ターミナルケア(終末期医療)とは?費用や施設など徹底解説!

2023.06.15
  • 介護の豆知識

患者本人が病気や障害で治療の見込みがなくなった場合、その方が最期を迎えるまでの期間を快適に過ごすために、ターミナルケアが必要となります。

ターミナルケアとは、終末期医療とも呼ばれ、医療・看護・介護によって患者本人や家族の身体的、精神的、社会的な苦痛を軽減し、最期まで尊厳ある生活を送るための支援を行うものです。  

本記事では、ターミナルケアの概要や緩和ケアとの違い、費用、そして大切なポイントについて解説します。

ターミナルケアを学ぶことは、医療・看護職・介護職に携わる人や患者本人、家族、そして一般の人々にとって、心身のケアや尊厳ある最期の過ごし方を実現することにつながりますので、ぜひ参考にしてみてください。

 ターミナルケア(終末期医療)とは?

ターミナルケアは、終末期医療ともいわれ、患者本人が病気や障害によって治療が不可能な状態になり、生命の最期の期間を迎えることが予測される場合に提供されるものです。

患者の自己決定や疼痛管理など、様々な観点から研究が行われ、多くの論文も発表されており、超高齢社会において必要なケアとなっています。

患者本人が、人生の最期の時まで、快適に過ごせるように、痛みや不快感を軽減し、生活の質(QOL)が維持できるように支援をするとともに、心理的なサポートや家族に対する支援も行います。

ターミナルケアは、患者本人と家族にとっても、医療や看護職・介護職にとっても、非常に重要なものです。

患者さんや家族にとっては、痛みや苦痛を最小限に抑え、心身ともに快適に過ごすことができるため、尊厳ある生活を送ることができます。

医療や看護職・介護職にとっては、患者本人が病気や障害によって苦しむことなく、尊厳ある生活を送ることができるように、治療や緩和ケアを提供することが求められます。

そのためにも、患者本人や家族のニーズに合わせた適切なケアを提供するための知識や技術が必要となります。

ターミナルケアは、病気や障害に苦しむ患者本人や家族の人生の最後の期間を支えるために欠かせないものであり、医療や看護職・介護職に携わる人たちが、患者本人や家族に寄り添いながら適切なケアを提供することが求められています。

 緩和ケアとの違いは?

緩和ケアとターミナルケアは、どちらも重病患者さんが直面する痛みや苦痛を和らげ、心身ともに快適に過ごすことを目的としています。

しかし、緩和ケアとターミナルケアには以下のような違いがあります。

まず緩和ケアは、終末期だけでなく病気や障害の治療と並行して提供される場合も含まれ、患者さんが普段の生活を送る上での苦痛やストレスを軽減するための支援も含まれます。  

例えば、栄養管理や痛みの管理、心理的なケア、社会的な支援などが挙げられます。

一方、ターミナルケアは、治療による改善が困難となった場合に、患者本人と家族とのコミュニケーションや心理的な支援、痛みや不快感の緩和など、最期の時まで質の高い生活が送れるように支援することです。  

緩和ケアとターミナルケアには、それぞれ特徴がありますが、どちらも患者本人と家族が安心して最期を迎えられるように支援することを目的としています。

病気や障害によって苦しむ患者本人や家族に寄り添い、心身ともに快適に過ごせるような環境を整えることが大切です。

 ターミナルケアの内容

ターミナルケアでは、患者さんが安心して最期を迎えられるように、痛みや苦しみを緩和するための医療・看護・介護を提供します。

提供されるケアの内容としては、主に身体的ケア・心理的ケア・社会的ケアの3つがあり、ターミナルケアが行われる場所によってその内容が変わります。

ここでは、自宅・施設・病院に分けて提供されるケアの内容を解説します。  自宅でのターミナルケアは、患者さんが自宅で安心して過ごせるように、訪問看護などのサービスや家族のサポートを受けながら行われます。

自宅で家族と過ごすことで、患者さんのストレス軽減や安心感につながります。自宅で家族と過ごすことで、患者さんのストレス軽減や安心感につながる一方で、家族が患者さんに対するケアを行うことが必要になります。

