バイタルサインとは?年齢別の正常値や測定方法など詳しく解説!

2023.08.16
  • 介護の豆知識

介護の現場で高齢者の体調を確認するのには、何を知ればいいでしょうか?顔色や熱発時など、目に見える状態観察も必要ですが、バイタルを測定して正確にご利用者様の体調を知る必要があります。

この記事では、バイタルの正常値を年代別に分けて解説します。

バイタルサインとは?

バイタルサインとは、その時の体調を数値として表してくれます。介護の現場でも、利用者様の毎日の体調管理のためにバイタル測定は欠かせません。

入浴をする時には、血圧が低いと湯上りに脳貧血を起こしやすくなります。高血圧の場合は、脱衣所とお風呂場の温度差でヒートショックを起こし、急に温かいお風呂につかることで血圧の急低下の恐れがあります。

バイタルサインを測定する目的

バイタル測定の目的は、利用者様の血圧・呼吸数・体温などが基準値に近いかを知るために行われます。
また、介護の現場では毎日測定することで、利用者様の平均の数値を知ることができ、前回の測定と比べ比べることで体調の異常に気付くことができます。

バイタルに異常があった場合は適切な処置をする必要があります。利用者様のバイタル情報を正確に伝えることで、体調不良の早期発見につながり生命を守ることに繋がります。

バイタルサインの測定方法とポイント

バイタルサインには、測定しなければならない4つの項目があります。また、聴診器での測定や、緊急時の呼吸数の測定・意識レベルの測定もバイタルサインの一つです。

この章では、バイタルサインの測定方法とポイントについて解説します。

脈拍測定

脈拍は、血圧計や酸素濃度SPO2を測定したときに一緒に確認できます。測定することで、脈のリズムや回数、状況を把握できます。

手首や首の付け根で測定することがほとんどです。脈が分かる箇所に手を置いて15秒間計測します。その数値の4倍が一分間の脈拍数です。しばらく計測して、脈の速度が正しいかどうかを計測することも、バイタル測定の中で必要なことです。

また、正確に脈拍数を測定するために脈拍計を使用したり、血圧と一緒にデジタル血圧計で測定することも良いでしょう。

血圧測定

測定器をつけている腕を心臓の高さまで上げて測定を開始します。座った姿勢でリラックスして測定することで、正常な値の血圧を測定できます。測定前には、運動や飲食をしてすぐではなく時間をおいてリラックスしてから測定しましょう。

上腕式血圧計

  1. 心臓の高さである上腕部で測定をします。
  2. エアチューブが手のひらに来るようにして測定します。肘関節にかからないような位置に血圧計を巻き付けましょう。

手首式血圧計

  1. 右手の手首に巻き付けます。
  2. 心臓の高さまで測定する腕を上げて測定する。

呼吸数の測定

呼吸数は「吸って吐く」を繰り返して測定します。バイタルサインとしては、呼吸の深さ・リズム・呼吸数を把握する必要があり、呼吸数が多い時は心不全、発熱、肺炎などの疑いがあります。また、興奮しているときや運動後に呼吸数が多くなります。呼吸数が少ないときは、睡眠時投与・脳圧亢進などが考えられます。

測定方法は、リラックスした状態で1分間呼吸を繰り返してもらいます。
正常呼吸数は1分間に12~20回です。

呼吸音の聴診

呼吸音を知ることで、肺に起きている状況が把握できます。胸に聴診器をあてることで心音を測定でき、背中に聴診器を当てることで肺の音を確認できます。

聴診をするときは、前胸部と背部をそれぞれ上から下へ左右交互に聴診します。左右で音の違いがないか、正常な気管支音をしているかを知ることが聴診の目的です。

体温測定

体温測定をすることで、病気や体に生じる異常の早期発見に繋がります。身体は侵入してきたウイルスを追い出すために自然と発熱するからです。インフルエンザや風邪をひいたときにも熱が出ますよね?

