ホスピスの平均滞在時間はどのくらい?入院条件やタイミングなど解説!

2023.07.25
  • 介護の豆知識

「ホスピスって聞いたことあるけど詳しく知らない」「どれくらい利用できるのか」といった疑問を持つ方もいると思います。 ホスピスは普段の生活に馴染みがないため、何となく知っている程度かもしれません。

この記事では、ホスピスの平均滞在期間から、入院条件やタイミングについて紹介します。 ホスピスの利用や緩和ケアを検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

ホスピスとは?

ホスピスとは、終末期の患者が最後の時間を過ごせるようなサービスを提供する施設です。 痛みや不安を緩和する治療やケアを行い、穏やかに過ごしてもらうことを目的としています。

死期が近付く中で、治療などで痛みを伴ったり苦痛を味わったりしたくない患者もいます。 余生を穏やかに過ごしたいという患者の望みを叶えるために、様々な職種の人が緩和ケアを実施します。

患者の終末期をサポートする施設が、ホスピスです。ホスピスは病院の緩和ケア病棟にあるのが一般的ですが、近年では介護施設でも緩和ケアを行うようになっています。

ホスピスの入院条件とは?

余生を穏やかに過ごすための施設であるホスピスですが、終末期を穏やかに過ごしたいという考えがあれば誰でも入院可能です。

ですが、それだと明確な基準がないので、ある程度の基準となる条件はあります。 ホスピスの入院条件を紹介します。

末期がん患者の方

ホスピスの入院条件には、終末期を迎えている条件があります。 つまり、患者が自身の死期を把握していなければいけません。

患者自身が終末期を迎えていることを理解した上で、穏やかに過ごしたいという希望があれば入院できます。

がんが末期まで進行している患者は、終末期患者と言えます。患者が自身のがんの進行度を把握した上で、穏やかな余生を過ごしたいと言えば、ホスピスへの入院が可能です。 がんの治療は行われず、痛みを緩和するケアが行われます。

エイズに罹患している方

エイズに罹患している患者も終末期患者と言えるので、ホスピスを利用できます。 エイズ(後天性免疫不全症候群)とは、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)が体内の血液に侵入し、免疫機能を低下させる病気です。

エイズの進行を遅らせたり発症を抑えたりする薬はありますが、確実な治療法はありません。 末期がん患者と同様に、エイズに罹患した場合も患者が病状や進行度を把握していることが前提条件です。 その上で終末期を穏やかに過ごしたいと希望すれば、ホスピスに入院できます。

医師・看護師によって認められた方

末期がんやエイズを患っていなくても、医師や看護師に入院を認められる場合があります。 ホスピスに入院するかどうかの決定については、患者自身の意思が重要です。

最後の時間を苦しんだり不安に悩まされたりせずに穏やかに過ごしたいという意向があれば、終末期患者でなくても入院できる可能性があります。終末期患者がホスピスに入院できるかどうかは、医師や看護師の判断も必要です。ホスピスへの入院を希望する場合は、医師や看護師に相談してみましょう。

ホスピスの平均滞在期間はどのくらい?

余生を穏やかに過ごすための施設なので、入院者が死亡するまで利用するのが一般的だと思われがちですが、実はそうではありません。 ホスピスや緩和ケア病棟の平均滞在期間には、診療報酬の制度が関わっています。

というのも、以下の2つ条件のうちどちらかを満たすと、病院が受け取る報酬が高くなります。

  • 全ての患者の平均入院日数が30日未満、かつ患者の入院意思の表明から14日以内に入院させている
  • 患者の15%以上が診療所や自宅に退院される

これらの条件を満たす病院には、報酬が多くなります。いわゆるノルマみたいなものです。 ホスピスでの緩和ケアは病院側にとっても簡単ではありません。 多くの患者を抱えると費用が増え、病院の経営が立ち行かなくなってしまいます。

そのような病院側の意思もあり、30日程度での退院を促されることもあります。 また、患者側もホスピスを利用すると費用が増えるため、場合によっては自宅や診療所で治療した方が安くなることもあります。 最期までホスピスで過ごすのではなく、30日経てば退院することも考えておくといいでしょう。

ホスピスに入院できないのはどんな人?

患者の状態や性格によっては、ホスピスに入院できないと判断されることもあります。 ホスピスの入院の可否に重要なのは本人の意思ですが、入院できないとされる人にはどんな特徴があるのでしょうか。

ホスピスに入院できない場合の条件を紹介します。

在宅療養が可能と判断された方

末期がんやエイズに伴う苦痛が緩和されている場合、在宅療養が可能と判断されることがあります。 ホスピスは苦痛といった症状を緩和し、穏やかに過ごすための施設です。 入院前から患者の苦痛が緩和されている場合、ホスピスで行われる緩和ケアの効果が現れにくくなります。

また、患者の長期的な入院も考えられます。 ホスピスの平均滞在期間が30日なので、それ以上の長期的な入院をしなくても在宅で治療ができると判断された場合、ホスピスに入院できません。

末期がんやエイズ以外の治療が優先される方

ホスピスの入院条件に該当する末期がんやエイズ以外の病状を優先的に治療するべきと判断された場合、入院は許可されないでしょう。 基本的なホスピスの入院条件は、末期がんやエイズといった苦痛を伴う終末期患者が対象です。

末期がんやエイズより優先して治療するべき病気があると判断されると、ホスピスに入院できないのがほとんどです。 患者本人に入院意思があっても、末期がんやエイズ以外の治療が優先される場合は入院できません。

他の患者に迷惑をかける場合

ホスピスに入院している他の患者や医師、看護師に迷惑をかける場合も、入院は認められません。 ホスピスは静かに、穏やかに過ごす施設です。また、レクリエーションやイベントなども行うので、他の患者に攻撃したり嫌がらせをしたりするなどの迷惑行為が見られる場合は入院できません。

特に認知症の方はそういった迷惑行為を引き起こす可能性があるので、ホスピス側も慎重に入院を検討します。 他の患者に迷惑をかける患者は、ほとんどの場合入院できません。

ホスピスに入院するタイミングはいつ?

ホスピスに入院する適切なタイミングはいつでしょうか。 ホスピスに入院するタイミングは決められているわけではないので、苦痛や不安の緩和ケアが必要とされる抗がん剤治療や手術の前に入院するのが最も適切でしょう。

苦痛や不安が解消・緩和されると、ホスピスに入院できない可能性があります。

また、入院するタイミングに患者本人の入院意思がなければ入院はできません。 ホスピスに入院したくない患者を無理矢理入院させられないので、タイミングと患者の入院意思がマッチしたときが、最適な入院タイミングだと思います。

まとめ

ホスピスの平均滞在期間や入院条件、タイミングを紹介してきました。 ホスピスでの平均滞在期間が30日とあるように、死亡するまでずっと滞在できるとは限りません。

そのため、苦痛や不安を緩和することを目的として、自宅や診療所での治療も検討しておくことが重要です。 患者本人の意思を尊重しながら、ホスピスを利用しましょう。

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