そのため、訪問介護や訪問看護などの専門職から適切なアドバイスや指導を受けながら行う必要があります。

また、患者本人や家族が負担感や不安を感じないように、面談やカウセリングなどによる心理的ケアも実施されます。

施設でのターミナルケアは、特別養護老人ホームなどの介護福祉施設等で行われます。介護職員や看護職員が24時間ケアを行う安心感があります。

また、医師と連携しながらご本人の状態に合わせた処置や疼痛管理も提供されます。

一方で、家族との時間は限定的となるため、患者本人や家族が寂しさを感じてしまう可能性もあります。

そのため、介護職員や看護職員は、基本的な介護を提供するとともに、患者本人や家族の意思や希望に合わせた看取り支援も重要になります。

病院でのターミナルケアは、専門的な治療やサポートが提供されます。  

病院内には、医療チームや医療ソーシャルワーカーなどが常駐しており、患者さんや家族が相談することができます。

病院また、患者さんや家族が病院内での生活にストレスを感じた場合には、病院内の専門家や家族のサポートを受けることができます。

ターミナルケアは、患者さんと家族が自分たちで選択する重要な過程、人生の選択と言えます。  

自宅で行う場合や病院や施設で行う場合など、場所によって提供されるケア内容は異なりますが、身体的ケア、心理的ケア、社会的ケアの3つの要素が共通してあります。

ターミナルケアは、患者さんと家族の心のケアも欠かせず、終末期の患者さんと家族にとって、尊厳ある最期を迎えるために必要な支援と言えます。

 ターミナルケアの費用は?

ターミナルケアの費用は、自宅や病院、施設によって異なります。

ターミナルケアは、基本的に医療保険制度の対象となります。手術や治療などを考えると、医療費が高額になることが懸念されます。

しかし、70歳以上であれば、厚生労働省の「医療費の一部負担(自己負担)割合について」でも言及されているように、上限が決まっています。

自宅でターミナルケアを行う場合、訪問看護師や訪問医療の費用、医療器具費、薬剤費、介護サービスの費用などがかかります。その他、車椅子のレンタル、バリアフリー化など環境面における費用も必要となる場合があります。

医療費、介護サービスなどを含めると月に3~5万円が目安になります。

病院でターミナルケアを受ける場合、主に緩和ケア病棟でのケアになります。

厚生労働省から「緩和ケア病棟」の承認を受けている病棟であれば、1日あたりの費用は以下のように一律で定められています。

・30日未満 :​​5,050円(1割負担) 15,150円(3割負担)
・​​​31日以上60日以内 :4,510円(1割負担) 13,540円(3割負担)
・61日以上 : 3,350円(1割負担) 10,050円(3割負担)  

また高額医療費の対象となるため、一定額を超えた場合は返金されます。

施設でのターミナルケアには、介護サービスの費用、入居費用、食事代などの費用がかかります。

また、特別養護老人ホームなどの介護施設では、看取りを行った場合に以下のように加算という形で費用がかかります。

基本的には介護保険の適用となるため、1~3割を負担することになります。  

以上のように、ターミナルケアにかかる費用は場所によって異なります。

事前に費用や支援制度について調べ、負担を軽減する対策を考えることが重要です。

 ターミナルケアでの大切なポイント

ターミナルケアにおける大切なポイントは、以下の通りです。

・患者本人の意思を尊重する:
患者さんが自分自身や家族とともに最期を迎えることを望む場合は、訪問看護と連携して在宅での生活を継続したり、ホスピスなどの施設を利用したりすることもできます。

・家族や周囲の人々のサポート:
患者さんや家族が安心して過ごせるように、医療従事者や専門スタッフが家族を支援することも重要です。

・痛みや苦痛の緩和:
ターミナルケアでは、患者さんが身体的・精神的な苦痛を感じないよう、適切な薬剤や治療を行います。また、安楽な姿勢や日常的な生活を送れるように必要な介護を提供します。

・心理的な支援:
患者さんや家族が安心して過ごせるよう、心理的なケアやカウンセリングが必要です。ターミナルケアは、治療の見込みがなくなった患者さんが快適に余生を過ごすための医療・看護・介護です。

厚生労働省では、より質の高いターミナルケアを行うために『人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン』を示しています。

患者さんの意思や尊厳を尊重し、適切な痛みの緩和や心理的なケアが必要です。

ターミナルケアは、患者さんと家族の心身ともに安心して過ごせるよう、周囲の人々の協力が不可欠です。

 まとめ

今回は、ターミナルケアについて、緩和ケアとの違いやターミナルケアで提供される場所とケアの内容、費用について解説してきました。

ターミナルケアの目的は、患者さんが穏やかな最期を迎えられるよう、心身ともに支援することです。

医療的なケアに加えて、心理的なケア、社会的な支援などが必要となります。

そして、患者本人や家族の意向を尊重し、個々のニーズに合わせたターミナルケアが提供されることが重要です。

そのために、医療・看護・介護が相互に連携しながら、サポートしていくことが必要になります。

以上のように、ターミナルケアは終末期を迎えた患者さんが、QOL(生活の質)を維持しながら、穏やかに過ごせるように支援していくことです。

誰もが尊厳ある最期を迎えられるように、医療・看護・介護に携わる人は理解を深め、患者本人や家族も選択肢のひとつとして理解しておくとよいでしょう。

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