測定する機器は、額に検査する箇所を近づける測定方法と、腋下に体温計を挟む測定方法があります。正確に測定したいときには、腋下で測定する体温計を使用することをおすすめします。

意識レベルの測定

意識レベルは「○○さん、聞こえますか?」と声掛けをして測定します。JGS・GCSで覚醒している状態から刺激しても覚醒しない状態まで評価します。

意識障害などの方に測定することもありますが、高齢者が急変したときに肩を叩いて声を掛ける意識レベル測定を紹介します。

測定方法

  1. 高齢者の肩をたたいて声をかける
  2. 呼びかけ、刺激に反応があるかを観察する。

尿量測定

排尿量や排水時間を記録します。尿が出にくい場合、畜尿障害の診断に使用されます。また、看護・介護の現場では、導尿カテーテルを使用している方もいます。排尿が困難な方が尿道にカテーテルを通して人工的に尿を排尿させます。

排尿は畜尿バックに溜まります。トイレや居室など、プライバシーが保持される場所で畜尿バックの中身を捨てましょう。捨てる前に尿量と、尿の色が正常かを確認します。

年齢別のバイタルサイン正常値

バイタルサインの正常値は年齢によって異なります。平常時の数値は個人差もあるため、毎日測定を続けて本人の平常値を知ることが大切です。平常値を知ることで、異常があるときに迅速な対応ができます。

10代・20代

血圧は、20歳男性で115/68、20代女性105/63が正常値、脈拍は、男性が60~80回、女性が70~90回といわれています。体温は36.0~36.9です。37.5以上は熱発ということになります。

10代20代は特に生活習慣病にかかることは少ないですが、お酒やたばこに注意して健康維持を心がけましょう。

女性の場合、子宮がんにかかりやすいのは20代後半からといわれているので、がん検診を欠かさずに行いましょう。また、若い世代で朝食を抜いたり無理なダイエットをする方がいますが、生活リズムを崩して栄養バランスが偏ることがありますので注意しましょう。

30代〜50代

30代以降は、高血圧に注意することが必要です。140/90以上の家族で、血圧の平均が135/80以上の場合は高血圧の疑いがあります。もし、病院で高血圧の診断を受けた場合は、医師の指示に従い治療に専念しましょう。

また、高血圧が続くと、動脈硬化のリスクがあります。血管が分厚く弾力性がなくなることで、血栓が生じて血管が詰まりやすくなります。

60代〜80代

高齢者になると、1日1回のバイタルチェックが重要になります。一日の中でも状態変化が多いため、欠かさずに行いましょう。

平均体温:36.6℃
平均血圧:140/90㎎HH未満
呼吸数:10~30回

皮膚の状態チェックや歩行状態のチェックも、バイタルチェックの一つです。「あれ?いつもと違うな」と感じたら一日の状態観察を欠かさずに行いましょう。

90代以上

体温測定は時間帯によって変動があり、日中は高く、夜中は低い傾向にあります。朝起きてすぐに測定することで、本人の正確な体温を把握できます。また、可能な限り同じ時間に測定しましょう。

脈拍は、1分間に60~70回が平均です。リラックスした状態で測定したいので、入浴後・排泄直後や緊張しているときなどは避けましょう。

高齢者は、高血圧になりやすく「狭心症」「心筋梗塞」などの合併症を起こしやすいので血圧の変動に注意が必要です。バイタルチェックは、「決まった時間に同じ条件で」測定することを心がけましょう。

まとめ

バイタルサインとは、数値として知ることができる本人の身体の状態です。主にバイタルチェックとしては、「脈拍測定」「血圧測定」「体温測定」異常を感じたときに「呼吸数」「意識レベル測定」をします。

バイタルを測定する目的として、利用者様の普段のバイタル状態を知り、異変を感じた時にはすぐに看護職や他職種と連携を取り、利用者様に適したケアを提供するためです。そのためには、毎日同じ時間に測定して利用者様の普段の状態を知り、適したケアを提供することにつなげましょう。

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