導しなければならないわけではなく、介護職員や看護職員が機能訓練を行うことができます。

つまりリハビリテーションという専門性の高さを求めるのであれば、デイケアの利用を視野に入れておくべきですね。

デイケアのメリット・デメリット

デイケアを利用するメリットは大きく5つ挙げられます。

  • 前述したように各機能訓練のスペシャリストによる専門機器を用いたリハビリを受けることができるので、専門性の高いサービスが受けられること。
  • デイケアでは担当のリハビリ専門職から定期的に目標としている身体能力の維持、改善や日常生活能力を評価する仕組みになっているので、利用者のリハビリ意識を高め、ご家族にとっても効果が可視化され安心。
  • デイケアに通うこと自体で生活リズムを保つことができます。要介護状態になると外出することが困難になり、さらに身体機能を低下させてしまう要因になります。しかし、デイケアに通い外出の機会を作り、同じ目的をもった仲間と定期的に会うことはとても刺激になります。
  • デイケアは前述したデイサービス同様にご家族の介護負担の軽減ができます。利用者にとっては事業所の設備によっては食事介助や入浴介助も受けられるため、心身がリフレッシュする効果があります。
  • 最後にリハビリ専門機器の充実が挙げられます。デイサービスよりもちろん充実していますし、同じデイケアの他事業所と比較してリハビリ機器が異なるので、利用の前にチェックしておくことが大切です。

    これらのメリットに対し、デメリットもあります。

  • 個室空間ではなく解放された空間なので人との関りあいが苦手な人にとってストレスを感じることがある
  • 事業所によってリハビリ機器に違いがあること。また、サービス、設備によっても違いがあるので事前の見学などは必要になる。
  • デイケアの1日の利用者は10名以上になるので、すべての時間1対1の専門的なリハビリを受けれるわけではなく、自主リハビリも含まれるので、事前にリハビリプログラムを確認する。

    いずれにせよ、サービスを利用する前にしっかりとした目的や目標を立て、目標達成のために必要なプログラムや設備が整っているのか事前に確認すれば、サービスの行き違いは避けられます。

デイケアの自己負担額

介護保険を利用してデイケアを利用する場合、生活状況、経済環境によって異なる自己負担割合と、認定介護度によって料金が異なりますので、それぞれについて説明します。

料金は基本利用料金、必要に応じた加算、オプション料金の合算額になります。

基本負担額は介護度、利用時間、加算料金、地域加算などの違いが細かく設定されているので、一概に言えません。

ただ、介護度が要支援1~2の場合は、1回の利用料金ではなく、利用回数に関わらず1か月分の料金が発生します

介護度が要介護1~5の場合は、1回の利用料金×利用回数で計算します。

全体の平均利用額は6,867円/月額、と言われていますが、介護度とサービス内容によって大きく異なります。

実際の利用額の計算は個人で行うことが難しいと思うので、利用前に必ずケアマネージャーに想定される料金を算出してもらいましょう。

まとめ

ここまでデイケアについて説明してきましたが、介護サービスのなかの位置づけは、医師、看護師、機能訓練の専門職が常駐する環境で、リハビリが受けられるということです。

現在の認定介護度や日常生活動作(ADL)を医師による主治医意見書や指示書によって作成してもらい、サービスを受ける必要があります。

医療体制が手厚く、リハビリをするために必要な人員や設備が整っている点が一番大きな特徴と言えます。

その点を医師と担当ケアマネージャーに相談し利用すべきサービスを選び、少しでも自立した生活を目指しましょう。

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