看取りとは、家族や身近な人が最期を迎える際に、その人のそばで看護やケアを行うことをいいます。看取りをすることで、その人の最期を穏やかに過ごすことができます。
決して簡単なことではありませんが、その人が安心して最期を迎えられるように家族や身近な人の支えが必要です。また、家族も最期に立ち会うことで、深い感動や成長を経験することもあります。
この記事では、看取りについて大切なことや看取り介護加算について解説します。
目次
看取りとは、家族や身近な人が病気や老衰などで最期を迎える際、その人のそばで看護やケアをすることです。看取りを行うことでその人が穏やかに最期を迎えられ、家族や身近な人にとっても最期まで大切な人を支えることができます。
看取りは心身ともに大変なことであり、精神的な負担も大きいため、専門的なケアやカウンセリングが必要な場合もあります。
最近では、看取りに特化した施設やプログラムが増えており、より充実した看取り体験が提供されています。
看取りは、緩和ケアやターミナルケアとは異なる概念です。
緩和ケアとは、末期がんや重症心不全などの重篤な疾患で苦痛を抱える患者さんに対して、身体的・精神的・社会的な苦痛を軽減し、快適な生活を送るための医療やケアを提供することです。
ターミナルケアとは、余命数週間から数ヶ月を迎えた患者さんに対して、穏やかで快適な環境を提供しつつ、最期を迎えることを支援する医療やケアをいいます。
一方看取りは家族や身近な人が病気や老衰で最期を迎える際に、その人のそばで看護やケアを行うことをいいます。主に家族や身近な人によって行われるため、専門的な医療やケアは必ずしも必要ではありません。
その人の最期を穏やかに過ごすためには、適切な準備やサポートが必要であることは共通しています。
緩和ケアとは、末期がんや重症心不全、肺疾患など、治療が難しくなった疾患を抱える患者さんに対し、苦痛を軽減し、快適な生活を送るための療養やケアを提供する医療の一つです。
患者さんが抱える身体的・精神的・社会的な苦痛を緩和することを目的とし、医療者が患者さんとのコミュニケーションを通じて患者さんが望む生活を送ることができるようサポートすることが重要です。
具体的には、痛みの軽減や呼吸の苦しさの緩和、栄養管理、口腔ケア・排泄ケア、入浴などの生活支援、精神的ケアや家族支援、社会復帰支援などが挙げられます。
緩和ケアは、患者さんが望む場所で受けられるように、在宅療養やホスピス、緩和ケア病棟など、様々な場所で提供されます。
患者さんと家族の意思決定を尊重し、専門的な知識と技術を持った緩和ケアチームが連携して提供することが大切です。
ターミナルケアとは、余命数週間から数ヶ月を迎えた患者さんに対し、穏やかで快適な環境を提供しつつ、最期を迎えることを支援する医療やケアです。
ターミナルケアは、病気や老衰などによる患者さんの身体的、精神的な苦痛を軽減することを目的としており、患者さんが最期を迎える際に、家族や看護師、医師などの支援を受けながら、穏やかで快適な環境で過ごせるよう支援します。
ターミナルケアは、在宅での療養やホスピス、緩和ケア病棟、緩和ケアユニットなど、患者さんが望む場所で提供されます。
専門的な知識と技術を持ったチームが、患者さんや家族と密にコミュニケーションを取りながら、患者さんの望む最期を支援します。
看取り介護において大切なことは、患者さんや家族とのコミュニケーションと共感能力です。患者さんが抱える身体的、精神的な苦痛や心配事を聞き、理解することが必要です。
患者さんや家族の望む最期を支援するために、専門的な知識や技術を持ったチームが連携して、最善のケアを提供することも重要です。
看取り介護は、患者さんが快適で穏やかな最期を迎えられるようにすることが目的であり、患者さんや家族に寄り添うことが求められます。
患者さんの状態に合わせて、入浴や排泄の援助、食事や水分の管理、口腔ケア、移動のサポートなどをします。身体的なケアだけでなく、精神的なケアも重要です。
患者さんの気持ちや心配事を聞き、理解することが必要です。患者さんが安心して最期を迎えられるように、落ち着いた環境を提供することも大切です。
家族とのコミュニケーションも欠かせません。家族が患者さんを支えるために、情報提供や相談に応じることが求められます。
最期まで患者さんや家族と共に尊厳ある生活を送るため、看取り介護のチーム全員が協力して、日常的なケアを提供することが重要です。
最期を迎える前に、患者さんが抱える不安や恐怖、悲しみなどの感情を受け止めてあげます。
患者さんの心の支えとなるよう、温かく優しい言葉をかけたり、患者さんが話したいことを聞いたりすることが大切です。患者さんが心地よく過ごせる環境を提供することも必要です。
好きな音楽をかけたり、落ち着いた色調の部屋を用意したりすることが挙げられます。患者さんが宗教的信念を持っている場合は、その信念に合わせたケアも提供することもあります。
最期まで尊重され、安心して過ごせるよう、患者さんの精神面のケアにも注力することが大切です。
看取り介護の場所は、病院・在宅、介護施設などがあります。それぞれメリット・デメリットがあるので、患者さんや家族の希望や状況に応じて、最適な場所を選択することが大切です。
病院での看取り介護は、急な症状の発症時や、在宅介護が困難な場合に利用されます。病院では、医療スタッフが看取り介護を行うことができ、患者さんに必要な医療的ケアや薬剤管理を提供できるため、安心感があります。
病院は24時間体制で医療スタッフが常駐しているため、急な症状に対して迅速な対応が可能ですが、自分の家から離れることになり、それによって生じる不安やストレスを受け止める必要があります。
病院での看取り介護においても、患者さんが最期まで尊重され安心して過ごせるよう、医療スタッフが温かく優しい対応を心がけることが大切です。
これらのメリットを生かして、病院での看取り介護が選択されることがあります。
これらのデメリットについても、事前に確認し、病院での看取り介護を選択するかどうか判断する必要があります。
患者さんは、自分の家で過ごすことができ、医療機関の環境に比べて安心感があります。家族も自宅で看取り介護をすることでストレスが少なく、患者さんと過ごす時間をより良く過ごせるでしょう。
病院や施設での看取り介護に比べ費用が低い傾向があります。また、専門の看護師やホームヘルパーを雇うことで、家族の負担を軽減できます。
訪問看護師や訪問医療が患者のケアをサポートするため、家族の負担を軽減することができます。
介護施設での看取り介護とは、老人ホームや特別養護老人ホーム、療養型医療施設、ホスピスなどで、専門のスタッフが入居者や利用者の最期の時を支援するケアのことをいいます。
介護施設では医療的なケアを受けながら、心身ともにリラックスできる環境が整えられています。看取り介護を専門に担当するスタッフがおり、安心して看取りを受けることができます。
介護施設には家族や周囲の人々との交流もあり、孤独感を感じることも少なく、最期まで穏やかに過ごせます。介護施設では人数が多いため、スタッフの手が回りにくい場合があることや、介護施設に入居すること自体が負担になることがあるため、入居者の意向や状態に合わせて選ぶことが必要です。
食事やトイレ、入浴などの介助が必要な場合も、専門のスタッフが対応してくれます。
看取り介護加算とは、医療保険制度において看取り介護に関する特別な診療報酬加算のことです。
看取り介護加算は、看取り介護に従事する医師、看護師、介護職員が、患者や家族に対して行う看取り介護に関する取り組みや支援に対して支払われます。
看取り介護に携わる職種ごとに異なる加算額が設定されており、医師は最大で9,000円、看護師と介護職員は最大で2,000円の加算を受けられます。
加算の対象となる看取り介護には、医療現場での診療活動以外に、患者や家族の心理的なケアや手続きや手続きのアドバイス、葬儀に関する支援なども含まれます。
看取り介護に携わる医療・介護関係者の負担軽減や、看取り介護の質の向上を目的として設けられています。
看取りとは、人が亡くなる直前の時間を過ごす介護であり、病院・在宅・介護施設など、場所によって異なるメリットやデメリットがあります。
患者や家族の心理的なケアも重要であり、痛みや苦痛の緩和に加え、精神面での支援も必要です。看取り介護を受ける患者と家族の負担が軽減される一方で、看取り介護を行う医療従事者の負担も大きくなっています。
最も重要なのは、患者と家族が最期まで尊重され、心地よい環境で過ごせることでしょう。